胸キュン刑事第26回(第44、45話)
ナゾの新人!!
ナゾの診察室…
貿易商の立場を利用し、大麻を大量に密輸していた鮫島久三が逮捕され、音羽署に連行されていた。
彼の逮捕はバックにいる、暴力団講談組を壊滅させる大きなきっかけになるので、音羽署前にマスコミの取材班が大勢集まり、彼にフラッシュを浴びせる。
その大勢の前で突然鮫島は顔を大きく歪め、卒倒。そのまま死亡してしまった。死因は脳卒中らしい。
講談組を叩く切り札を失い、落胆する捜査一課。
そこへ三人の男が現れ、それぞれ本日付で配属となった石塚、長渕、赤星であると自己紹介した。
驚くくるみや大輔に「彼らの件を伝えるの忘れてた」とあっさり丸山課長。ひどい。
ついに後輩持ちになったと喜ぶくるみだが、そこにいきなり胸キュンが襲う。
誰にも触れてないのにかつてないほど痛いらしい。そりゃ純粋に何かの病気では?と思うのは読者だけらしい。
一方、捜査一課に新たな講談組壊滅の手立てが浮かんできた。
講談組組員、黒部という男が内部分裂から身の危険を感じ、情報と引き換えに保護を警察に求めてきたらしい。
極秘事項ということで丸山課長はくるみ、大輔に先の新人3人にだけこのことを伝え、黒部を保護して音羽署に連れて来るよう指示を出した。極秘事項に新人使うのもどうかと思うが…
公園で待っている黒部を迎えに行った5人、報復を警戒し周囲をくまなく調べるが異常はない。
そこへ黒部が現れ、道路を挟んで待っている捜査員と合流しようと渡り始めた。
ところがここで鮫島同様、黒部も卒倒し、そこへトラックが黒部を轢き殺してしまった。
組壊滅の再度のチャンスを失い、ますます落胆する捜査一課。
くるみは自身に起こった強烈な胸キュンと、新人の登場、そして二人の死の時期が合致することからなんとなく新人たちに疑いを抱く。
え?新人たちは鮫島の時は配属してなかったのに…と思ったら、現場にはいたらしい。
そんな場面なかったが、読者を甘やかさないスタンスなんだろう、後付けじゃないと思う、うん。
人事課に乗り込み、3人のファイルを借り受けるくるみ。
無人の資料室で3人の履歴を調べていると、赤星だけは国内の大学を休学して西ドイツの学院へ留学し、心理学を学んだ珍しい来歴の持ち主らしい。
妙に感心しているところに人の気配を感じたくるみ。
気を取り直してその西ドイツの学院の紋章を調べていると、突然本棚が倒れくるみは危うく潰されかける。
最初は偶然かと思い、すぐ助けを呼ぼうとドアへ向かうが、戸が閉まっていて開かない。
さらに突然衣服が破れ、当惑するくるみだったが、そこへ何かの声が頭に流れ込んできた。
「同志を痛めつける気はないが、邪魔をするなら…これは警告だ」
直後に勝手にブラのホックが弾ける。つまり、セクハラをされるんだろうか?
そもそも服を破る意図がいまいち図りかねるが…それでも警告は済んだのか、ドアは開き、くるみは解放された。
一方、講談組は壊滅の恐れが薄らいだせいか、街への支配を強めてきたらしい。
中々アグレッシブな組である。
くるみが思案している中、赤星の手に嵌められた例の西ドイツの学院の紋章を模した指輪を見かけ、改めて図書館で詳細を調べ始めるくるみ。
どうやらあの指輪は卒業生に与えられるものらしい。
おい、ちょっと待て、作中の時間は1988年。
彼の生まれは1965年。
ということは彼は、単純計算で23歳。休学した日本の大学はちゃんと卒業できてないんじゃあ…あれあれ?
ま、いいか、大事件の前では些末な問題であるっ。
西ドイツのその学院はシュルツ博士の心理学施設であるなど、もう知ってる情報を再確認するくるみだったが、突然背後の窓ガラスが割れ、その破片がくるみの衣服を裂き、さら戸棚が服の裾を挟み込んで動きを封じる。
再度くるみの頭に「忠告をきかなかったな」とナゾの声が届く。似たようなもんだけど、一応ツッコンでおこう。あんたさっき「警告」って言ってたけどな。
「同じ能力を持ちながら邪魔をする以上、死んでもらう…だがその能力に興味がある」
服が自然に剥ぎ取られ、おっぱいがあるはずのない手の形に歪められる。誰かが何かの能力で触っているらしい。
そのころ、くるみと赤星の姿が見えず、苛立つ丸山課長。
行き先のメモなどないかと大輔が赤星の机を調べると、パスポートが出てきた。
そんなもん、机の上に放置すんな。
そしてそのパスポートには驚くべきことに別人のような顔立ちの赤星の写真があった。というか別人である。骨格からして違う。
一方、正体不明の相手に憤るくるみ。その前に現れたのは…赤星だった。
そりゃあんだけあからさまに怪しいフラグ立てまくってたら、そうでしょう。
これで石塚や長渕だったらそれはそれですごいが。
とにかく正体を見せた赤星にくるみは食ってかかるが、赤星が手を握る素振りをすると、それだけでくるみの首に手形が浮き、締め上げる。
そして赤星とくるみは同種の人間であり、それゆえこうやって言葉を発することなく交信できるのだと頭に直接語りかける。
さらに赤星は続け、その気になれば互いに最高のパートナーになれるから手を組もうと持ちかけてきた。
バカなことを言うなと交信し返すくるみ。さすが赤星が認めただけあり、手馴れた感じで応酬できている。
だが、能力的には赤星の方が上らしい。申し出を拒絶された赤星は、残念だとしながらもくるみの意識を奪う。
場面は再び音羽署。
丸山課長は、かつて捜査一課に所蔵していた赤星裕明のことを思い出していた。顔を変えていたので同一人物とは気づかなかったらしい。
いやいや、同姓同名なら、少しくらい頭をよぎるだろ。それすらなかったんかい。
大輔は「どうして配属されるためにわざわざ整形までしたのか」と至極もっともな質問をぶつける。
丸山課長が語ろうとした矢先、当の赤星が課長に電話してきた。
課長の口ぶりから赤星は正体がばれたと察し「くるみを人質にしているから、当時のメンバーを集めて指定した場所に来い」と要請してきた。
指名された人員を揃え、指定された場所に向かう丸山課長は大輔に重い口を開く。
赤星は優秀な刑事だったが、自分が学んだ心理学を取り入れた捜査を提案するも、同僚達に拒絶されたことをきっかけに、組織内で孤立してしまった。
元々血の気が多いこともあり、ついには同僚を殴りつけ、派出所に左遷されてしまった結果、ますます生活は荒み、ついには家庭まで壊れ、休職していたらしい。
…7年前のことである。
え?7年前?
ってことは仮に大学卒業と同時に警察に勤めて、かつ既婚ということも考えれば、いざこざを起こした7年前+数年前で30歳は超えている可能性が高いとなる。
しかし、履歴書の内容が事実であるとしたら、彼は先も書いたとおり1965年生まれである。
連載時の時間で考えれば23歳前後。これなら新卒としては正しい。そもそも配属って言葉は普通新卒が使う言葉だし。
ってか「ナゾの新人」なんてタイトルになってるくらいだから、普通は新卒と考えるよね~?
どっちが正しいんだろう?
というか人事部門もそんな因縁ありきの人物を異動させんな。
意識を奪われたくるみが目を覚ますと無骨な岩肌と時折水滴が落ちる暗い光景が広がる。
どこかの洞窟に監禁されているらしい。椅子に括り付けられ、妙な測定機材が全身に貼り付けられている。ほぼ素っ裸だが、でもまたパンティだけは残っている。
なんでどいつもこいつも紳士なんだ。そこだけは。
赤星がやってきて素敵な研究対象だったと得意げに語り、くるみはその意を察して顔を赤らめる。何かされたんだろうか。してたら面白いのに。
超能力で鮫島や黒部を殺したこともあっさり認め、この力で当時の同僚たちに復讐することが目的らしい。
ちっさ。
というか、なぜそれで鮫島や黒部を殺す理由になるんだろう?
直接音羽署のメンバー殺せばいいのに。捜査妨害としてもあまり意味ないし、回りくどいなあ。
天才さんのやることはよぅわからん。
そこへ大輔たちが洞窟に現れた。
拳銃を構えくるみを解放するよう諭すが、赤星は慌てることなく洞窟の天井を指差す。
そこには無数のコウモリが天井にとまっている。
そしていきなりコウモリの生態について講釈を始める赤星。
コウモリは超音波で位置を正確に捉えられるので、暗闇でも障害物にぶつかることなく飛行できる。
訳が分からない音羽署メンバーに、さらに続ける赤星。
…ではその超音波機能を止めたコウモリがいたら…そのコウモリは所構わずぶつかることになる。実はそんなコウモリが一匹だけここにいる。
赤星からのますます意味不明な発言に困惑する一同。
大輔が改めて天井を凝視すると、コウモリの群れの奥に何か天井に据えつけられていることに気づいた。
それはワイヤーで吊るされた対戦車ミサイルだった。赤星が三沢基地から盗んできたらしい。
あんなでかいのを一人で盗んだのか…そして一人で吊るしたんだ…きっと超能力使ったんだろうな。もう魔法の言葉だ「ちょうのうりょく」。
天才さんのやることはよぅわからん。
そして彼が言うには、皆さんが騒ぎ立てるとふらつくコウモリがミサイルやワイヤーに触れて暴発するという。
だから、回りくどいってば。
ミサイルとか変なコウモリ用意せんでも、ふつーに爆弾と自爆スイッチとかでいいじゃん。
天才さんのやることはよぅわからん。
そして赤星は呼び出された元同僚の首を遠隔操作で絞め始め、いよいよ自身の計画の締め括りに入る。
銃を使いたいが、万一あのコウモリがミサイルに当たり暴発したらと考えると大輔も身動きがとれない。
ま、ぶつかったところで簡単に爆発はせんとは思うが。
大輔の胸中を察したくるみは、その一匹を見抜くコウモリがいないか思案し、ひとつの作戦に出る。
赤星の死角からくるみは足を使ってパンティを脱ぐ。
大輔はその様子を見て怪訝な表情をしていたが、やがてその意を察した。
すげぇな、このコンビ。
赤星がくるみの気配に気づいて振り返ったとき、くるみは足の指で摘んだパンティを思いっきり宙に放り投げていた。
くるみの大切な部分が目に飛び込み、ひるんだ赤星。
パンティが突然宙を舞ったため、驚いたコウモリたちは散り散りに飛び交う。
だがそこに一匹だけ天井でじっとしているコウモリがいた。音もなく飛ぶパンティに反応できないので、これこそ超音波を持たないコウモリということになる。
大輔はそのコウモリを撃ち落とし、危機は回避された。
なんかかわいそうなコウモリである。
大輔たちが赤星の確保に向かうが、赤星は抵抗もせず、撃ち落されたコウモリを抱えてブツブツ言うのみであった。
「赤星の開発し尽くされた神経は、罪の意識に耐えられなかった…貴重な才能だったのに、科学的に立証できないものを認めようとしない社会にもこの事件の一端はあるのかもしれない…」
くるみが無理やり締めて一連の事件は幕を引いたのだった…

【今回の犯人】
赤星裕明
今回は趣向を変えて…
【整形後】

【整形前】

【レビューという名のツッコミ】
まがりなりにも推理モノの側面がある以上、多少は知恵比べ的なものがないと困るんですが、ここ数回を見る限り、胸キュンワールドの場合は粗暴犯の方がお似合いなようです。
西部警察に古畑任三郎や杉下右京が赴任してきても困るのと一緒。いや赴任してきたのが、外見は古畑の格好したガッツ石松だったってそんな感じか。
あまりいい例えではなかったですね。失礼。
それはともかく、この回以降、妙に「犯人だけでなく社会が悪い」みたいなやたら社会派めいたオチが散見されるようになります。しかも絶妙に薄っぺら。
どうしたいんだろう本当に。方向性的に。赤星の年齢設定の件といい、投げやりな感じが充満しているのは気のせいでしょうか?
ここで読者が「しんみり」とした気持ちになれるかと言えば、おそらくNOでしょう。「そんなこと言われても…」とリアクションするしかないんじゃあ…
どちらかと言えば「げんなり」ですが、でもそれだとカドがたつ。
なので、以降この手のオチに対して本作品初回では間を取って「しんなりオチ」と呼ぶことにします。
以降お見知りおきを。結構頻度高いですよ?
ナゾの診察室…
貿易商の立場を利用し、大麻を大量に密輸していた鮫島久三が逮捕され、音羽署に連行されていた。
彼の逮捕はバックにいる、暴力団講談組を壊滅させる大きなきっかけになるので、音羽署前にマスコミの取材班が大勢集まり、彼にフラッシュを浴びせる。
その大勢の前で突然鮫島は顔を大きく歪め、卒倒。そのまま死亡してしまった。死因は脳卒中らしい。
講談組を叩く切り札を失い、落胆する捜査一課。
そこへ三人の男が現れ、それぞれ本日付で配属となった石塚、長渕、赤星であると自己紹介した。
驚くくるみや大輔に「彼らの件を伝えるの忘れてた」とあっさり丸山課長。ひどい。
ついに後輩持ちになったと喜ぶくるみだが、そこにいきなり胸キュンが襲う。
誰にも触れてないのにかつてないほど痛いらしい。そりゃ純粋に何かの病気では?と思うのは読者だけらしい。
一方、捜査一課に新たな講談組壊滅の手立てが浮かんできた。
講談組組員、黒部という男が内部分裂から身の危険を感じ、情報と引き換えに保護を警察に求めてきたらしい。
極秘事項ということで丸山課長はくるみ、大輔に先の新人3人にだけこのことを伝え、黒部を保護して音羽署に連れて来るよう指示を出した。極秘事項に新人使うのもどうかと思うが…
公園で待っている黒部を迎えに行った5人、報復を警戒し周囲をくまなく調べるが異常はない。
そこへ黒部が現れ、道路を挟んで待っている捜査員と合流しようと渡り始めた。
ところがここで鮫島同様、黒部も卒倒し、そこへトラックが黒部を轢き殺してしまった。
組壊滅の再度のチャンスを失い、ますます落胆する捜査一課。
くるみは自身に起こった強烈な胸キュンと、新人の登場、そして二人の死の時期が合致することからなんとなく新人たちに疑いを抱く。
え?新人たちは鮫島の時は配属してなかったのに…と思ったら、現場にはいたらしい。
そんな場面なかったが、読者を甘やかさないスタンスなんだろう、後付けじゃないと思う、うん。
人事課に乗り込み、3人のファイルを借り受けるくるみ。
無人の資料室で3人の履歴を調べていると、赤星だけは国内の大学を休学して西ドイツの学院へ留学し、心理学を学んだ珍しい来歴の持ち主らしい。
妙に感心しているところに人の気配を感じたくるみ。
気を取り直してその西ドイツの学院の紋章を調べていると、突然本棚が倒れくるみは危うく潰されかける。
最初は偶然かと思い、すぐ助けを呼ぼうとドアへ向かうが、戸が閉まっていて開かない。
さらに突然衣服が破れ、当惑するくるみだったが、そこへ何かの声が頭に流れ込んできた。
「同志を痛めつける気はないが、邪魔をするなら…これは警告だ」
直後に勝手にブラのホックが弾ける。つまり、セクハラをされるんだろうか?
そもそも服を破る意図がいまいち図りかねるが…それでも警告は済んだのか、ドアは開き、くるみは解放された。
一方、講談組は壊滅の恐れが薄らいだせいか、街への支配を強めてきたらしい。
中々アグレッシブな組である。
くるみが思案している中、赤星の手に嵌められた例の西ドイツの学院の紋章を模した指輪を見かけ、改めて図書館で詳細を調べ始めるくるみ。
どうやらあの指輪は卒業生に与えられるものらしい。
おい、ちょっと待て、作中の時間は1988年。
彼の生まれは1965年。
ということは彼は、単純計算で23歳。休学した日本の大学はちゃんと卒業できてないんじゃあ…あれあれ?
ま、いいか、大事件の前では些末な問題であるっ。
西ドイツのその学院はシュルツ博士の心理学施設であるなど、もう知ってる情報を再確認するくるみだったが、突然背後の窓ガラスが割れ、その破片がくるみの衣服を裂き、さら戸棚が服の裾を挟み込んで動きを封じる。
再度くるみの頭に「忠告をきかなかったな」とナゾの声が届く。似たようなもんだけど、一応ツッコンでおこう。あんたさっき「警告」って言ってたけどな。
「同じ能力を持ちながら邪魔をする以上、死んでもらう…だがその能力に興味がある」
服が自然に剥ぎ取られ、おっぱいがあるはずのない手の形に歪められる。誰かが何かの能力で触っているらしい。
そのころ、くるみと赤星の姿が見えず、苛立つ丸山課長。
行き先のメモなどないかと大輔が赤星の机を調べると、パスポートが出てきた。
そんなもん、机の上に放置すんな。
そしてそのパスポートには驚くべきことに別人のような顔立ちの赤星の写真があった。というか別人である。骨格からして違う。
一方、正体不明の相手に憤るくるみ。その前に現れたのは…赤星だった。
そりゃあんだけあからさまに怪しいフラグ立てまくってたら、そうでしょう。
これで石塚や長渕だったらそれはそれですごいが。
とにかく正体を見せた赤星にくるみは食ってかかるが、赤星が手を握る素振りをすると、それだけでくるみの首に手形が浮き、締め上げる。
そして赤星とくるみは同種の人間であり、それゆえこうやって言葉を発することなく交信できるのだと頭に直接語りかける。
さらに赤星は続け、その気になれば互いに最高のパートナーになれるから手を組もうと持ちかけてきた。
バカなことを言うなと交信し返すくるみ。さすが赤星が認めただけあり、手馴れた感じで応酬できている。
だが、能力的には赤星の方が上らしい。申し出を拒絶された赤星は、残念だとしながらもくるみの意識を奪う。
場面は再び音羽署。
丸山課長は、かつて捜査一課に所蔵していた赤星裕明のことを思い出していた。顔を変えていたので同一人物とは気づかなかったらしい。
いやいや、同姓同名なら、少しくらい頭をよぎるだろ。それすらなかったんかい。
大輔は「どうして配属されるためにわざわざ整形までしたのか」と至極もっともな質問をぶつける。
丸山課長が語ろうとした矢先、当の赤星が課長に電話してきた。
課長の口ぶりから赤星は正体がばれたと察し「くるみを人質にしているから、当時のメンバーを集めて指定した場所に来い」と要請してきた。
指名された人員を揃え、指定された場所に向かう丸山課長は大輔に重い口を開く。
赤星は優秀な刑事だったが、自分が学んだ心理学を取り入れた捜査を提案するも、同僚達に拒絶されたことをきっかけに、組織内で孤立してしまった。
元々血の気が多いこともあり、ついには同僚を殴りつけ、派出所に左遷されてしまった結果、ますます生活は荒み、ついには家庭まで壊れ、休職していたらしい。
…7年前のことである。
え?7年前?
ってことは仮に大学卒業と同時に警察に勤めて、かつ既婚ということも考えれば、いざこざを起こした7年前+数年前で30歳は超えている可能性が高いとなる。
しかし、履歴書の内容が事実であるとしたら、彼は先も書いたとおり1965年生まれである。
連載時の時間で考えれば23歳前後。これなら新卒としては正しい。そもそも配属って言葉は普通新卒が使う言葉だし。
ってか「ナゾの新人」なんてタイトルになってるくらいだから、普通は新卒と考えるよね~?
どっちが正しいんだろう?
というか人事部門もそんな因縁ありきの人物を異動させんな。
意識を奪われたくるみが目を覚ますと無骨な岩肌と時折水滴が落ちる暗い光景が広がる。
どこかの洞窟に監禁されているらしい。椅子に括り付けられ、妙な測定機材が全身に貼り付けられている。ほぼ素っ裸だが、でもまたパンティだけは残っている。
なんでどいつもこいつも紳士なんだ。そこだけは。
赤星がやってきて素敵な研究対象だったと得意げに語り、くるみはその意を察して顔を赤らめる。何かされたんだろうか。してたら面白いのに。
超能力で鮫島や黒部を殺したこともあっさり認め、この力で当時の同僚たちに復讐することが目的らしい。
ちっさ。
というか、なぜそれで鮫島や黒部を殺す理由になるんだろう?
直接音羽署のメンバー殺せばいいのに。捜査妨害としてもあまり意味ないし、回りくどいなあ。
天才さんのやることはよぅわからん。
そこへ大輔たちが洞窟に現れた。
拳銃を構えくるみを解放するよう諭すが、赤星は慌てることなく洞窟の天井を指差す。
そこには無数のコウモリが天井にとまっている。
そしていきなりコウモリの生態について講釈を始める赤星。
コウモリは超音波で位置を正確に捉えられるので、暗闇でも障害物にぶつかることなく飛行できる。
訳が分からない音羽署メンバーに、さらに続ける赤星。
…ではその超音波機能を止めたコウモリがいたら…そのコウモリは所構わずぶつかることになる。実はそんなコウモリが一匹だけここにいる。
赤星からのますます意味不明な発言に困惑する一同。
大輔が改めて天井を凝視すると、コウモリの群れの奥に何か天井に据えつけられていることに気づいた。
それはワイヤーで吊るされた対戦車ミサイルだった。赤星が三沢基地から盗んできたらしい。
あんなでかいのを一人で盗んだのか…そして一人で吊るしたんだ…きっと超能力使ったんだろうな。もう魔法の言葉だ「ちょうのうりょく」。
天才さんのやることはよぅわからん。
そして彼が言うには、皆さんが騒ぎ立てるとふらつくコウモリがミサイルやワイヤーに触れて暴発するという。
だから、回りくどいってば。
ミサイルとか変なコウモリ用意せんでも、ふつーに爆弾と自爆スイッチとかでいいじゃん。
天才さんのやることはよぅわからん。
そして赤星は呼び出された元同僚の首を遠隔操作で絞め始め、いよいよ自身の計画の締め括りに入る。
銃を使いたいが、万一あのコウモリがミサイルに当たり暴発したらと考えると大輔も身動きがとれない。
ま、ぶつかったところで簡単に爆発はせんとは思うが。
大輔の胸中を察したくるみは、その一匹を見抜くコウモリがいないか思案し、ひとつの作戦に出る。
赤星の死角からくるみは足を使ってパンティを脱ぐ。
大輔はその様子を見て怪訝な表情をしていたが、やがてその意を察した。
すげぇな、このコンビ。
赤星がくるみの気配に気づいて振り返ったとき、くるみは足の指で摘んだパンティを思いっきり宙に放り投げていた。
くるみの大切な部分が目に飛び込み、ひるんだ赤星。
パンティが突然宙を舞ったため、驚いたコウモリたちは散り散りに飛び交う。
だがそこに一匹だけ天井でじっとしているコウモリがいた。音もなく飛ぶパンティに反応できないので、これこそ超音波を持たないコウモリということになる。
大輔はそのコウモリを撃ち落とし、危機は回避された。
なんかかわいそうなコウモリである。
大輔たちが赤星の確保に向かうが、赤星は抵抗もせず、撃ち落されたコウモリを抱えてブツブツ言うのみであった。
「赤星の開発し尽くされた神経は、罪の意識に耐えられなかった…貴重な才能だったのに、科学的に立証できないものを認めようとしない社会にもこの事件の一端はあるのかもしれない…」
くるみが無理やり締めて一連の事件は幕を引いたのだった…

【今回の犯人】
赤星裕明
今回は趣向を変えて…
【整形後】

【整形前】

【レビューという名のツッコミ】
まがりなりにも推理モノの側面がある以上、多少は知恵比べ的なものがないと困るんですが、ここ数回を見る限り、胸キュンワールドの場合は粗暴犯の方がお似合いなようです。
西部警察に古畑任三郎や杉下右京が赴任してきても困るのと一緒。いや赴任してきたのが、外見は古畑の格好したガッツ石松だったってそんな感じか。
あまりいい例えではなかったですね。失礼。
それはともかく、この回以降、妙に「犯人だけでなく社会が悪い」みたいなやたら社会派めいたオチが散見されるようになります。しかも絶妙に薄っぺら。
どうしたいんだろう本当に。方向性的に。赤星の年齢設定の件といい、投げやりな感じが充満しているのは気のせいでしょうか?
ここで読者が「しんみり」とした気持ちになれるかと言えば、おそらくNOでしょう。「そんなこと言われても…」とリアクションするしかないんじゃあ…
どちらかと言えば「げんなり」ですが、でもそれだとカドがたつ。
なので、以降この手のオチに対して本作品初回では間を取って「しんなりオチ」と呼ぶことにします。
以降お見知りおきを。結構頻度高いですよ?
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レイアウト変えてみました
これまであまりレイアウトは深く考えずに(ちょっと色っぽいブログだ程度に主張するもので)やってきたのですが、たまには変えてみようと発心し、テンプレートを変えてみました。
余計シンプルになった気もしますが、文字は見やすくなったかなと…
何より文字幅が広がったのが収穫だと思います。
ホント、この辺の知識はド素人ですので…
余計シンプルになった気もしますが、文字は見やすくなったかなと…
何より文字幅が広がったのが収穫だと思います。
ホント、この辺の知識はド素人ですので…
胸キュン刑事第25回(第42、43話)
放送作家のナゾ!?
殺人シナリオ
新宿三友銀行で起きた10億円強奪事件が発生。
犯行グループは巧みな車のリレーで警察の追跡を振り切り、行方をくらましていた。
ニュースでは、小説家・番組プロデューサーなど様々な肩書きを持つマルチタレント沖元康樹がこの事件についてコメントしていた。
その番組を丸山課長たちが半信半疑で眺めている。
実は沖元が事件の真犯人だという匿名でのタレコミがあり、くるみと大輔が沖元の自宅マンションに家宅捜索に赴いていた。
その沖元宅では、事件に関するものは全く見当たらない。
そもそも沖元は社会的地位も収入もあり、事件を起こすほど生活が困窮しておらず動機がない。
そのせいか、くるみも大輔も今ひとつ本腰で調べている様子は伺えない。
結局捜索では何も出てこず、捜索を打ち切ったくるみたち。
ミーハーなくるみはちゃっかり色紙に沖元のサインを要求。
快くサインした沖元から色紙を渡されたくるみだが、その際胸キュンが反応。
いつもどおり、一転して沖元への疑いを抱くくるみだったが、もし沖元が犯人なら、10億もの現金はどこに隠したのかという課題が残った。
そこで署に帰ったくるみは、あらためて沖元の経歴を調べ、軽井沢に所有している別荘でインタビューを受けている写真入り記事などにも目をとおす。
大輔に相談するも「沖元はシロだ。そもそも事件当日、関東圏内の車は全て調べたが現金を積んだ車はなかった。どうやって軽井沢まで現金を運ぶのか」と相手にしない。
というか、車のリレーで取り逃がしているのははっきりしているんだから、車で運んだのだけは間違いないと思うんだけど。大輔の言い分が破綻しているのは気のせいだろうか?
ともかくも、なぜか別荘に10億円あると睨んだくるみは、沖元とその弟子が別荘に行っていることを知り、変装して雪山に迷ったフリをして別荘に乗り込む。
ちなみに、この時のくるみの偽名は「桂木」である。ああ、懐かしいなあ。
女性とはいえ、見ず知らずの人物の突然の登場にも沖元は紳士的に振舞い、雪山の夜道は危険だから泊まっていくよう弟子たちに部屋と風呂を用意させる。
潜入はひとまず成功したものの、弟子たちに監視されていると察したくるみは、証拠を掴もうにも身動きが取れない。
薦められるまま風呂に入り思案していたくるみだったが、脱衣所に沖元たちの気配を感じると、窓から脱出しようと試み、ついでに一計を案じる。
沖元たちが戸の隙間から浴室を覗くと、湯気の奥に後姿のくるみを見て大はしゃぎ。
だが沖元はその姿に異変を感じ取る。
実はくるみは浴室に窓の外から掻き入れて作った雪像で、沖元達を引き付け、その隙に別荘を捜査していた。
どうやって短時間であれほど精巧な雪像を作ったのか、そして浴室などという高温多湿な場所で雪像が果たしてどれだけ溶けずに踏ん張れたのか、考え出すとキリがないが気にするのは大人気ないのだろう。
一方うまく脱出したくるみは、バスタオル一枚で極寒に耐えながら改めて別荘に潜入し、調査を試みる。
いくつか部屋を調べるがこれといったものは出てこない。
ふと、くるみは今調べているこの部屋に見覚えがあると思い、良く考えるとこの部屋は沖元が雑誌のインタビューを受けていた写真の部屋だと気づいた。
思ったより手狭だと思ったくるみだったが、同時に壁の額縁が妙に外壁側にずれていると気づき、壁に何かあると直感したくるみは、壁を叩き割る。
すると中から大量の札束が姿を見せた。これが強奪された現金と考えたくるみだったが、そこにボウガンがくるみの頭上を掠め、ヅラを剥ぎ取る。
発射した相手は沖元だった。
逃げようとするくるみを沖元はバスタオルを剥ぎ取り、素っ裸にさせることで動きを封じ込める。
「この事件を引き起こしたのは自分の才能を確かめたかったからだ」と聞いてもないのに得意気に沖元は語る。
彼曰く、音羽署への匿名のタレコミも彼自身がやったもので、だからくるみが来ることも予め察していた。
なぜ、音羽署なのか?それは切れ者の女刑事がいることを知っていたから…らしい。
その切れ者がくるみらしい。だとしたら、天才を自称しているが相当な節穴のような気もする。
というか紙一重で天才ではない方のような気も(控えめな表現)。
天才的犯罪者の肩書きが欲しいと言ってるが、だったらだめじゃん。あんた名前が知れ渡る(=指名手配される)ことになるんだから。
そもそも、タレコミをしたところで、くるみが来るかどうかも分からないし、10億円の隠し場所を悟らせたいなら、あんな大仰に隠す理由はない。
というか、少なくとも彼の描くシナリオは犯罪者側が勝利するんだから、露見した時点で負けだろ。
もうむちゃくちゃである。
沖元を狂ってると罵倒するくるみ。それにカッとなった沖元はくるみを殴りつけ失神させる。
ま、狂ってるというのは間違ってないと思う。読者的には「天才犯罪者」沖元ではなく「破綻シナリオライター」沖元の方になるんだが。
だが、彼のシナリオは常に読者の想像の斜め上を行く。
意識を取り戻したくるみは、どこかの洞窟で氷板の上にくくりつけられていた。
胸、腰、両足首にそれぞれロープが渡され、ロープの端は全てその氷に打ち込まれている。
ほぼ全裸だが、なぜかパンティだけは履かされている。意外に紳士な犯罪者たちである。
変なの。
そこへバイプレイヤーとしての役割を演じてもらうと、語る沖元。
捜査をしていくうち、沖元に魅入られたくるみは、叶わぬ恋に煩悶し入水自殺する。沖元の写真を抱いて…
いやいやいやいや、おかしい、おかしい。
百万歩譲ってくるみが自殺するにしても、素っ裸同然の格好で入水自殺はしないだろ。
他にも色々ありすぎるけど、後述することにする。
氷板はロープ一本でツララに結わえられていて、これが折れたり溶けたりすれば、氷板はくるみごと滑降し、そのまま湖に落っこちるしくみらしい。
そしてそのツララに巨大な氷のレンズで朝日が浴びるよう細工していて、その時間差で沖元たちはアリバイ工作をするという。
氷ばっかだな、というかもはやピタゴラ装置である。
証拠は残らないと沖元は言うが、待て待て、あんたさっき自分の写真を無理やりくるみに持たせたばかりじゃん。
結局沖元たちは車で東京に引き上げてしまった。
くるみは何とか逃げ出そうともがくが、中々上手くいかない。
進退窮まったくるみは、体温で氷板を溶かそうと僅かに動く手を使ってパンティを膝まで下ろし、直で温める。
あんまり効果ないと思うが、それでも僅かに氷は溶け出し、若干の隙間ができた。
だが、氷のレンズは朝日を受けて氷板を結わえるツララに日光を照射。
とうとう氷板の重みに耐え切れず、ツララは折れ、くるみを乗せた氷板はすさまじい勢いで坂を下りだす。
やがてくるみの悲鳴が森にこだまし、氷板は湖に消えた。
だがしばらくして現場近くの雪からくるみのおしりが雪を割って現れる。
どうやらパンティが偶然途中の枝に引っかかり、事なきを得たらしい。
その時の様子から、パンティは片足分だけ脱げていたことになり、その空いた側が枝に引っかかったらしい。
え~と…どうやって引っかかったんだろう?だって両足首にはロープかまされているのに…脱げる要素ないと思うけど。
というか、仮に奇跡(という名の物理法則無視)が起きてパンティ引っかかったにしても、各部位に宛がわれていたロープが締まって大変なことになってたと思う。
入水自殺どころか、バラバラ殺人である。沖元もびっくりの展開だろう。
ま、ともかくくるみは九死に一生を得て、沖元逮捕に向かう。
自分が殺されかけたんだから、証拠もクソもないのである。珍しく逮捕状をしっかりとり、大輔ともにテレビ局に向かう、
格好つけて部屋を間違い女子更衣室に入るというサムいギャグをかますことも忘れない。
おそらく根底にあるのは今回は寒さがテーマなんだろう。多分。
沖元はミスコンの審査員として席に陣取っていた。コンテストそのものにはあまり関心がなく、専ら今回の事件の映像化を考えている。
そこへ中々いいスタイルの女性のプロフィールが告げられ、沖元は食指を動かす。
だがそこに現れたのは、コンテスト参加者として紛れこんだくるみだった。
10億円強奪と殺人未遂での逮捕を告げられ驚愕する沖元。
くるみは、おしりが霜焼けで大変だったんだからと思いながら、取り押さえられる沖元を見下ろすのだった。

【今回の犯人】
沖元康樹
【罪状】
10億円強奪
殺人未遂
【露見前】

【露見後】

【レビューという名のツッコミ】
はい、沖元のモデルはあの方ですね。バレバレ過ぎて逆に清清しい…
調べてみると、確かに当時もモデルの方が大いにブレイクしていたころでしたが、ま、今も昔もこの方のビジネスモデルは大して変わらんってことでしょうかね。
マルチ天才を称する割には、広く薄くあさーい感じの人物像は本作に中々マッチしてましたが。
今回の犯人沖元については、知的対決ってわけでもない…というか犯人が知的勝負のつもりでも、実態は全然知的でないので、その点では、怪人ロークよりもカオスなキャラクターともいえます。
本編では触れませんでしたが、壁に10億円を隠すトリック(?)ですが、これ実はかなりの厄介モノ。
詳細は割愛しますが、実は10億円では計算上、壁を埋めることは不可能か、あるいはできても発覚するほどの厚みは生まれません。
もちろん壁が新しいとかの違和感は別にしてですよ?
ただ、くるみは部屋の狭さから感づいてますから、厄介というわけです。
この天才小説家の書いた二時間ドラマ観てみたいです。違う意味で。
それと、犯人側がくるみを凄腕刑事と誉めそやし、天狗にでもなったのか、あろう事かオチはくるみのミスコン参加(必然性はまったくなし)。
くるみの自意識過剰ここに極まれりといった場面は、これまた違う意味で見ものです。
殺人シナリオ
新宿三友銀行で起きた10億円強奪事件が発生。
犯行グループは巧みな車のリレーで警察の追跡を振り切り、行方をくらましていた。
ニュースでは、小説家・番組プロデューサーなど様々な肩書きを持つマルチタレント沖元康樹がこの事件についてコメントしていた。
その番組を丸山課長たちが半信半疑で眺めている。
実は沖元が事件の真犯人だという匿名でのタレコミがあり、くるみと大輔が沖元の自宅マンションに家宅捜索に赴いていた。
その沖元宅では、事件に関するものは全く見当たらない。
そもそも沖元は社会的地位も収入もあり、事件を起こすほど生活が困窮しておらず動機がない。
そのせいか、くるみも大輔も今ひとつ本腰で調べている様子は伺えない。
結局捜索では何も出てこず、捜索を打ち切ったくるみたち。
ミーハーなくるみはちゃっかり色紙に沖元のサインを要求。
快くサインした沖元から色紙を渡されたくるみだが、その際胸キュンが反応。
いつもどおり、一転して沖元への疑いを抱くくるみだったが、もし沖元が犯人なら、10億もの現金はどこに隠したのかという課題が残った。
そこで署に帰ったくるみは、あらためて沖元の経歴を調べ、軽井沢に所有している別荘でインタビューを受けている写真入り記事などにも目をとおす。
大輔に相談するも「沖元はシロだ。そもそも事件当日、関東圏内の車は全て調べたが現金を積んだ車はなかった。どうやって軽井沢まで現金を運ぶのか」と相手にしない。
というか、車のリレーで取り逃がしているのははっきりしているんだから、車で運んだのだけは間違いないと思うんだけど。大輔の言い分が破綻しているのは気のせいだろうか?
ともかくも、なぜか別荘に10億円あると睨んだくるみは、沖元とその弟子が別荘に行っていることを知り、変装して雪山に迷ったフリをして別荘に乗り込む。
ちなみに、この時のくるみの偽名は「桂木」である。ああ、懐かしいなあ。
女性とはいえ、見ず知らずの人物の突然の登場にも沖元は紳士的に振舞い、雪山の夜道は危険だから泊まっていくよう弟子たちに部屋と風呂を用意させる。
潜入はひとまず成功したものの、弟子たちに監視されていると察したくるみは、証拠を掴もうにも身動きが取れない。
薦められるまま風呂に入り思案していたくるみだったが、脱衣所に沖元たちの気配を感じると、窓から脱出しようと試み、ついでに一計を案じる。
沖元たちが戸の隙間から浴室を覗くと、湯気の奥に後姿のくるみを見て大はしゃぎ。
だが沖元はその姿に異変を感じ取る。
実はくるみは浴室に窓の外から掻き入れて作った雪像で、沖元達を引き付け、その隙に別荘を捜査していた。
どうやって短時間であれほど精巧な雪像を作ったのか、そして浴室などという高温多湿な場所で雪像が果たしてどれだけ溶けずに踏ん張れたのか、考え出すとキリがないが気にするのは大人気ないのだろう。
一方うまく脱出したくるみは、バスタオル一枚で極寒に耐えながら改めて別荘に潜入し、調査を試みる。
いくつか部屋を調べるがこれといったものは出てこない。
ふと、くるみは今調べているこの部屋に見覚えがあると思い、良く考えるとこの部屋は沖元が雑誌のインタビューを受けていた写真の部屋だと気づいた。
思ったより手狭だと思ったくるみだったが、同時に壁の額縁が妙に外壁側にずれていると気づき、壁に何かあると直感したくるみは、壁を叩き割る。
すると中から大量の札束が姿を見せた。これが強奪された現金と考えたくるみだったが、そこにボウガンがくるみの頭上を掠め、ヅラを剥ぎ取る。
発射した相手は沖元だった。
逃げようとするくるみを沖元はバスタオルを剥ぎ取り、素っ裸にさせることで動きを封じ込める。
「この事件を引き起こしたのは自分の才能を確かめたかったからだ」と聞いてもないのに得意気に沖元は語る。
彼曰く、音羽署への匿名のタレコミも彼自身がやったもので、だからくるみが来ることも予め察していた。
なぜ、音羽署なのか?それは切れ者の女刑事がいることを知っていたから…らしい。
その切れ者がくるみらしい。だとしたら、天才を自称しているが相当な節穴のような気もする。
というか紙一重で天才ではない方のような気も(控えめな表現)。
天才的犯罪者の肩書きが欲しいと言ってるが、だったらだめじゃん。あんた名前が知れ渡る(=指名手配される)ことになるんだから。
そもそも、タレコミをしたところで、くるみが来るかどうかも分からないし、10億円の隠し場所を悟らせたいなら、あんな大仰に隠す理由はない。
というか、少なくとも彼の描くシナリオは犯罪者側が勝利するんだから、露見した時点で負けだろ。
もうむちゃくちゃである。
沖元を狂ってると罵倒するくるみ。それにカッとなった沖元はくるみを殴りつけ失神させる。
ま、狂ってるというのは間違ってないと思う。読者的には「天才犯罪者」沖元ではなく「破綻シナリオライター」沖元の方になるんだが。
だが、彼のシナリオは常に読者の想像の斜め上を行く。
意識を取り戻したくるみは、どこかの洞窟で氷板の上にくくりつけられていた。
胸、腰、両足首にそれぞれロープが渡され、ロープの端は全てその氷に打ち込まれている。
ほぼ全裸だが、なぜかパンティだけは履かされている。意外に紳士な犯罪者たちである。
変なの。
そこへバイプレイヤーとしての役割を演じてもらうと、語る沖元。
捜査をしていくうち、沖元に魅入られたくるみは、叶わぬ恋に煩悶し入水自殺する。沖元の写真を抱いて…
いやいやいやいや、おかしい、おかしい。
百万歩譲ってくるみが自殺するにしても、素っ裸同然の格好で入水自殺はしないだろ。
他にも色々ありすぎるけど、後述することにする。
氷板はロープ一本でツララに結わえられていて、これが折れたり溶けたりすれば、氷板はくるみごと滑降し、そのまま湖に落っこちるしくみらしい。
そしてそのツララに巨大な氷のレンズで朝日が浴びるよう細工していて、その時間差で沖元たちはアリバイ工作をするという。
氷ばっかだな、というかもはやピタゴラ装置である。
証拠は残らないと沖元は言うが、待て待て、あんたさっき自分の写真を無理やりくるみに持たせたばかりじゃん。
結局沖元たちは車で東京に引き上げてしまった。
くるみは何とか逃げ出そうともがくが、中々上手くいかない。
進退窮まったくるみは、体温で氷板を溶かそうと僅かに動く手を使ってパンティを膝まで下ろし、直で温める。
あんまり効果ないと思うが、それでも僅かに氷は溶け出し、若干の隙間ができた。
だが、氷のレンズは朝日を受けて氷板を結わえるツララに日光を照射。
とうとう氷板の重みに耐え切れず、ツララは折れ、くるみを乗せた氷板はすさまじい勢いで坂を下りだす。
やがてくるみの悲鳴が森にこだまし、氷板は湖に消えた。
だがしばらくして現場近くの雪からくるみのおしりが雪を割って現れる。
どうやらパンティが偶然途中の枝に引っかかり、事なきを得たらしい。
その時の様子から、パンティは片足分だけ脱げていたことになり、その空いた側が枝に引っかかったらしい。
え~と…どうやって引っかかったんだろう?だって両足首にはロープかまされているのに…脱げる要素ないと思うけど。
というか、仮に奇跡(という名の物理法則無視)が起きてパンティ引っかかったにしても、各部位に宛がわれていたロープが締まって大変なことになってたと思う。
入水自殺どころか、バラバラ殺人である。沖元もびっくりの展開だろう。
ま、ともかくくるみは九死に一生を得て、沖元逮捕に向かう。
自分が殺されかけたんだから、証拠もクソもないのである。珍しく逮捕状をしっかりとり、大輔ともにテレビ局に向かう、
格好つけて部屋を間違い女子更衣室に入るという
おそらく根底にあるのは今回は寒さがテーマなんだろう。多分。
沖元はミスコンの審査員として席に陣取っていた。コンテストそのものにはあまり関心がなく、専ら今回の事件の映像化を考えている。
そこへ中々いいスタイルの女性のプロフィールが告げられ、沖元は食指を動かす。
だがそこに現れたのは、コンテスト参加者として紛れこんだくるみだった。
10億円強奪と殺人未遂での逮捕を告げられ驚愕する沖元。
くるみは、おしりが霜焼けで大変だったんだからと思いながら、取り押さえられる沖元を見下ろすのだった。

【今回の犯人】
沖元康樹
【罪状】
10億円強奪
殺人未遂
【露見前】

【露見後】

【レビューという名のツッコミ】
はい、沖元のモデルはあの方ですね。バレバレ過ぎて逆に清清しい…
調べてみると、確かに当時もモデルの方が大いにブレイクしていたころでしたが、ま、今も昔もこの方のビジネスモデルは大して変わらんってことでしょうかね。
マルチ天才を称する割には、広く薄くあさーい感じの人物像は本作に中々マッチしてましたが。
今回の犯人沖元については、知的対決ってわけでもない…というか犯人が知的勝負のつもりでも、実態は全然知的でないので、その点では、怪人ロークよりもカオスなキャラクターともいえます。
本編では触れませんでしたが、壁に10億円を隠すトリック(?)ですが、これ実はかなりの厄介モノ。
詳細は割愛しますが、実は10億円では計算上、壁を埋めることは不可能か、あるいはできても発覚するほどの厚みは生まれません。
もちろん壁が新しいとかの違和感は別にしてですよ?
ただ、くるみは部屋の狭さから感づいてますから、厄介というわけです。
この天才小説家の書いた二時間ドラマ観てみたいです。違う意味で。
それと、犯人側がくるみを凄腕刑事と誉めそやし、天狗にでもなったのか、あろう事かオチはくるみのミスコン参加(必然性はまったくなし)。
くるみの自意識過剰ここに極まれりといった場面は、これまた違う意味で見ものです。
ハートキャッチいずみちゃんSS【第3回】
はみがき教室でむし歯ゼロ!?
ここはひばり幼稚園。
いずみとリンダはボランティアではみがき教室のレッスンにやって来ていた。
二人は控え室で入念に段取りを打ち合わせている。
どうやらこの部屋は普段は園児の工作室らしく、粘土の車や、空き缶で作ったロケットなど色々な作品や素材が所狭しと置かれている。
そこへ司会進行役の菊丸がやってきた。
いずみちゃんたち、そろそろ出番だよ~
あ、は~い!!
菊丸は、いずみが持っているカスタネットのような歯の模型を目にして眉をひそめた。
え?こんな人体模型の歯形で説明するの?
そうだけど…?
だめだめ!!そんなリアルなもの、幼稚園児が喜ぶわけないじゃない!!
いずみとリンダは、歯の模型と、実際の歯ブラシを使って説明した方が理解しやすいだろうと思っていたが菊丸の指摘を受け、急に不安になった。
そ、そうかな…
そう、それにリアルな大きさで解説したって、後ろの子は見えないでしょ?みんなが見えないと理解もできないよ。
そ、そうね…でもどうすればいいんだろう…
う~ん…そうだなぁ、方法がなくもないよ。
もったいぶりながら、菊丸がジロジロといずみを見つめている。
ほ、ほんと!?
菊丸はブツブツ言いながら何か思案している。
そうだなぁ…いずみちゃんとリンダどっちがいいだろう…
ナニガデスカ?
いずみとリンダはそれが何なのか全く理解できず、互いに顔を見合わせて首を傾げる。
白さはリンダなんだよね…でも…今日はピンクでしかもしま模様…
Oh…!!
菊丸の手がいつのまにかリンダのスカートをまくり、パンティの柄を確認している。
いずみちゃんは…?
間髪入れずいずみも同様にチェックする菊丸。
おお~レモンイエロー一色!!これならちょうどいい!!
きゃあ!!な、なにするのよぉ!!
慌ててスカートを押さえ、パンティを隠すいずみ。
それにちょうどスカートもピンク色だし…
え?
歯ブラシは…うん、これでいいな。
菊丸は部屋の隅にあるデッキブラシを手にしていた。
も、もう…なんとなくわかっちゃったぁ~!!
その場にへたり込んだいずみは、自然と手がスカートの上からおしりを押さえている。
あらら、さすがいずみちゃん、お察しがいい。
いずみは立ち上がって逃げ出そうとした。
リンダ!!いずみちゃんを押さえて!!
リンダ!!邪魔しないで!!わたし帰る!!
どっちに着くべきかリンダは迷った。
どいてよ、リンダ!!菊丸くんったら、わたしのおしりを歯に見立てて解説する気よ!!
Oh…
さすがのリンダも怯んだ。しかし、菊丸のひとことで形成は逆転した。
リンダ、いずみちゃんを逃がしたら、リンダのおしりでやるからね!!
NO!!
自分がそんな目に合わされては堪らないと思ったのか、リンダは持ち前の馬鹿力でいずみを押さえ込んだ。
いた、いたたた!!ああ~ん!!裏切り者ぉ~!!
どっすん!!
組み伏せられたいずみは、おしりを突き上げて怒りでぷるぷる震えている。
ピンクのスカートが大きく花開き、白いおしりとそれを包む薄いレモンイエローのパンティは、大きな歯茎と歯に見えなくもない。
確カニ、歯ニ見エマスネ!!
こ、こらぁ!!撫でるなぁ!!
よし、リンダ、この縄跳びでいずみちゃんの手首を縛って。
OK!
手首を縛られるといずみは自力で体勢を直すことすらできなくなってしまった。
うう~ん、いい形。よし、ちょっと待ってて!!
菊丸は部屋の隅から、大きなものを引きずってきた。
どうやら指人形劇に使う舞台装置らしい。
以前桂木先生が桃太郎の桃を演じたものがそのまま残っていたのを菊丸は知っていた。
よしよし、これでいずみちゃんの体を隠せば、ほら…!!
にゅんとと突き出たおしりとスカートの一部だけが客席側に現れた。
ナルホド、ヨクデキタ舞台装置デスネ。
二人が着々と準備を進めるのに抗うが如く、いずみは結び目を解こうと体を動かすとつられてぷるんぷるんとおしりも揺れる。
あ…
いずみが思わず吐息を漏らしたのに気付いた菊丸は、舞台裏に回りこむと目の前でしゃがみ込んでこう告げた。
いずみちゃん、桂木先生はおしりをそのまんま露出したんだよ。それに比べたらいずみちゃんはパンティ履いたままなんだから、ずっと楽だって。
そ、そりゃそうだけど…ってそーゆー問題ぢゃなぁい!!
考えてみてよ、何も知らないちびっ子たちの前でいずみちゃんはおしりで歯を演じるんだよ。スリリングじゃない?
ん…ん…
いずみは菊丸の言葉には反応するが、肯定も否定も判断できない声を漏らす。
いずみちゃんのおしりが、園児たちをむし歯から守るんだよ。
わ、わかったわよぉ…そ、そうよね、園児たちのためよね。
いずみは自分に言い聞かせるかのように呟きながら、ようやく状況を受け入れた。
で、でも条件があるわ…
何?
意外な申し出に菊丸は身構えた。
いい?絶対素手でおしりに触らないで。指一本でも触れたら、その場で終了なんだから。
わ、わかったよ…
それから、もう一つ。菊丸くん…それからリンダも絶対舞台の書き割りの外から中に入ったり、わたしの後ろに回りこまないこと!!え…ええ~!?
当たり前じゃない。あんたたちは司会進行をしてればいいの!!わざわざ舞台に回って変な角度から覗かれたくないのよ!!
制約を課せられた菊丸だったが、結局渋々これを受け入れた。
じゃあ、こっちも一つだけ追加で協力をお願いしちゃおうかな…
菊丸は、1メートルはあると思われる黒板用の定規を持っていずみに迫ってきた。
大広間には園児たちが幕の下りた書き割りを前に座っている。
そこに悠々と菊丸が現われた。
え~では、歯みがき教室をはじめまーす。
リンダが紐を引くと、書き割りの幕がサッと開く。
そこに現われたのは、見事な歯のオブジェだった。もちろんいずみのおしりである。
パンティを履いたままなので、ピンと張ったパンティの縁から、おしりの割れ目が僅かに覗かせている。
おお~!!
でっけぇ歯だぁ!!
園児たちはまさか女子高生のおしりだとは思いもせず、大きな歯が現われたと感心している。
(ああ~ん…もぉ~!!どうしてこうなるのよぉ!!)
いずみが嘆いているのは園児たちの前におしりを晒しているのはもちろん、菊丸の言いなりになってしまっている自身の押しの弱さだった。
姿勢を安定させるため、ガマンして!!
いずみは「歯」を演じる体勢を取ったが、おしりを突き上げてその姿勢を維持するのは中々辛いらしく、時折ゆらゆらとおしりを無意識に振っていた。
それが菊丸の癇に障ったらしく、姿勢を安定させると称して定規の両端をいずみの両膝の裏に、さらに膝の間に縛られた手首を通され、その手首も定規の中央に括りつけられていた。
つまり、いずみの体は、おしりを頂点に膝を軽く強制開脚された三角錐になっていた。
(ああっ、こ、子どもたちが見てるぅ…)
無論いずみだと悟ってはいないが、その分視線が容赦なくいずみのおしりに注がれているのをいずみは感じていた。
無意識に手を自身の股間に伸ばそうとするが、定規に縛られた手首がクンと引っかかり、皮肉なことにそれが辛うじていずみの理性を呼び戻す。
自由にならない手足にもどかしさを覚えながらも、とにかくここは乗り切ろうといずみは努めて冷静さを保とうとした。
(そ、そうよね、絶対に触らないって約束なんだから…)
さぁ、みんな~今日は歯みがきがいかに大事かというお話をします。
菊丸がゆっくりと話し始めた。
菊丸は先端が人差し指を立てた手を模した指し棒を持っている。
これはみんなのお口の中にある歯を大きくした模型です。
指し棒でツンツンとおしりを突付く。
ああん…こらぁ触るなって約束ぅ…
いずみが菊丸にそっと抗議する。
だって直接触ってないも~ん!!
ず、ずるぅい!!
ほらほら興奮すると、赤く色づいて、歯っぽくなくなっちゃうから…
も、もぉ~!!
怒りに震えながらもいずみは心を鎮め、何とか平静を保とうと努めた。
食べ物を食べると、この歯のようにうっすらと食べかすから生まれる膜…歯垢が歯に貼りついてしまうんです。
どうやら菊丸は、いずみの淡い黄色のパンティを歯垢に例えているらしい。
だから…
菊丸は歯ブラシに見立てたデッキブラシをおしりに押し当てた。
あ…
思わずいずみはゾクッとした。
不意に菊丸はデッキブラシを大きく動かした。
きゃあん!?
ゴシゴシとおしりが磨かれ、やがてパンティが徐々にずれ始めた。
あ…や、やだぁ!!
半ズレのパンティから菊丸はデッキブラシを挿し入れ、さらにおしりを満遍なく磨く。
やっやぁ~ん!!く、くすぐったぁい!!
程よいチクチクとしたケバの感触がいずみを刺激する。
こ、こらぁ…菊丸ぅ…
鳥肌を浮かべ、園児たちに聞こえない程度の大きさの声で菊丸に抗議するが、それに反して身体はピクンピクンとまんざらでもない反応を見せる。
静かに、いずみちゃん!!子どもたちが見てるんだから!!
菊丸もまたいずみのおしりにささやく。
(ああん…こ、こんな恥ずかしいこと…見られてるぅ!!)
改めて大勢の視線を自覚したいずみに、えも言われぬ興奮がこみ上げてきた。
やがてプリンと薄皮が剥けたかのようにパンティがおしりから半分以上ずれたところで、菊丸はようやく手を止めた。
この食べかすの膜が付かないよう、毎日の歯みがきが大切になってくるわけです。
わぁ…真っ白な歯…
なるほど…
子どもたちも神妙に聞き入っている。
あ~ん…
なまじ間違ったことは言ってないだけに、いずみは怒るに怒れない。
菊丸の講義は続く。
さて、みんなは歯ブラシだけじゃ歯はきれいにならないって知ってるかな?
子どもたちは菊丸の問いかけにキョトンとしている。
歯ぐきや歯と歯の隙間に汚れが入るとそれもむし歯の大きな原因になります。
こーゆー歯の隙間は、糸楊枝や歯間ブラシを言われる小さなもので磨くのが一番なんだよ。
へぇ…
今日はこの歯の模型が立派…じゃない、大きいので、歯間ブラシの代わりにこれを使います。
菊丸が懐から取り出したのは、普通の歯ブラシだった。冒頭いずみが持っていたものだ。
菊丸はそれをおしりの溝に突っ込む。
ひゃああ!?
デッキブラシより遥かに柔らかく繊細なケバがいずみを襲う。
普段おしりの溝など他人はもちろん、本人ですら中々触れないため、感度は特に良いらしい。
菊丸が歯ブラシを細かく振動させながら、徐々に溝の奥へ奥へと進める。
ひゃっひゃぁあ!?だ、だめぇ!!あんまりそっちに行ったら、おっおしりの…あ!!
歯ブラシの先端は溝と脱げかけのパンティに隠れ、菊丸もリンダも園児たちもその様子は伺えない。
だが、いずみだけはその触感から、その座標を正確無比に把握していた。
あの歯、震えてない?
きっと電動式ブラシなのよ。
園児たちがささやき合う。
そ、そこは磨かなくていいからぁ!!
辛うじて理性を振り絞り、いずみはおしりをキュッと締め、歯ブラシがそれ以上奥には行かせないようにする。
ぐっ?
菊丸の手が止められてしまった。
ぐぬぬ…ならば…
…とまあ、こんな風に狭いところもしっかり磨きましょう。
といずみへの攻撃は諦めた風で、子供たちに解説し、歯間ブラシ解説を締めくくった
歯ブラシを本当に引き抜こうという動きがいずみに伝わったので、いずみもおしりを緩める。
そして菊丸は本当に歯ブラシを素直に引き抜いた。だがおしりは丸出しのまま晒されている。
さて、みなさん。今のようにこまめに歯を磨いていればこの歯垢の膜は付きにくいです。
園児たちがうなづく。
しかし、みんなが大好きなお菓子は、歯にはとても恐ろしい敵でもあります。
菊丸はそう言いながら懐から赤い棒のようなものを取り出した。
…!!そ、それって…
いずみはその形状を見て愕然となった。
ど、どこで見つけてきたの、そんなもん!!
控え室だよ、工作の素材がいっぱいあったでしょ?これも手作り作品の素材だと思うよ。
菊丸が握っていたのは、真っ赤なローソクだった。菊丸が推察したとおり、園児たちが手作りローソクを作る際に、溶かして素材とするものだ。
そのけばけばしい原色特有の赤にいずみは何故か魅入られている。
ど、どうするの…?
菊丸は答える代わりに、いずみにも見えるように大仰にマッチを擦り、ローソクに火を燈した。
や、やっぱりぃ…
いずみは心臓の鼓動が早くなるのを抑えられない。
さて今日はこれを口の中で噛んで柔らかくなった飴と思ってください。
子どもたちはうなづく。
これは非常に粘り気があり、歯にくっつきやすい。こんな風に…
菊丸がローソクを傾ける。
いずみは思わず目を閉じた。
く、くるぅ!!
一瞬の間だったが、ローソクから溶けた蝋が一粒、滴り落ちた。
ぽたっ…
(あ、あっつぅ~ぃ!!)
赤い蝋がおしりに貼り付き、ピクッと反応する。
飴はこうやってどんな隙間にも垂れちゃうから、歯の天敵です。
続けざまに蝋を垂らされ、いずみのおしりが蝋でどんどん赤く染まる。
一瞬ジュッと熱さが襲い、直後に痛みがスッと引く。
ああ…これ…意外と…
いずみは息を乱しながら、心もかき乱される。
ぽたっぽたっ…
あっああっ…ああん…
おしりのかなりの部分が溶け落ちた蝋で覆われ、やがてそれが乾いてごつごつとした膜を作り上げた。
わぁ…すげぇ…
こうなったら、すぐに歯を磨かないと、手遅れになります。
再度、デッキブラシをあてがい、ゴシゴシとおしりが擦られる。
今度は乾いた蝋がぽろぽろと崩れ落ち、本当に歯を磨いているように見える。しばらくすると蝋はきれいに剥がれ落ち、再びいずみのおしりが丸見えになった。
ただ、蝋を垂らされた箇所は、その熱でほんのりピンク色に染まっている。
はぁっはぁっ…
いずみはここまでくると、五感を刺激されまくっていて、抵抗する余力などほとんどない。
それどころか、心の奥底で
(もう…つ、次はどんな仕打ちを受けるのかしら…)
期待しているようですらあった。
手遅れになると、あっというまに虫歯菌に歯は説かされ…虫歯になります。
菊丸の解説に園児たちは真剣に耳を傾ける。
一見この歯も歯みがきできれいになったように見えますが…リンダ君、お願いします。
ハーイ!!
リンダが何かを持って来て菊丸に渡す。
歯の裏はこんな風に穴が空いちゃうんです!!
書き割り側からおしりを飛び越え、何かが影を作っている。
…?
いずみは体が倒れないよう、姿勢はそのままに首を背面に捻った。
そこには、大きな棒状のものがあった。先端は円状のダンボールが据えつけられていて、同じ形のアルミホイルが貼り付けてある。
それは、ありあわせの素材で作った巨大な口内鏡だった。
え、ええ~!?
そしてそこには、ややぼやけてはいるものの、ハッキリといずみの大切な部分が映り込んでいた、
あ…ああ~ん!!み、見ないでぇ!!
いずみは思わず絶叫したが、それに合わせるかのように、アルミホイルに映ったピンクの輪郭がパクパク動く。
みんな~むし歯になったら、こんな風に歯に大きな穴が開いちゃうんだよ。だから、ちゃんと歯みがきしようねぇ~!!
菊丸の締めの言葉に子どもたちは素直に「は~い!!」と返事をするのだった。
(ああ~ん…わ、わたしのを虫歯の穴にたとえるなぁ~!!)
歯みがき教室は大成功を収め、いずみたちは帰路に着く。
菊丸の頬には大きな手形が残っている。
もう~いずみちゃん、いつまで怒ってんの~?
怒るに決まってるでしょ!!おしりに蝋は垂らされて熱い思いはさせられるし、パンティにも蝋が染みてカピカピにされちゃうし…そ、それに…
それに?
わ、わたしの大切な部分を晒されちゃうし…もぅ…最低!!
Ohソレハ大丈夫デース!!アレハ、映ッタモノシカ見テマセンヨ。
そうそう、誰も直接は見てないわけだし…それに約束どおりぼくらはいずみちゃんに指一本触れてないよ?
そ、そーゆー問題じゃなぁい!!
デモ…チョット開放感アッテ良サソウカモ…
意外にもリンダが興味を示しだした。
お、リンダ、じゃあ次回やってみる?来週も別の幼稚園で同じイベントあったよね?
菊丸がそそのかし始める。
イインデスカ?
そりゃいずみちゃんが嫌がってるんだから、やりたい人がやればいいと思うよ。ね?いずみちゃん?
意味ありげな視線を送られ、いずみはちょっとひるんだ。
え…?ええ…
そうだよね、リンダの方が元々おしりが白いんだし、似合うと思うよ。
ちょ、ちょっと…ホントにリンダで大丈夫なの…?
妙にモジモジしているいずみをよそに、菊丸とリンダは話を進める。
ア…デモ…
ん?どうしたの?
蝋ヲ垂ラサレルノハ、チョット…ワタシ、ソーユー趣味ハ…
いずみは思わず、自分から名乗り出ていた。
ほ、ほら、リンダじゃ無理があるわよ。わ、わたしが次回も…お、おしり出してあげるからぁ!!
ここはひばり幼稚園。
いずみとリンダはボランティアではみがき教室のレッスンにやって来ていた。
二人は控え室で入念に段取りを打ち合わせている。
どうやらこの部屋は普段は園児の工作室らしく、粘土の車や、空き缶で作ったロケットなど色々な作品や素材が所狭しと置かれている。
そこへ司会進行役の菊丸がやってきた。
いずみちゃんたち、そろそろ出番だよ~
あ、は~い!!
菊丸は、いずみが持っているカスタネットのような歯の模型を目にして眉をひそめた。
え?こんな人体模型の歯形で説明するの?
そうだけど…?
だめだめ!!そんなリアルなもの、幼稚園児が喜ぶわけないじゃない!!
いずみとリンダは、歯の模型と、実際の歯ブラシを使って説明した方が理解しやすいだろうと思っていたが菊丸の指摘を受け、急に不安になった。
そ、そうかな…
そう、それにリアルな大きさで解説したって、後ろの子は見えないでしょ?みんなが見えないと理解もできないよ。
そ、そうね…でもどうすればいいんだろう…
う~ん…そうだなぁ、方法がなくもないよ。
もったいぶりながら、菊丸がジロジロといずみを見つめている。
ほ、ほんと!?
菊丸はブツブツ言いながら何か思案している。
そうだなぁ…いずみちゃんとリンダどっちがいいだろう…
ナニガデスカ?
いずみとリンダはそれが何なのか全く理解できず、互いに顔を見合わせて首を傾げる。
白さはリンダなんだよね…でも…今日はピンクでしかもしま模様…
Oh…!!
菊丸の手がいつのまにかリンダのスカートをまくり、パンティの柄を確認している。
いずみちゃんは…?
間髪入れずいずみも同様にチェックする菊丸。
おお~レモンイエロー一色!!これならちょうどいい!!
きゃあ!!な、なにするのよぉ!!
慌ててスカートを押さえ、パンティを隠すいずみ。
それにちょうどスカートもピンク色だし…
え?
歯ブラシは…うん、これでいいな。
菊丸は部屋の隅にあるデッキブラシを手にしていた。
も、もう…なんとなくわかっちゃったぁ~!!
その場にへたり込んだいずみは、自然と手がスカートの上からおしりを押さえている。
あらら、さすがいずみちゃん、お察しがいい。
いずみは立ち上がって逃げ出そうとした。
リンダ!!いずみちゃんを押さえて!!
リンダ!!邪魔しないで!!わたし帰る!!
どっちに着くべきかリンダは迷った。
どいてよ、リンダ!!菊丸くんったら、わたしのおしりを歯に見立てて解説する気よ!!
Oh…
さすがのリンダも怯んだ。しかし、菊丸のひとことで形成は逆転した。
リンダ、いずみちゃんを逃がしたら、リンダのおしりでやるからね!!
NO!!
自分がそんな目に合わされては堪らないと思ったのか、リンダは持ち前の馬鹿力でいずみを押さえ込んだ。
いた、いたたた!!ああ~ん!!裏切り者ぉ~!!
どっすん!!
組み伏せられたいずみは、おしりを突き上げて怒りでぷるぷる震えている。
ピンクのスカートが大きく花開き、白いおしりとそれを包む薄いレモンイエローのパンティは、大きな歯茎と歯に見えなくもない。
確カニ、歯ニ見エマスネ!!
こ、こらぁ!!撫でるなぁ!!
よし、リンダ、この縄跳びでいずみちゃんの手首を縛って。
OK!
手首を縛られるといずみは自力で体勢を直すことすらできなくなってしまった。
うう~ん、いい形。よし、ちょっと待ってて!!
菊丸は部屋の隅から、大きなものを引きずってきた。
どうやら指人形劇に使う舞台装置らしい。
以前桂木先生が桃太郎の桃を演じたものがそのまま残っていたのを菊丸は知っていた。
よしよし、これでいずみちゃんの体を隠せば、ほら…!!
にゅんとと突き出たおしりとスカートの一部だけが客席側に現れた。
ナルホド、ヨクデキタ舞台装置デスネ。
二人が着々と準備を進めるのに抗うが如く、いずみは結び目を解こうと体を動かすとつられてぷるんぷるんとおしりも揺れる。
あ…
いずみが思わず吐息を漏らしたのに気付いた菊丸は、舞台裏に回りこむと目の前でしゃがみ込んでこう告げた。
いずみちゃん、桂木先生はおしりをそのまんま露出したんだよ。それに比べたらいずみちゃんはパンティ履いたままなんだから、ずっと楽だって。
そ、そりゃそうだけど…ってそーゆー問題ぢゃなぁい!!
考えてみてよ、何も知らないちびっ子たちの前でいずみちゃんはおしりで歯を演じるんだよ。スリリングじゃない?
ん…ん…
いずみは菊丸の言葉には反応するが、肯定も否定も判断できない声を漏らす。
いずみちゃんのおしりが、園児たちをむし歯から守るんだよ。
わ、わかったわよぉ…そ、そうよね、園児たちのためよね。
いずみは自分に言い聞かせるかのように呟きながら、ようやく状況を受け入れた。
で、でも条件があるわ…
何?
意外な申し出に菊丸は身構えた。
いい?絶対素手でおしりに触らないで。指一本でも触れたら、その場で終了なんだから。
わ、わかったよ…
それから、もう一つ。菊丸くん…それからリンダも絶対舞台の書き割りの外から中に入ったり、わたしの後ろに回りこまないこと!!え…ええ~!?
当たり前じゃない。あんたたちは司会進行をしてればいいの!!わざわざ舞台に回って変な角度から覗かれたくないのよ!!
制約を課せられた菊丸だったが、結局渋々これを受け入れた。
じゃあ、こっちも一つだけ追加で協力をお願いしちゃおうかな…
菊丸は、1メートルはあると思われる黒板用の定規を持っていずみに迫ってきた。
大広間には園児たちが幕の下りた書き割りを前に座っている。
そこに悠々と菊丸が現われた。
え~では、歯みがき教室をはじめまーす。
リンダが紐を引くと、書き割りの幕がサッと開く。
そこに現われたのは、見事な歯のオブジェだった。もちろんいずみのおしりである。
パンティを履いたままなので、ピンと張ったパンティの縁から、おしりの割れ目が僅かに覗かせている。
おお~!!
でっけぇ歯だぁ!!
園児たちはまさか女子高生のおしりだとは思いもせず、大きな歯が現われたと感心している。
(ああ~ん…もぉ~!!どうしてこうなるのよぉ!!)
いずみが嘆いているのは園児たちの前におしりを晒しているのはもちろん、菊丸の言いなりになってしまっている自身の押しの弱さだった。
姿勢を安定させるため、ガマンして!!
いずみは「歯」を演じる体勢を取ったが、おしりを突き上げてその姿勢を維持するのは中々辛いらしく、時折ゆらゆらとおしりを無意識に振っていた。
それが菊丸の癇に障ったらしく、姿勢を安定させると称して定規の両端をいずみの両膝の裏に、さらに膝の間に縛られた手首を通され、その手首も定規の中央に括りつけられていた。
つまり、いずみの体は、おしりを頂点に膝を軽く強制開脚された三角錐になっていた。
(ああっ、こ、子どもたちが見てるぅ…)
無論いずみだと悟ってはいないが、その分視線が容赦なくいずみのおしりに注がれているのをいずみは感じていた。
無意識に手を自身の股間に伸ばそうとするが、定規に縛られた手首がクンと引っかかり、皮肉なことにそれが辛うじていずみの理性を呼び戻す。
自由にならない手足にもどかしさを覚えながらも、とにかくここは乗り切ろうといずみは努めて冷静さを保とうとした。
(そ、そうよね、絶対に触らないって約束なんだから…)
さぁ、みんな~今日は歯みがきがいかに大事かというお話をします。
菊丸がゆっくりと話し始めた。
菊丸は先端が人差し指を立てた手を模した指し棒を持っている。
これはみんなのお口の中にある歯を大きくした模型です。
指し棒でツンツンとおしりを突付く。
ああん…こらぁ触るなって約束ぅ…
いずみが菊丸にそっと抗議する。
だって直接触ってないも~ん!!
ず、ずるぅい!!
ほらほら興奮すると、赤く色づいて、歯っぽくなくなっちゃうから…
も、もぉ~!!
怒りに震えながらもいずみは心を鎮め、何とか平静を保とうと努めた。
食べ物を食べると、この歯のようにうっすらと食べかすから生まれる膜…歯垢が歯に貼りついてしまうんです。
どうやら菊丸は、いずみの淡い黄色のパンティを歯垢に例えているらしい。
だから…
菊丸は歯ブラシに見立てたデッキブラシをおしりに押し当てた。
あ…
思わずいずみはゾクッとした。
不意に菊丸はデッキブラシを大きく動かした。
きゃあん!?
ゴシゴシとおしりが磨かれ、やがてパンティが徐々にずれ始めた。
あ…や、やだぁ!!
半ズレのパンティから菊丸はデッキブラシを挿し入れ、さらにおしりを満遍なく磨く。
やっやぁ~ん!!く、くすぐったぁい!!
程よいチクチクとしたケバの感触がいずみを刺激する。
こ、こらぁ…菊丸ぅ…
鳥肌を浮かべ、園児たちに聞こえない程度の大きさの声で菊丸に抗議するが、それに反して身体はピクンピクンとまんざらでもない反応を見せる。
静かに、いずみちゃん!!子どもたちが見てるんだから!!
菊丸もまたいずみのおしりにささやく。
(ああん…こ、こんな恥ずかしいこと…見られてるぅ!!)
改めて大勢の視線を自覚したいずみに、えも言われぬ興奮がこみ上げてきた。
やがてプリンと薄皮が剥けたかのようにパンティがおしりから半分以上ずれたところで、菊丸はようやく手を止めた。
この食べかすの膜が付かないよう、毎日の歯みがきが大切になってくるわけです。
わぁ…真っ白な歯…
なるほど…
子どもたちも神妙に聞き入っている。
あ~ん…
なまじ間違ったことは言ってないだけに、いずみは怒るに怒れない。
菊丸の講義は続く。
さて、みんなは歯ブラシだけじゃ歯はきれいにならないって知ってるかな?
子どもたちは菊丸の問いかけにキョトンとしている。
歯ぐきや歯と歯の隙間に汚れが入るとそれもむし歯の大きな原因になります。
こーゆー歯の隙間は、糸楊枝や歯間ブラシを言われる小さなもので磨くのが一番なんだよ。
へぇ…
今日はこの歯の模型が立派…じゃない、大きいので、歯間ブラシの代わりにこれを使います。
菊丸が懐から取り出したのは、普通の歯ブラシだった。冒頭いずみが持っていたものだ。
菊丸はそれをおしりの溝に突っ込む。
ひゃああ!?
デッキブラシより遥かに柔らかく繊細なケバがいずみを襲う。
普段おしりの溝など他人はもちろん、本人ですら中々触れないため、感度は特に良いらしい。
菊丸が歯ブラシを細かく振動させながら、徐々に溝の奥へ奥へと進める。
ひゃっひゃぁあ!?だ、だめぇ!!あんまりそっちに行ったら、おっおしりの…あ!!
歯ブラシの先端は溝と脱げかけのパンティに隠れ、菊丸もリンダも園児たちもその様子は伺えない。
だが、いずみだけはその触感から、その座標を正確無比に把握していた。
あの歯、震えてない?
きっと電動式ブラシなのよ。
園児たちがささやき合う。
そ、そこは磨かなくていいからぁ!!
辛うじて理性を振り絞り、いずみはおしりをキュッと締め、歯ブラシがそれ以上奥には行かせないようにする。
ぐっ?
菊丸の手が止められてしまった。
ぐぬぬ…ならば…
…とまあ、こんな風に狭いところもしっかり磨きましょう。
といずみへの攻撃は諦めた風で、子供たちに解説し、歯間ブラシ解説を締めくくった
歯ブラシを本当に引き抜こうという動きがいずみに伝わったので、いずみもおしりを緩める。
そして菊丸は本当に歯ブラシを素直に引き抜いた。だがおしりは丸出しのまま晒されている。
さて、みなさん。今のようにこまめに歯を磨いていればこの歯垢の膜は付きにくいです。
園児たちがうなづく。
しかし、みんなが大好きなお菓子は、歯にはとても恐ろしい敵でもあります。
菊丸はそう言いながら懐から赤い棒のようなものを取り出した。
…!!そ、それって…
いずみはその形状を見て愕然となった。
ど、どこで見つけてきたの、そんなもん!!
控え室だよ、工作の素材がいっぱいあったでしょ?これも手作り作品の素材だと思うよ。
菊丸が握っていたのは、真っ赤なローソクだった。菊丸が推察したとおり、園児たちが手作りローソクを作る際に、溶かして素材とするものだ。
そのけばけばしい原色特有の赤にいずみは何故か魅入られている。
ど、どうするの…?
菊丸は答える代わりに、いずみにも見えるように大仰にマッチを擦り、ローソクに火を燈した。
や、やっぱりぃ…
いずみは心臓の鼓動が早くなるのを抑えられない。
さて今日はこれを口の中で噛んで柔らかくなった飴と思ってください。
子どもたちはうなづく。
これは非常に粘り気があり、歯にくっつきやすい。こんな風に…
菊丸がローソクを傾ける。
いずみは思わず目を閉じた。
く、くるぅ!!
一瞬の間だったが、ローソクから溶けた蝋が一粒、滴り落ちた。
ぽたっ…
(あ、あっつぅ~ぃ!!)
赤い蝋がおしりに貼り付き、ピクッと反応する。
飴はこうやってどんな隙間にも垂れちゃうから、歯の天敵です。
続けざまに蝋を垂らされ、いずみのおしりが蝋でどんどん赤く染まる。
一瞬ジュッと熱さが襲い、直後に痛みがスッと引く。
ああ…これ…意外と…
いずみは息を乱しながら、心もかき乱される。
ぽたっぽたっ…
あっああっ…ああん…
おしりのかなりの部分が溶け落ちた蝋で覆われ、やがてそれが乾いてごつごつとした膜を作り上げた。
わぁ…すげぇ…
こうなったら、すぐに歯を磨かないと、手遅れになります。
再度、デッキブラシをあてがい、ゴシゴシとおしりが擦られる。
今度は乾いた蝋がぽろぽろと崩れ落ち、本当に歯を磨いているように見える。しばらくすると蝋はきれいに剥がれ落ち、再びいずみのおしりが丸見えになった。
ただ、蝋を垂らされた箇所は、その熱でほんのりピンク色に染まっている。
はぁっはぁっ…
いずみはここまでくると、五感を刺激されまくっていて、抵抗する余力などほとんどない。
それどころか、心の奥底で
(もう…つ、次はどんな仕打ちを受けるのかしら…)
期待しているようですらあった。
手遅れになると、あっというまに虫歯菌に歯は説かされ…虫歯になります。
菊丸の解説に園児たちは真剣に耳を傾ける。
一見この歯も歯みがきできれいになったように見えますが…リンダ君、お願いします。
ハーイ!!
リンダが何かを持って来て菊丸に渡す。
歯の裏はこんな風に穴が空いちゃうんです!!
書き割り側からおしりを飛び越え、何かが影を作っている。
…?
いずみは体が倒れないよう、姿勢はそのままに首を背面に捻った。
そこには、大きな棒状のものがあった。先端は円状のダンボールが据えつけられていて、同じ形のアルミホイルが貼り付けてある。
それは、ありあわせの素材で作った巨大な口内鏡だった。
え、ええ~!?
そしてそこには、ややぼやけてはいるものの、ハッキリといずみの大切な部分が映り込んでいた、
あ…ああ~ん!!み、見ないでぇ!!
いずみは思わず絶叫したが、それに合わせるかのように、アルミホイルに映ったピンクの輪郭がパクパク動く。
みんな~むし歯になったら、こんな風に歯に大きな穴が開いちゃうんだよ。だから、ちゃんと歯みがきしようねぇ~!!
菊丸の締めの言葉に子どもたちは素直に「は~い!!」と返事をするのだった。
(ああ~ん…わ、わたしのを虫歯の穴にたとえるなぁ~!!)
歯みがき教室は大成功を収め、いずみたちは帰路に着く。
菊丸の頬には大きな手形が残っている。
もう~いずみちゃん、いつまで怒ってんの~?
怒るに決まってるでしょ!!おしりに蝋は垂らされて熱い思いはさせられるし、パンティにも蝋が染みてカピカピにされちゃうし…そ、それに…
それに?
わ、わたしの大切な部分を晒されちゃうし…もぅ…最低!!
Ohソレハ大丈夫デース!!アレハ、映ッタモノシカ見テマセンヨ。
そうそう、誰も直接は見てないわけだし…それに約束どおりぼくらはいずみちゃんに指一本触れてないよ?
そ、そーゆー問題じゃなぁい!!
デモ…チョット開放感アッテ良サソウカモ…
意外にもリンダが興味を示しだした。
お、リンダ、じゃあ次回やってみる?来週も別の幼稚園で同じイベントあったよね?
菊丸がそそのかし始める。
イインデスカ?
そりゃいずみちゃんが嫌がってるんだから、やりたい人がやればいいと思うよ。ね?いずみちゃん?
意味ありげな視線を送られ、いずみはちょっとひるんだ。
え…?ええ…
そうだよね、リンダの方が元々おしりが白いんだし、似合うと思うよ。
ちょ、ちょっと…ホントにリンダで大丈夫なの…?
妙にモジモジしているいずみをよそに、菊丸とリンダは話を進める。
ア…デモ…
ん?どうしたの?
蝋ヲ垂ラサレルノハ、チョット…ワタシ、ソーユー趣味ハ…
いずみは思わず、自分から名乗り出ていた。
ほ、ほら、リンダじゃ無理があるわよ。わ、わたしが次回も…お、おしり出してあげるからぁ!!
胸キュン刑事第24回(40、41話)
通学電車8時3分の怪!?
東洋術をあやつる男!
朝の満員電車の中で女子中学生、中島由希はチカンにおしりを触られていた。
逃れようと試みるも、すし詰め状態でそれも叶わず、やがてラベンダーの香りが鼻をくすぐる。
由希は徐々にその香りとチカンのボディタッチに気を許し、やがて意識が遠のいていくのだった。
新聞記事は中島由希が失踪したことを大々的に書きたてた。
しかもこれで同じ8時3分の東浜線で同様に失踪した女学生は9人目だという。
音羽署では彼女が争った形跡もなく、残されたカバンにも他人の指紋がついていないので、誘拐なのか家出なのかすら判断できないらしい。
満員電車なのに目撃者が一人もいないらしい。都会の無関心、恐るべしである。
くるみはカバンを手にすると、微かに良い匂いがした。大輔をはじめ丸山課長たちは化粧品の匂いでも移ったんじゃないかと大した関心は示さない。
だが、由季の通う三葉中学は、校則が厳しいことで知られており、くるみは違和感を拭えない。
その件を大輔と討論しながら歩いていると、七五三掛課長とぶつかり、彼が持っていた薬剤をひっくり返してしまった。
砕け散ったガラス片を片付けようとすると、七五三掛課長は慌ててくるみを制し、箒で直接触れないよう片付けた。
良い香り、良い色をしているが実はこれは劇薬で触るだけでやけどするらしい。
それを聞いてくるみはふと思い当たり、烏龍薬品研究センターを訪ねる(思いっ切りフラグな名前であるが)。
応対した研究員は、それは媚薬の一種で、パープル・ストリキニーネだろうと告げた。
ネズミを使った効果を見せつけられ、その威力を思い知ったくるみは、予防薬はないかと頼み込む。
研究員は軽く皮肉りながらも予防薬の瓶を取り出した。
やなヤツ…とくるみは内心毒づいているが、表面上は協力してくれているんだから文句を言う筋合いはないはずだが。
そこへ外線がかかってきたと言われ、研究員は席を外す。
その隙に予防薬の瓶を勝手に開けて錠剤をいくつか持ち出すくるみ。
泥棒である。
普通この手の薬剤管理ってすごく厳重で、残量が合わないと大騒ぎになったりするのだが、正義の名の下には研究員の立場などおかまいなしらしい。
そして薬を飲み、くるみが取った行動は驚くべきものだった。
なんと女子中学生にコスプレしている。囮になって8時3分の東浜線に乗り込み、犯人を釣り上げ逮捕する目論見らしい。
つまり、自分が乗り込めば必ず食いついてくる…つまり「わたし、かわいいでしょ」と間接的に言ってることになる。
研究員をやなヤツとこき下ろしていたが、くるみの方がタチが悪い。
それとカバンの匂い=パープル・ストリキニーネが確定したわけではないんだが…
逮捕役の大輔は、女子中学生のくるみを見て「まだまだ現役でいける」と多分本気で言っている。
いやいやいや、20前後と15歳は全然違うって、無理ありすぎ。
どうも大輔、女子高生、女子中学生世代に弱いようである。案外ソッチの趣味があるのかも。
電車に乗り込んだくるみたち。失踪現場の車両はいつも同じ号車のため、三葉中の生徒は乗らないよう予め指示しているので、その車両に乗っている三葉の生徒は(中身はニセモノだが)くるみだけとなった。
それでも三葉中以外の女子学生が大勢乗っているので、車内はやはりすし詰め。
大輔は女子中高生に囲まれて感涙にむせている。やっぱりちょっとソッチの嗜好があるらしい。
だがそんな環境に油断したのか、不意に何者かによって途中駅で発車直前の車両から突き落とされてしまい、電車にはくるみだけが取り残されてしまった。
そしてくるみの背後にチカンが現れる。胸キュンとラベンダーの香りからそのチカンが一連の事件の関係者だと悟るくるみは、予防薬を飲んでいることもあり、もう少し様子を伺おうとする。
チカンはスカートを上げ、パンティの中にまで手を入れる。
さすがに耐えかねたくるみは、手錠を取り出すが…
一方そのころくるみを見失った大輔は、丸山課長に叱責されていた。当然である。
くるみの身を案じる課長だったが、そこに公安部外事二課から協力要請資料が持ち込まれた。
それどころではないと課長は東浜線に出動しようとした。
放り出された資料を見た大輔は慌てて課長を呼び止める。
資料の男の写真にヒゲとメガネを書き足すと、それはあの薬品センターの研究員だった。
研究員の正体は張竜明。香港マフィア張グループの一員らしい。
公安の資料を読み解き、丸山課長はすべてが繋がったと確信した。
張は2ヶ月前に薬剤師として薬品センターに潜入(というか就職)し、そこからパープル・ストリキニーネを盗み出して名門校の女生徒を誘拐し、海外に売り飛ばしていたらしい。
セコい。セコすぎる。こんだけ大仰に下準備して薬品センターに潜り込んだのは、薬盗むためだけかい。
香港マフィアならそんなもんどこからでも仕入れられそうなもんだが…というか、もっと効果的な麻薬くらいいくらでも用意できそうな気もするが。
くるみは予防薬を飲んだから大丈夫だろうと踏んでいたが、資料を読んだ課長は「効果はない」とバッサリ。
どうやら張は気孔を繰る東洋術を得意としており、それを使って意識を奪うらしい。
じゃあなんだったんだよ、パープル・ストリキニーネ云々のくだりは!!と言いたくなるのは大人気ないんだろうか。
その頃くるみはチカンこと張にいいように弄ばれていた。課長の読みは図らずとも的中したことになる。
体が内部から徐々に温まり、その温もりが下に集まりだす。そして下半身から力が抜けたくるみはとろけ切った表情で崩れ落ちた。
夜…くるみは張に拘束され、港湾の倉庫に放り込まれていた。
「まさか音羽署の刑事が中学生に化けてくるとは…」と張もびっくりである。そりゃそうだ。
日本の警察のやり口に憤りを感じた張は、音羽署に電話し、取引を持ちかける。
あ、でもそんなことする警察は音羽署…つーかくるみだけですから。誤解しないでネ、張さん。
取引の内容は、くるみの命と引き換えに、現在日本で拘束されている香港マフィアの構成員を釈放すること。
横浜の第5埠頭の貨物船に一人だけ寄越せというので、大輔が交渉役として貨物船に乗り込んだ。
船内に乗り込んだ大輔は暗闇の中に立ち尽くしている多数の女子中学生を発見する。どうやら誘拐された少女たちらしい。
少女たちはツボを突いて動けなくしていると張が語りながら姿を見せ、そしてくるみも引き渡した。
同士の解放はどうなったかと確認する張に「ムシの良いことを言うな」と一喝する大輔。
少なくともここまでは張は紳士的かつ誠実に応対している。どっちがムシがいいんだか。
交渉決裂を悟った張は、ハリを自らに打つと筋肉隆々の巨漢に変わった。
驚いた大輔は発砲するが、その銃弾を弾き飛ばす。
更に放たれた拳は大輔の頭を掠めるが、鋼鉄の壁をひしゃげさせる。
くるみも加勢し、乱戦となるが張を抑えこむことはできない。
ふと大輔は足元に転がっている瓶に気づいた。
そして張を挑発して引きつけると、首を絞められながらもくるみに自分を撃つよう指示した。
くるみは、大輔の胸ポケットに先ほどの瓶を発見。
イチかバチかえで発砲すると、その瓶が割れ、中身が飛散した。
その中身とはパープル・ストリキニーネ。張の肉体を元に戻す効果があるらしい、よく分かったな。
やがて少女たちも正気を取り戻し、事件は解決。
大輔はくるみが射撃の腕前をあげたことを讃えたが、なんとくるみはあの時目を閉じて発砲したものであったことが発覚。
結果オーライとはいえ、そんな腕前の同僚に命を預けたことを後悔する大輔だった。

【今回の犯人】
張竜明
【罪状】
未成年者誘拐、他
【変装中】

【変装解除】

【レビューという名のツッコミ】
怪人ロークに比べりゃ至極真っ当な事件でした。それだけで充分です、はい。
しかし、くるみの射撃の腕前は一定しませんね。
本人は下手だと言ってますが、乱戦中はちゃんと銃弾当てているわけだし…
意外と自覚がないだけで腕は上昇しつつあるのかもしれませんね。
一応こっちでも書いておきます。
いくらなんでも女子中学生のコスプレはあんまりなんじゃあ…
東洋術をあやつる男!
朝の満員電車の中で女子中学生、中島由希はチカンにおしりを触られていた。
逃れようと試みるも、すし詰め状態でそれも叶わず、やがてラベンダーの香りが鼻をくすぐる。
由希は徐々にその香りとチカンのボディタッチに気を許し、やがて意識が遠のいていくのだった。
新聞記事は中島由希が失踪したことを大々的に書きたてた。
しかもこれで同じ8時3分の東浜線で同様に失踪した女学生は9人目だという。
音羽署では彼女が争った形跡もなく、残されたカバンにも他人の指紋がついていないので、誘拐なのか家出なのかすら判断できないらしい。
満員電車なのに目撃者が一人もいないらしい。都会の無関心、恐るべしである。
くるみはカバンを手にすると、微かに良い匂いがした。大輔をはじめ丸山課長たちは化粧品の匂いでも移ったんじゃないかと大した関心は示さない。
だが、由季の通う三葉中学は、校則が厳しいことで知られており、くるみは違和感を拭えない。
その件を大輔と討論しながら歩いていると、七五三掛課長とぶつかり、彼が持っていた薬剤をひっくり返してしまった。
砕け散ったガラス片を片付けようとすると、七五三掛課長は慌ててくるみを制し、箒で直接触れないよう片付けた。
良い香り、良い色をしているが実はこれは劇薬で触るだけでやけどするらしい。
それを聞いてくるみはふと思い当たり、烏龍薬品研究センターを訪ねる(思いっ切りフラグな名前であるが)。
応対した研究員は、それは媚薬の一種で、パープル・ストリキニーネだろうと告げた。
ネズミを使った効果を見せつけられ、その威力を思い知ったくるみは、予防薬はないかと頼み込む。
研究員は軽く皮肉りながらも予防薬の瓶を取り出した。
やなヤツ…とくるみは内心毒づいているが、表面上は協力してくれているんだから文句を言う筋合いはないはずだが。
そこへ外線がかかってきたと言われ、研究員は席を外す。
その隙に予防薬の瓶を勝手に開けて錠剤をいくつか持ち出すくるみ。
泥棒である。
普通この手の薬剤管理ってすごく厳重で、残量が合わないと大騒ぎになったりするのだが、正義の名の下には研究員の立場などおかまいなしらしい。
そして薬を飲み、くるみが取った行動は驚くべきものだった。
なんと女子中学生にコスプレしている。囮になって8時3分の東浜線に乗り込み、犯人を釣り上げ逮捕する目論見らしい。
つまり、自分が乗り込めば必ず食いついてくる…つまり「わたし、かわいいでしょ」と間接的に言ってることになる。
研究員をやなヤツとこき下ろしていたが、くるみの方がタチが悪い。
それとカバンの匂い=パープル・ストリキニーネが確定したわけではないんだが…
逮捕役の大輔は、女子中学生のくるみを見て「まだまだ現役でいける」と多分本気で言っている。
いやいやいや、20前後と15歳は全然違うって、無理ありすぎ。
どうも大輔、女子高生、女子中学生世代に弱いようである。案外ソッチの趣味があるのかも。
電車に乗り込んだくるみたち。失踪現場の車両はいつも同じ号車のため、三葉中の生徒は乗らないよう予め指示しているので、その車両に乗っている三葉の生徒は(中身はニセモノだが)くるみだけとなった。
それでも三葉中以外の女子学生が大勢乗っているので、車内はやはりすし詰め。
大輔は女子中高生に囲まれて感涙にむせている。やっぱりちょっとソッチの嗜好があるらしい。
だがそんな環境に油断したのか、不意に何者かによって途中駅で発車直前の車両から突き落とされてしまい、電車にはくるみだけが取り残されてしまった。
そしてくるみの背後にチカンが現れる。胸キュンとラベンダーの香りからそのチカンが一連の事件の関係者だと悟るくるみは、予防薬を飲んでいることもあり、もう少し様子を伺おうとする。
チカンはスカートを上げ、パンティの中にまで手を入れる。
さすがに耐えかねたくるみは、手錠を取り出すが…
一方そのころくるみを見失った大輔は、丸山課長に叱責されていた。当然である。
くるみの身を案じる課長だったが、そこに公安部外事二課から協力要請資料が持ち込まれた。
それどころではないと課長は東浜線に出動しようとした。
放り出された資料を見た大輔は慌てて課長を呼び止める。
資料の男の写真にヒゲとメガネを書き足すと、それはあの薬品センターの研究員だった。
研究員の正体は張竜明。香港マフィア張グループの一員らしい。
公安の資料を読み解き、丸山課長はすべてが繋がったと確信した。
張は2ヶ月前に薬剤師として薬品センターに潜入(というか就職)し、そこからパープル・ストリキニーネを盗み出して名門校の女生徒を誘拐し、海外に売り飛ばしていたらしい。
セコい。セコすぎる。こんだけ大仰に下準備して薬品センターに潜り込んだのは、薬盗むためだけかい。
香港マフィアならそんなもんどこからでも仕入れられそうなもんだが…というか、もっと効果的な麻薬くらいいくらでも用意できそうな気もするが。
くるみは予防薬を飲んだから大丈夫だろうと踏んでいたが、資料を読んだ課長は「効果はない」とバッサリ。
どうやら張は気孔を繰る東洋術を得意としており、それを使って意識を奪うらしい。
じゃあなんだったんだよ、パープル・ストリキニーネ云々のくだりは!!と言いたくなるのは大人気ないんだろうか。
その頃くるみはチカンこと張にいいように弄ばれていた。課長の読みは図らずとも的中したことになる。
体が内部から徐々に温まり、その温もりが下に集まりだす。そして下半身から力が抜けたくるみはとろけ切った表情で崩れ落ちた。
夜…くるみは張に拘束され、港湾の倉庫に放り込まれていた。
「まさか音羽署の刑事が中学生に化けてくるとは…」と張もびっくりである。そりゃそうだ。
日本の警察のやり口に憤りを感じた張は、音羽署に電話し、取引を持ちかける。
あ、でもそんなことする警察は音羽署…つーかくるみだけですから。誤解しないでネ、張さん。
取引の内容は、くるみの命と引き換えに、現在日本で拘束されている香港マフィアの構成員を釈放すること。
横浜の第5埠頭の貨物船に一人だけ寄越せというので、大輔が交渉役として貨物船に乗り込んだ。
船内に乗り込んだ大輔は暗闇の中に立ち尽くしている多数の女子中学生を発見する。どうやら誘拐された少女たちらしい。
少女たちはツボを突いて動けなくしていると張が語りながら姿を見せ、そしてくるみも引き渡した。
同士の解放はどうなったかと確認する張に「ムシの良いことを言うな」と一喝する大輔。
少なくともここまでは張は紳士的かつ誠実に応対している。どっちがムシがいいんだか。
交渉決裂を悟った張は、ハリを自らに打つと筋肉隆々の巨漢に変わった。
驚いた大輔は発砲するが、その銃弾を弾き飛ばす。
更に放たれた拳は大輔の頭を掠めるが、鋼鉄の壁をひしゃげさせる。
くるみも加勢し、乱戦となるが張を抑えこむことはできない。
ふと大輔は足元に転がっている瓶に気づいた。
そして張を挑発して引きつけると、首を絞められながらもくるみに自分を撃つよう指示した。
くるみは、大輔の胸ポケットに先ほどの瓶を発見。
イチかバチかえで発砲すると、その瓶が割れ、中身が飛散した。
その中身とはパープル・ストリキニーネ。張の肉体を元に戻す効果があるらしい、よく分かったな。
やがて少女たちも正気を取り戻し、事件は解決。
大輔はくるみが射撃の腕前をあげたことを讃えたが、なんとくるみはあの時目を閉じて発砲したものであったことが発覚。
結果オーライとはいえ、そんな腕前の同僚に命を預けたことを後悔する大輔だった。

【今回の犯人】
張竜明
【罪状】
未成年者誘拐、他
【変装中】

【変装解除】

【レビューという名のツッコミ】
怪人ロークに比べりゃ至極真っ当な事件でした。それだけで充分です、はい。
しかし、くるみの射撃の腕前は一定しませんね。
本人は下手だと言ってますが、乱戦中はちゃんと銃弾当てているわけだし…
意外と自覚がないだけで腕は上昇しつつあるのかもしれませんね。
一応こっちでも書いておきます。
いくらなんでも女子中学生のコスプレはあんまりなんじゃあ…