胸キュン刑事第27回(第46、47話)
雪まつりの恐怖
雪の中の賭け!!
北海道与良部町…
休暇を利用してくるみと大輔はこの町で催される雪まつりの見物に来ていた。
下着殺人以来のプライベートの行動である。それに比べりゃごく真っ当ともいえる。
大輔の後輩がこの町の警察に勤務していることもあり、特権で開催前の誰もいない会場を見て廻ることができた。
いくつもの雪像が立ち並び、感心しながらも、雪像をベタベタ触るマナーの悪いくるみ。
その弾みだろうか、女神の雪像が割れる。
しかしその割れた雪像の中から全裸の女性が現れ、大騒ぎとなった。
おかげでくるみのマナーの悪さは棚上げである。ちっ。
その際、くるみは雪像にキラキラ光る妙な粉末を見つけていたが、それが何なのかは分からなかった。
若い被害者の女性は、酒井信子。3日前から行方不明となっていて、雪像が完成したのはその次の日らしい。
与良部町警察の署長は、この雪まつりは今年から町おこしとして、賞金1,000万円がかけられることになり、そのせいで制作グループ同士のいざこざが絶えないと漏らした。
被害者はそのグループでも優勝候補「椿グループ」の一員だったらしい。
24時間監視するのでこれ以上事態の悪化は防げるだろう締め括る署長の言葉にくるみは納得せず、一人で捜査を開始することにした。余計なお世話指数が高い気がする。
大輔はあくまでも管轄外だからとクチバシを挟むようなことはせず、これまた一人でススキノに行ってしまった。
ステキな夜をお過ごしになりに行かれたらしい。
くるみは会場の図面から、高い壁と夜間封鎖などから、残る出入口は1つの通用門だけと狙いを絞る。
通用門にはカメラが設置され、24時間監視されている。酒井信子が出入する姿も映っていたらしい。
ふと門扉の脇を見ると、見るからに妙な雪像が拵えられている。
完成度は低く、作品としての価値は皆無だが、事件現場にあったのと同じ光る粉末が振り撒かれており、くるみは「不細工だなぁ」と言いながらも興味を示す。
すると「不細工は余計だ」と木の上から少年が抗議してきた。
この粉は与良部山でならどこでも取れる岩のかけらで、そんなこと知らないのはくるみのような観光客くらいだという。
くるみを観光客と見抜くとは、中々良い眼力の少年である。ついでにくるみをおばさん扱いするのもナイス。
ともかく、詳しくは彼の父親の方が説明できるからと言われ、くるみは少年が住む与良部山中腹に向かうことにした。
そうとうな距離を登ってようやく見つけた山小屋。
そこに現れた熊のような大柄な男が少年の父親だった。
くるみを自宅に招き入れた父親は、くるみを女子大生と勘違いしたらしい。くるみもそれに乗じ、大学のミニコミ誌に雪像コンクールの話を載せたいのでインタビューしたいと出まかせを言う。
すると父親「それは町の観光課に聞けば…」ともっともな返事。
そこへ少年が父親の出版した写真集を持ってきた。写真家であるのが自慢らしい。
どうやら野生動物の撮影を中心に活躍しているらしく「けもの道に赤外線センサーを設置して自動撮影する」手法をとっているという。
聞けばコンクール会場にフェンスのない一角がある。
そこは人は全く往来せず、そばにもけもの道だけがあり、そこは監視カメラの死角となって会場に入れないこともないと判明した。
そこを利用すれば会場に入れるのか?とくるみが質問すると「地元の人間ですら知らない道だからとても通れるような代物ではない」と父親は否定する。
だが、消去法でそのけもの道以外考えられないとくるみは推理。
そのけもの道の赤外線センサーカメラはあるのかと質問するくるみに、父親は訝しがりながらも3日前の映像を収めたフィルムを貸してくれた。
警察署に戻って現像してみると、そのけもの道に人の足が写っていた。
ブーツしか写っていないが、大輔の後輩によれば「椿グループ」と対立している「松園グループ」のユニフォームらしい。
現場を押さえてやろうと意気込むくるみは、一人でけもの道を巡回する。
すると背後から突然クロロフォルムを嗅がされ、昏倒。
意識を取り戻すとそこは雪まつり会場。そして目の前にいたのは、あの写真家の父親だった。
彼が真犯人であると察したくるみに、彼は自分が与良部の生まれで、この自然豊かな山々を愛していること。だがそれが近年の開発により破壊されていることに怒りを覚えていることを語る。
そしてその怒りの矛先を、町の発展の象徴である雪像コンテストに向け、これをなんとしても失敗させようと目論んでいたのだった。
彼はくるみを雪の中に埋め込んだ少女の雪像を作り上げた。
椿グループのライオン像と並んでいるので「ライオンと少女」らしい。
このおっさん、自然保護活動で頭がいっぱいなのか、勝手に作品増やしたら、不審に思われるとかいう思慮はないようだ。
それにしても、僅かな時間で大した腕前である。ガチでコンテスト出るとか選択肢はなかったのだろうか?
優勝賞金で自然保護活動とか。
そこにスプリンクラーが雪像をより強固にするため水を降らせる。
明け方の冷え込みも加わり、くるみを包む雪は強固な氷と化してしまい、脱出は不可能となった。
せめて美しい与良部の夜明けを見ながら死んでいくがいいと、訳の分からない捨て台詞とともに彼は立ち去った。
郷土愛もここまでくれば病気である。
直後に彼の息子がくるみが閉じ込められた像に駆け寄ってきた。
一体何時なんだろう?子どもは家で寝ている時間だろうに。
少年はくるみを助けようと像を叩き割ろうとするが、凍て付いた氷の前に歯が立たない。
辛うじて会話はできるので、くるみは少年に岩のかけらを集め、さらに何かを頼んだ。
いや、人呼ぼうよ。そこはさ。
夜明けとともに雪まつりが始まった。
コンテストを控えた椿グループのメンバーの前に例の少年が現れ「この粉末を飾るときれいだ」とそそのかす。
まんざらでもないと思った椿グループは、言われるがままに粉を雪像に振りかけた。
そして少年はすぐに大輔を探し出す。
どうやってこの人物が大輔と判ったのかは、ナゾである。
観光客も大勢いるから、余所者だらけだったはずだし…
とにかく彼は大輔にくるみのスプリンクラーを作動させるよう伝言を伝える。
いや、だからさ、そこは救出を依頼しようよ、普通に。なんだろうこの暢気さ。舞台が田舎だからだろうか?そんなわけないと思うが。
ともかくスプリンクラーを作動させると、雪上に水が降り注がれ、会場はパニックになる。
同時に「ライオンと少女」にかけられた岩の粉が水に化学反応を起こし、熱を発散する。
岩のかけらの正体は石灰岩だった。その熱で一気に氷を溶かし、脱出したくるみ。
父親は現場から逃れようとしたが、息子の顔を見て足を止めてしまい、取り押さえられた。
大輔が締め括る。
「自然保護は大事だが、やり方を間違えたんだ…」

【今回の犯人】
氏名不詳(与良部出身、写真家、エコテロリスト)
【露見前】

【露見後】

【レビューという名のツッコミ】
はい、今回も「しんなりオチ」です。自然は大切にしませぅ。
それより、けもの道に写り込んでいた「松園グループ」の足はどうなったんでしょう?
人が来ないポイントに現れる以上、何もなかったではあんまりな気が…
特筆すべきは、今回の関係者が被害者以外全員氏名不詳なところ。なんでそんなことになったんだろう?
おかげで呼び名を書きにくいこと。作中でも既に顔見知りとなった犯人の息子を「ぼうや…」なんて呼んでるくらいです。実生活であまり使わない呼び名ですね。
余談ですが、被害者「さかいのぶこ」って一見平凡な名前ですが、第25回の犯人、沖元康樹同様にこれもあの薬物タレントのアナグラムなんでしょうか?時期的には一致してる気がします。
あ~やっと5巻も終わり。ラストスパートです。
雪の中の賭け!!
北海道与良部町…
休暇を利用してくるみと大輔はこの町で催される雪まつりの見物に来ていた。
下着殺人以来のプライベートの行動である。それに比べりゃごく真っ当ともいえる。
大輔の後輩がこの町の警察に勤務していることもあり、特権で開催前の誰もいない会場を見て廻ることができた。
いくつもの雪像が立ち並び、感心しながらも、雪像をベタベタ触るマナーの悪いくるみ。
その弾みだろうか、女神の雪像が割れる。
しかしその割れた雪像の中から全裸の女性が現れ、大騒ぎとなった。
おかげでくるみのマナーの悪さは棚上げである。ちっ。
その際、くるみは雪像にキラキラ光る妙な粉末を見つけていたが、それが何なのかは分からなかった。
若い被害者の女性は、酒井信子。3日前から行方不明となっていて、雪像が完成したのはその次の日らしい。
与良部町警察の署長は、この雪まつりは今年から町おこしとして、賞金1,000万円がかけられることになり、そのせいで制作グループ同士のいざこざが絶えないと漏らした。
被害者はそのグループでも優勝候補「椿グループ」の一員だったらしい。
24時間監視するのでこれ以上事態の悪化は防げるだろう締め括る署長の言葉にくるみは納得せず、一人で捜査を開始することにした。余計なお世話指数が高い気がする。
大輔はあくまでも管轄外だからとクチバシを挟むようなことはせず、これまた一人でススキノに行ってしまった。
ステキな夜をお過ごしになりに行かれたらしい。
くるみは会場の図面から、高い壁と夜間封鎖などから、残る出入口は1つの通用門だけと狙いを絞る。
通用門にはカメラが設置され、24時間監視されている。酒井信子が出入する姿も映っていたらしい。
ふと門扉の脇を見ると、見るからに妙な雪像が拵えられている。
完成度は低く、作品としての価値は皆無だが、事件現場にあったのと同じ光る粉末が振り撒かれており、くるみは「不細工だなぁ」と言いながらも興味を示す。
すると「不細工は余計だ」と木の上から少年が抗議してきた。
この粉は与良部山でならどこでも取れる岩のかけらで、そんなこと知らないのはくるみのような観光客くらいだという。
くるみを観光客と見抜くとは、中々良い眼力の少年である。ついでにくるみをおばさん扱いするのもナイス。
ともかく、詳しくは彼の父親の方が説明できるからと言われ、くるみは少年が住む与良部山中腹に向かうことにした。
そうとうな距離を登ってようやく見つけた山小屋。
そこに現れた熊のような大柄な男が少年の父親だった。
くるみを自宅に招き入れた父親は、くるみを女子大生と勘違いしたらしい。くるみもそれに乗じ、大学のミニコミ誌に雪像コンクールの話を載せたいのでインタビューしたいと出まかせを言う。
すると父親「それは町の観光課に聞けば…」ともっともな返事。
そこへ少年が父親の出版した写真集を持ってきた。写真家であるのが自慢らしい。
どうやら野生動物の撮影を中心に活躍しているらしく「けもの道に赤外線センサーを設置して自動撮影する」手法をとっているという。
聞けばコンクール会場にフェンスのない一角がある。
そこは人は全く往来せず、そばにもけもの道だけがあり、そこは監視カメラの死角となって会場に入れないこともないと判明した。
そこを利用すれば会場に入れるのか?とくるみが質問すると「地元の人間ですら知らない道だからとても通れるような代物ではない」と父親は否定する。
だが、消去法でそのけもの道以外考えられないとくるみは推理。
そのけもの道の赤外線センサーカメラはあるのかと質問するくるみに、父親は訝しがりながらも3日前の映像を収めたフィルムを貸してくれた。
警察署に戻って現像してみると、そのけもの道に人の足が写っていた。
ブーツしか写っていないが、大輔の後輩によれば「椿グループ」と対立している「松園グループ」のユニフォームらしい。
現場を押さえてやろうと意気込むくるみは、一人でけもの道を巡回する。
すると背後から突然クロロフォルムを嗅がされ、昏倒。
意識を取り戻すとそこは雪まつり会場。そして目の前にいたのは、あの写真家の父親だった。
彼が真犯人であると察したくるみに、彼は自分が与良部の生まれで、この自然豊かな山々を愛していること。だがそれが近年の開発により破壊されていることに怒りを覚えていることを語る。
そしてその怒りの矛先を、町の発展の象徴である雪像コンテストに向け、これをなんとしても失敗させようと目論んでいたのだった。
彼はくるみを雪の中に埋め込んだ少女の雪像を作り上げた。
椿グループのライオン像と並んでいるので「ライオンと少女」らしい。
このおっさん、自然保護活動で頭がいっぱいなのか、勝手に作品増やしたら、不審に思われるとかいう思慮はないようだ。
それにしても、僅かな時間で大した腕前である。ガチでコンテスト出るとか選択肢はなかったのだろうか?
優勝賞金で自然保護活動とか。
そこにスプリンクラーが雪像をより強固にするため水を降らせる。
明け方の冷え込みも加わり、くるみを包む雪は強固な氷と化してしまい、脱出は不可能となった。
せめて美しい与良部の夜明けを見ながら死んでいくがいいと、訳の分からない捨て台詞とともに彼は立ち去った。
郷土愛もここまでくれば病気である。
直後に彼の息子がくるみが閉じ込められた像に駆け寄ってきた。
一体何時なんだろう?子どもは家で寝ている時間だろうに。
少年はくるみを助けようと像を叩き割ろうとするが、凍て付いた氷の前に歯が立たない。
辛うじて会話はできるので、くるみは少年に岩のかけらを集め、さらに何かを頼んだ。
いや、人呼ぼうよ。そこはさ。
夜明けとともに雪まつりが始まった。
コンテストを控えた椿グループのメンバーの前に例の少年が現れ「この粉末を飾るときれいだ」とそそのかす。
まんざらでもないと思った椿グループは、言われるがままに粉を雪像に振りかけた。
そして少年はすぐに大輔を探し出す。
どうやってこの人物が大輔と判ったのかは、ナゾである。
観光客も大勢いるから、余所者だらけだったはずだし…
とにかく彼は大輔にくるみのスプリンクラーを作動させるよう伝言を伝える。
いや、だからさ、そこは救出を依頼しようよ、普通に。なんだろうこの暢気さ。舞台が田舎だからだろうか?そんなわけないと思うが。
ともかくスプリンクラーを作動させると、雪上に水が降り注がれ、会場はパニックになる。
同時に「ライオンと少女」にかけられた岩の粉が水に化学反応を起こし、熱を発散する。
岩のかけらの正体は石灰岩だった。その熱で一気に氷を溶かし、脱出したくるみ。
父親は現場から逃れようとしたが、息子の顔を見て足を止めてしまい、取り押さえられた。
大輔が締め括る。
「自然保護は大事だが、やり方を間違えたんだ…」

【今回の犯人】
氏名不詳(与良部出身、写真家、エコテロリスト)
【露見前】

【露見後】

【レビューという名のツッコミ】
はい、今回も「しんなりオチ」です。自然は大切にしませぅ。
それより、けもの道に写り込んでいた「松園グループ」の足はどうなったんでしょう?
人が来ないポイントに現れる以上、何もなかったではあんまりな気が…
特筆すべきは、今回の関係者が被害者以外全員氏名不詳なところ。なんでそんなことになったんだろう?
おかげで呼び名を書きにくいこと。作中でも既に顔見知りとなった犯人の息子を「ぼうや…」なんて呼んでるくらいです。実生活であまり使わない呼び名ですね。
余談ですが、被害者「さかいのぶこ」って一見平凡な名前ですが、第25回の犯人、沖元康樹同様にこれもあの薬物タレントのアナグラムなんでしょうか?時期的には一致してる気がします。
あ~やっと5巻も終わり。ラストスパートです。
スポンサーサイト
Comment
始めのシーンの雪像ですが…
コメントの投稿
Track Back
TB URL
雪像の中の被害者の女の子ですが、意識不明ながらも、冬眠に近い形で“安定した状態”で保たれていたのが、像が壊されたことで、急激に環境が変わって、かえって危険な状態になる可能性も…