胸キュン刑事第16回(第26、27話)
温泉旅行殺人事件
絵地図の秘密!
「刑事に休息は許されない」などと冒頭からくるみの妙に上から目線のご講釈をいただきながら、捜査一課の面々は温泉宿へ慰安旅行に来ていた。
無能でも休みだけはしっかり取るいいご身分である。
大騒ぎの宴会場を後に温泉街へ繰り出すと、女子大生に囲まれた大輔を発見。
嫉妬にでも駆られたのか、くるみは木陰から生足を浴衣から出すという、何とも下品な手段で誘導して、制裁をかます。
相変わらず、脚線美で確実に釣れると思い込んでいるあたり自意識過剰である。
女子大生たちはフリオス女子大郷土史研究会のメンバーだった。
飛葉杏子
牛熊豊子
小糸ねつみ
阿川とと子そして、部長の最上咲子。実は音羽署の一行が宿泊している旅館は、この咲子の実家だった。
明日は、その最上家の古文書の研究成果を発表することになっているらしい。
「温泉、こけし、竹細工しかないこの田舎が日本中の学会の注目を集める」と息巻いている。
するとそこへ、フリオス女子大助教授で郷土史研究会顧問の荒木重己がやってきた。
学生たちが帰ってこないので心配になったらしい。
女子大の一行と別れ、床に就いたくるみと大輔だったが、旅館の蔵から悲鳴があがった。
慌てて二人が駆けつけると、悲鳴の主と思われる女中が蔵を指差して腰を抜かしている。
果たして蔵の中では、文机に突っ伏して死んでいる咲子がいた。何者かに撲殺されたらしい。
大輔は急ぎ課長を呼びに走り去り、残ったくるみは大量のこけしや面が並べられているのに薄気味悪さを感じながらも、現状を確認する。
咲子の周囲にはいくつかの和紙が散らばっていた。何か版画のようなものを咲子は刷っていたようだが、それらは全て墨で塗りつぶされていて、内容はわからない。
翌朝、おそらくは最上家現当主と思われる咲子の祖母が、居並んだくるみ、大輔、咲子の母、荒木助教授の前でご先祖のバチがあたったと言い放っている。
荒木助教授が咲子は熱心に研究している学生だったとフォローするが耳を貸さない。
ちなみに他の郷土史研のメンバーは、以降一切ストーリーに登場しない。なんだったんだあいつら。
祖母はもちろん、母も妙に冷静で咲子を悼む雰囲気ゼロである。
そこへ丸山課長が地元の駐在である吉田巡査を連れてきた。
そして吉田巡査の手伝いとしてくるみと大輔を残し、自分たちは体調を崩したと去ってしまった。
厄介事を押し付けられ、激昂するくるみ。対照的に大輔は吉田巡査に蔵から盗まれたものはないかと確認する。
吉田巡査曰く、蔵は古く所蔵品が多いため、正確に何が無くなったか把握できる人間はいないらしい。
蔵をあらためて調べると、吉田巡査が埃の跡から夫婦こけしの一方がない!!と大騒ぎ。
田舎巡査の独特のノリにかき回され、頭を抱えるくるみだったが、版画を発見。
吉田巡査によると、最上家の先祖に版画のコレクターがおり、値のあるものも少なくないらしい。だが、版画は無くなった様子はない。
くるみは死体発見時の墨で塗り潰された和紙を思い出し、何が無くなったのか気づいた。
三人は祖母を訪ね、版木が無くなっていると訴える。塗り潰された和紙には刷った形跡はあるが、その版木がない。心当たりはないかと問う。
珍しくまっとうな推論である。
だが、母は心当たりがなく、祖母もよそ者には教えることはないと素っ気ない態度。
ここでも恐ろしく冷静な母と祖母である。
諦めたくるみはなぜか温泉に入りはじめる。すると物陰から咲子の祖母が「あんたにだけは…」と語り始めた。
なぜあの場で語らん。どーせ捜査情報としてオープンにされるのにと思うのは大人気ないんだろうか。
祖母が語るには、咲子は郷土そのものより最上家の歴史に興味を持っていたという。
八代前の最上家当主、左馬ノ助は大量の小判をどこかに隠し、その隠し場所を版木に記したという。
咲子はこの財宝探しにとり憑かれてしまったらしい。
つまり盗まれた版木は、財宝の隠し場所を記したものということになるのだが、果たしてそれがどんな版木なのかは祖母にもわからないらしい。
わざわざ人を限定するような情報でもないが、とにもかくにも捜査の進展が得られたくるみは、祖母に例を言いつつ、全裸で浴場を駆け去った。
浴衣をまとい「版木の秘密がわかったー!!」と大声で大輔を探すくるみ。祖母の「あんたにだけは」の意味が全くない。
ふとくるみは誰かの気配を感じた。その人影を追ってみると、荒木助教授の部屋だった。
勝手に部屋に入るくるみだったが、誰もいない。部屋を出ようとすると飾ってあった大量のこけしに体が触れ、ボタボタと転がる。
あわてて転がったこけしを拾い上げるが、そのうちの一体が夫婦こけしであるにも関わらず、単体だということに気づく。どうやら蔵の紛失した夫婦こけしらしい。
持ってみると、胴回りの墨が手に移った。これでくるみはこのこけしが版木の役目を果たしていると気づいた。
そこは拭いておこうよ助教授。こけしの胴にベタベタ墨がくっついてたら誰が見ても怪しいって。
くるみはこけしの胴に墨を塗りたくり、紙の上で転がした。
すると紙の上に地図らしきものが浮かび上がった。
通りすがりの吉田巡査を見つけると、大輔と祖母を呼び出すこと、地図を持ってくるよう指示を出す。
外出している大輔以外の人々が集まった。一同は古地図の秘密を知り、現在の地図と突合せをはじめる。
当初は価値がないと思われていたこけしが版木だったことに、こけしがないと大騒ぎした吉田巡査は得意満面。くるみをいびれる数少ない立場となっていた。いいぞ吉田巡査、もっとやれ。
吉田巡査は古地図を手にすると、妙な詩を発見。
水より古き月いでて
最上の池へ
ながれつくべし
宝舟は水の間に-
…普通は宝船なんだけど、宝舟て…ボートかい。
とにかく何かの暗号だと思案し始める一同。
さっそく祖母が「水+古+月=湖」と正解を導き出す。
近辺の湖といえば旧最上湖こと最上池。ここから歩いて5キロほどだという。
最上の水辺の意味は分からないが、とにかく行ってみようとくるみは皆を残してひとり山に入る。
日も暮れようという時間によそ者の女が、軽装でしかも単身で道なき山に入る。無謀極まりない。
案の定、シャツをあちこちの枝に引っ掛け、上半身はブラのみという異常な格好で迷いだすくるみ。
どうにか最上池の近くに辿り着くと、あちこちに掘り返された跡がある。荒木助教授も明確な隠し場所は掴んでいないらしい。
そこへ荒木助教授が現れ「よくここまで辿り着いた、あんたもこけしのカラクリに気づいたか」などとのたまう。
当たり前だ、あんな墨塗った状態でこけしを放置してたら誰でも気づくわ、と思うのは大人げないのかもしれない。
荒木は自分は咲子よりも早く気づいていたと主張。横取りはさせないと持っていたシャベルでくるみに襲い掛かる。
なんとかかわすものの、くるみは古井戸の存在に気づかず、勢いで落下。
荒木も初めて古井戸の存在を知り、これが「最上の池」、つまり最上家が所有する土地にある古井戸のことを指しているのだと推察。
さらに「水の間に」から池と井戸の間に宝舟…すなわち財宝があると結論づけた。
狂喜しながら荒木はくるみを井戸に放置したままその場を立ち去る。
顔すれすれに迫る水と戦いながら、何とか脱出を思案するくるみ。
やがて井戸に魚を見つけ、井戸と池が繋がっているのではないかと考える。
果たして予想どおり、横穴を発見したくるみは、出口を求めて横穴をさまよう。
すると横穴を何かが塞いでいる。
だがこの手触りからくるみは何か思い当たったらしい。
一方そのころ、荒木は必死になって穴を掘り続けていた。
そこへくるみが現れ、最上咲子殺害容疑で逮捕を宣言。
必死に抵抗するも、くるみが引き連れてきた自警団にあえなく荒木は取り押さえられた。
やがて大輔と吉田巡査がさきほどくるみの行く手を阻んでいたものを運んできた。
それは巨大な甕で、これが財宝だったとくるみは荒木に告げる。
どこから見つけたのかと気色ばむ荒木。
実は最上池と井戸は地下水路で繋がっていて、この甕はその水路の中間にあったという。
横穴を甕が塞いでいたあの状況でどうやってくるみが脱出したのか疑問であるが、そんなのは瑣末なことに過ぎない。
あの詩はその地下水路のことを指しているとすれば、全て合点がいくと荒木は崩れ落ちた。
いよいよ財宝とご対面。だが出てきたのは、ガラクタばかりだった。
全ての苦労が水泡に帰した荒木は壊れてしまい、こうして事件は終結した。
帰路のバスの中で大輔はふとくるみに語りかける。
あのこけしは夫婦こけしだった。もしかしたらもう一方も版木で、それぞれの版木の情報を合わせれば、真の隠し場所がわかるのかもしれない。
だったら、戻って調べればいいのに。せめて連絡して調べさせるとか…と夢のないことを言ってはいけない。
微妙な余韻を残し、二人はバスに揺られ続けるのだった。

【今回の犯人】
荒木重己
【露見前】

【露見後】

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミ】
前回があまりにアレな内容だったせいか、テコ入れでもあったんでしょうか。久々にくるみのお色気が復活です。
といっても、入浴場面程度だったからごくごく短いカットだったし、そもそも入浴シーンである必然性もないんですけど、あるだけ御の字です。
それにしても咲子の友人四人は一体なんだったんでしょう。本当に。
ひとりひとりご丁寧に名前と顔の紹介をしておいて、本編には一切絡みなし。存在意義が不明すぎ。
しかも何、あのネーミング。動物に関連する名前のようにみせかけて全員がそうじゃないから、すごく据わりが悪い。
一方大活躍のゲスト吉田巡査は、初登場時の様子から明らかに同姓のあの人がモデルですね。飄々とした受けこなしっぷりが見事。
くるみを凹ます貴重な存在として、もっと登場しても良かったなぁ…
こけしを版木にするという現実味はともかく、気になった点。
こけしはくるみが手にしているシーンがあるので、そこから察するにペットボトルくらいの大きさの円筒と推察します。
そうなると…あの地図を描くには外周が絶対的に足りません。
ちょうどいい図があるので、検証してみます。

この図のこけしの底面部分上にエクセルの正円を重ね、そのサイズを確認すると、直径約1.47センチ
円周の方程式は、直径×3.14
仮に1.5センチとしても4.7センチ程度にしかなりません。
それに対して現れた絵図面の端から端は同様にエクセルの直線で計測して約6.14センチ…ね?どうやっても足りません。
どうやったら刷れるのか?そっちのカラクリの方がよほど謎です。
絵地図の秘密!
「刑事に休息は許されない」などと冒頭からくるみの妙に上から目線のご講釈をいただきながら、捜査一課の面々は温泉宿へ慰安旅行に来ていた。
無能でも休みだけはしっかり取るいいご身分である。
大騒ぎの宴会場を後に温泉街へ繰り出すと、女子大生に囲まれた大輔を発見。
嫉妬にでも駆られたのか、くるみは木陰から生足を浴衣から出すという、何とも下品な手段で誘導して、制裁をかます。
相変わらず、脚線美で確実に釣れると思い込んでいるあたり自意識過剰である。
女子大生たちはフリオス女子大郷土史研究会のメンバーだった。
飛葉杏子
牛熊豊子
小糸ねつみ
阿川とと子そして、部長の最上咲子。実は音羽署の一行が宿泊している旅館は、この咲子の実家だった。
明日は、その最上家の古文書の研究成果を発表することになっているらしい。
「温泉、こけし、竹細工しかないこの田舎が日本中の学会の注目を集める」と息巻いている。
するとそこへ、フリオス女子大助教授で郷土史研究会顧問の荒木重己がやってきた。
学生たちが帰ってこないので心配になったらしい。
女子大の一行と別れ、床に就いたくるみと大輔だったが、旅館の蔵から悲鳴があがった。
慌てて二人が駆けつけると、悲鳴の主と思われる女中が蔵を指差して腰を抜かしている。
果たして蔵の中では、文机に突っ伏して死んでいる咲子がいた。何者かに撲殺されたらしい。
大輔は急ぎ課長を呼びに走り去り、残ったくるみは大量のこけしや面が並べられているのに薄気味悪さを感じながらも、現状を確認する。
咲子の周囲にはいくつかの和紙が散らばっていた。何か版画のようなものを咲子は刷っていたようだが、それらは全て墨で塗りつぶされていて、内容はわからない。
翌朝、おそらくは最上家現当主と思われる咲子の祖母が、居並んだくるみ、大輔、咲子の母、荒木助教授の前でご先祖のバチがあたったと言い放っている。
荒木助教授が咲子は熱心に研究している学生だったとフォローするが耳を貸さない。
ちなみに他の郷土史研のメンバーは、以降一切ストーリーに登場しない。なんだったんだあいつら。
祖母はもちろん、母も妙に冷静で咲子を悼む雰囲気ゼロである。
そこへ丸山課長が地元の駐在である吉田巡査を連れてきた。
そして吉田巡査の手伝いとしてくるみと大輔を残し、自分たちは体調を崩したと去ってしまった。
厄介事を押し付けられ、激昂するくるみ。対照的に大輔は吉田巡査に蔵から盗まれたものはないかと確認する。
吉田巡査曰く、蔵は古く所蔵品が多いため、正確に何が無くなったか把握できる人間はいないらしい。
蔵をあらためて調べると、吉田巡査が埃の跡から夫婦こけしの一方がない!!と大騒ぎ。
田舎巡査の独特のノリにかき回され、頭を抱えるくるみだったが、版画を発見。
吉田巡査によると、最上家の先祖に版画のコレクターがおり、値のあるものも少なくないらしい。だが、版画は無くなった様子はない。
くるみは死体発見時の墨で塗り潰された和紙を思い出し、何が無くなったのか気づいた。
三人は祖母を訪ね、版木が無くなっていると訴える。塗り潰された和紙には刷った形跡はあるが、その版木がない。心当たりはないかと問う。
珍しくまっとうな推論である。
だが、母は心当たりがなく、祖母もよそ者には教えることはないと素っ気ない態度。
ここでも恐ろしく冷静な母と祖母である。
諦めたくるみはなぜか温泉に入りはじめる。すると物陰から咲子の祖母が「あんたにだけは…」と語り始めた。
なぜあの場で語らん。どーせ捜査情報としてオープンにされるのにと思うのは大人気ないんだろうか。
祖母が語るには、咲子は郷土そのものより最上家の歴史に興味を持っていたという。
八代前の最上家当主、左馬ノ助は大量の小判をどこかに隠し、その隠し場所を版木に記したという。
咲子はこの財宝探しにとり憑かれてしまったらしい。
つまり盗まれた版木は、財宝の隠し場所を記したものということになるのだが、果たしてそれがどんな版木なのかは祖母にもわからないらしい。
わざわざ人を限定するような情報でもないが、とにもかくにも捜査の進展が得られたくるみは、祖母に例を言いつつ、全裸で浴場を駆け去った。
浴衣をまとい「版木の秘密がわかったー!!」と大声で大輔を探すくるみ。祖母の「あんたにだけは」の意味が全くない。
ふとくるみは誰かの気配を感じた。その人影を追ってみると、荒木助教授の部屋だった。
勝手に部屋に入るくるみだったが、誰もいない。部屋を出ようとすると飾ってあった大量のこけしに体が触れ、ボタボタと転がる。
あわてて転がったこけしを拾い上げるが、そのうちの一体が夫婦こけしであるにも関わらず、単体だということに気づく。どうやら蔵の紛失した夫婦こけしらしい。
持ってみると、胴回りの墨が手に移った。これでくるみはこのこけしが版木の役目を果たしていると気づいた。
そこは拭いておこうよ助教授。こけしの胴にベタベタ墨がくっついてたら誰が見ても怪しいって。
くるみはこけしの胴に墨を塗りたくり、紙の上で転がした。
すると紙の上に地図らしきものが浮かび上がった。
通りすがりの吉田巡査を見つけると、大輔と祖母を呼び出すこと、地図を持ってくるよう指示を出す。
外出している大輔以外の人々が集まった。一同は古地図の秘密を知り、現在の地図と突合せをはじめる。
当初は価値がないと思われていたこけしが版木だったことに、こけしがないと大騒ぎした吉田巡査は得意満面。くるみをいびれる数少ない立場となっていた。いいぞ吉田巡査、もっとやれ。
吉田巡査は古地図を手にすると、妙な詩を発見。
水より古き月いでて
最上の池へ
ながれつくべし
宝舟は水の間に-
…普通は宝船なんだけど、宝舟て…ボートかい。
とにかく何かの暗号だと思案し始める一同。
さっそく祖母が「水+古+月=湖」と正解を導き出す。
近辺の湖といえば旧最上湖こと最上池。ここから歩いて5キロほどだという。
最上の水辺の意味は分からないが、とにかく行ってみようとくるみは皆を残してひとり山に入る。
日も暮れようという時間によそ者の女が、軽装でしかも単身で道なき山に入る。無謀極まりない。
案の定、シャツをあちこちの枝に引っ掛け、上半身はブラのみという異常な格好で迷いだすくるみ。
どうにか最上池の近くに辿り着くと、あちこちに掘り返された跡がある。荒木助教授も明確な隠し場所は掴んでいないらしい。
そこへ荒木助教授が現れ「よくここまで辿り着いた、あんたもこけしのカラクリに気づいたか」などとのたまう。
当たり前だ、あんな墨塗った状態でこけしを放置してたら誰でも気づくわ、と思うのは大人げないのかもしれない。
荒木は自分は咲子よりも早く気づいていたと主張。横取りはさせないと持っていたシャベルでくるみに襲い掛かる。
なんとかかわすものの、くるみは古井戸の存在に気づかず、勢いで落下。
荒木も初めて古井戸の存在を知り、これが「最上の池」、つまり最上家が所有する土地にある古井戸のことを指しているのだと推察。
さらに「水の間に」から池と井戸の間に宝舟…すなわち財宝があると結論づけた。
狂喜しながら荒木はくるみを井戸に放置したままその場を立ち去る。
顔すれすれに迫る水と戦いながら、何とか脱出を思案するくるみ。
やがて井戸に魚を見つけ、井戸と池が繋がっているのではないかと考える。
果たして予想どおり、横穴を発見したくるみは、出口を求めて横穴をさまよう。
すると横穴を何かが塞いでいる。
だがこの手触りからくるみは何か思い当たったらしい。
一方そのころ、荒木は必死になって穴を掘り続けていた。
そこへくるみが現れ、最上咲子殺害容疑で逮捕を宣言。
必死に抵抗するも、くるみが引き連れてきた自警団にあえなく荒木は取り押さえられた。
やがて大輔と吉田巡査がさきほどくるみの行く手を阻んでいたものを運んできた。
それは巨大な甕で、これが財宝だったとくるみは荒木に告げる。
どこから見つけたのかと気色ばむ荒木。
実は最上池と井戸は地下水路で繋がっていて、この甕はその水路の中間にあったという。
横穴を甕が塞いでいたあの状況でどうやってくるみが脱出したのか疑問であるが、そんなのは瑣末なことに過ぎない。
あの詩はその地下水路のことを指しているとすれば、全て合点がいくと荒木は崩れ落ちた。
いよいよ財宝とご対面。だが出てきたのは、ガラクタばかりだった。
全ての苦労が水泡に帰した荒木は壊れてしまい、こうして事件は終結した。
帰路のバスの中で大輔はふとくるみに語りかける。
あのこけしは夫婦こけしだった。もしかしたらもう一方も版木で、それぞれの版木の情報を合わせれば、真の隠し場所がわかるのかもしれない。
だったら、戻って調べればいいのに。せめて連絡して調べさせるとか…と夢のないことを言ってはいけない。
微妙な余韻を残し、二人はバスに揺られ続けるのだった。

【今回の犯人】
荒木重己
【露見前】

【露見後】

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミ】
前回があまりにアレな内容だったせいか、テコ入れでもあったんでしょうか。久々にくるみのお色気が復活です。
といっても、入浴場面程度だったからごくごく短いカットだったし、そもそも入浴シーンである必然性もないんですけど、あるだけ御の字です。
それにしても咲子の友人四人は一体なんだったんでしょう。本当に。
ひとりひとりご丁寧に名前と顔の紹介をしておいて、本編には一切絡みなし。存在意義が不明すぎ。
しかも何、あのネーミング。動物に関連する名前のようにみせかけて全員がそうじゃないから、すごく据わりが悪い。
一方大活躍のゲスト吉田巡査は、初登場時の様子から明らかに同姓のあの人がモデルですね。飄々とした受けこなしっぷりが見事。
くるみを凹ます貴重な存在として、もっと登場しても良かったなぁ…
こけしを版木にするという現実味はともかく、気になった点。
こけしはくるみが手にしているシーンがあるので、そこから察するにペットボトルくらいの大きさの円筒と推察します。
そうなると…あの地図を描くには外周が絶対的に足りません。
ちょうどいい図があるので、検証してみます。

この図のこけしの底面部分上にエクセルの正円を重ね、そのサイズを確認すると、直径約1.47センチ
円周の方程式は、直径×3.14
仮に1.5センチとしても4.7センチ程度にしかなりません。
それに対して現れた絵図面の端から端は同様にエクセルの直線で計測して約6.14センチ…ね?どうやっても足りません。
どうやったら刷れるのか?そっちのカラクリの方がよほど謎です。
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胸キュン刑事第15回(第23、24、25話)
お嬢様誘拐事件
誘拐犯はだれ…!?
犯人はママ…?
デパートで買い物をしているお嬢様、四条さおりを運転手、小熊が待っていた。
やがて買い物袋を抱えて出てきたさおりだったが、突如サングラス姿の若い男が彼女を呼び止め、腕を掴んだ。
慌てた小熊が助けに向かうも、人ごみに阻まれ、ようやくさおりがいた位置に辿り着くころには、荷物だけが残され、男もさおりも消えていた。
音羽署は直ちにくるみ、大輔以下署員を派遣し、誘拐犯からの要求に備える。
四条家には、小熊とその小熊を目の前でさおりがさらわれたことを咎める家政婦の浜しかいない。
大輔の浜をなだめる口ぶりから、くるみは浜と大輔が知り合いであると察し、大輔に聞くと事実大学生時代にさおりの家庭教師を務めていたと語った。
そのため四条家の家庭事情も詳細に把握しており、父親の四条勇太郎と母さえ子は年中社交パーティで海外を飛び回っており、連絡すらつかないことも教えてくれた。
そこへ小熊と二人がすれ違ったのだが、小熊は顔見知りであるはずの大輔に妙によそよそしく立ち去ってしまい、くるみは違和感を覚える。
一方予想どおり誘拐犯から電話が入った。応対に出た浜に電話の相手は、身代金は10億と告げ電話を切った。
あまりに短いやり取りのため。逆探知もできなかったらしい。相変わらず役に立たない音羽署の面々である。
くるみはこの状況を打開しようと、国外にいる父親の四条勇太郎の所在を突き止め、電話で帰国するよう説得する。
しかし勇太郎は会議の日程上、帰国はどうしても3日後になるといい、電話を一方的に切ってしまった。
やむなくくるみは誘拐犯探しを急ごうと手近な怪しい人物…小熊への接触を試みる。
だが、小熊に接触しても胸キュンは反応しない。
当惑するくるみに小熊のほうから妙な事を切り出してきた。
聞けば、気のせいかもしれないが、誘拐した若い男が大輔にそっくりらしい。
まさかと思うくるみだったが、本当に大輔から胸キュンを感じてしまった。
必死になって大輔への疑いをかき消そうとするが、気になったくるみは仕事あがりの大輔を尾行。自宅アパートに入るのを目撃する。
部屋を覗くとなんとそこには、大輔と誘拐されたさおりがいた。
動揺しながらも刑事の職務をまっとうすると決意を固めたくるみ。
そこへ人の気配を感じた大輔が玄関を開いたため、くるみは大輔に手錠をかける。
玄関での騒ぎに気づいたさおりがどうかしたのか?と大輔に問う。大輔は慌ててちょっと出かけるといい。くるみを喫茶店に連れ込む。
そこで大輔はようやく真相を語りだした。
実は今回の騒ぎはさおりの狂言誘拐だった。かつての先生である大輔にさおりから家出して困らせてやるという相談を受けたのがきっかけらしい。
バカなことをしないようにと、大輔は彼女がよく利用するデパートで待ち伏せ、強引に連れ出して説得を試みるが失敗。そのままアパートに泊める羽目になってしまったという。
そして四条家への脅迫電話もさおりが大輔宅から入れたものだった。
捜査員をかく乱させた二人にあきれ返るくるみ。しかしその動機は娘をほったらかしにしている両親への抗議という側面もあるため、一概に責める気にもなれない。
大輔の胸キュンの理由がわかり、とりあえずホッとしたのか「協力する」とまで言い出す始末。
何を協力する気だ、何を。これに加担するってのは結構な重罪だと思うんだが。
ともかくアパートに戻った二人。だがそこにさおりはおらず、身代金20億円を要求する手紙が残されていた。ちゃっかり倍にされている。
本当に誘拐されたと焦る二人は、結局音羽署に戻って事の成り行きを報告し、それを聞いた丸山課長は激怒。
狂言だと知ってたらなぜ言わない、警察は丸一日振り回され、挙げ句の果てに本当に誘拐されるとは何事だ、と至極尤もな正論で叱り付ける。
落ち込む二人だったが、そこへ四条夫妻が音羽署に乗り込んできた。
数々の警察の不手際(というよりは、ある意味あの二人の犯罪行為が主因なんだが)を責め立て、そして身代金も釣り上げられたことに激昂する。
落ち度は音羽署にあるのにつけ込み、夫妻は現時点での全ての捜査情報を提供するよう要求してきた。
すでに安原という私立探偵を雇い、独自に調査を進めているらしい。
そして当の安原が登場。安原はさっそく大輔のアパートに、小熊のハンカチが落ちていたこと、本人が行方不明になっていること、小熊に多額の借金があることを指摘し、犯人は小熊だと結論付ける。
重要関係者が行方不明になってることすら把握していない音羽署。四条夫妻に信用されないのも尤もである。
さえ子はさっそく屋敷に戻り、対策を練ろうと夫を連れ出そうとする。
小熊が犯人と思えないくるみは、さえ子に追いすがり、慎重に確認すべきと訴える。
だがさえ子は、元はと言えばあなた方のせいだと強烈な平手打ちをくるみにかます。
呆然と取り残されるくるみ。しかしそれは叩かれたショックではなく、さえ子から胸キュンを感じ、彼女への疑念が生じたためだった。
四条邸では小熊と思わしき男から電話が入り、身代金はさえ子が運ぶこと、受渡場所は廃車工場と取引の条件を伝えてきた。
一気に緊張感に包まれた四条邸。やがて身代金を積んださえ子の運転する車と、多数のパトカーが後を追う。めちゃくちゃ目立ってるんだけど、誘拐捜査としていいのかこれ。
一方くるみは、わざと四条邸に残り、浜からさえ子について聞き込みを始める。
今日の昼にハワイから戻ったばかりと聞いたくるみは、勝手にさえ子の旅行カバンをひっくり返し、目ぼしいものがないか物色する。
そしてハワイのビーチの写真をいくつも見つけるが、ふとある違和感を覚え、鑑識に連絡をつける。
一方、小熊はおろか人気のまったくない廃車工場にさえ子をはじめ、警察関係者が集結している。
さえ子ひとりで運転しているように見えるよう、助手席に潜り込んでさえ子にあれこれ指示を出す大輔。
なんかヤラしいシチュエーションである。しかしそんなことは、現場についてから車に乗り込むという警察の雑な捜査方針に比べれば些細な事に違いない。
やがて廃車工場の奥から、不気味な音が轟いた。丸山課長が驚き、車のヘッドライトでその地点を照射させる。
音の正体は、電磁石を装備した廃車工場のクレーンだった。
クレーンはさえ子たちが乗った車をクレーンごと持ち去るという荒っぽい手段に出てきた。
だったら、そのクレーンの運転席を押さえれば即、本当に即解決なんだが、人命優先の捜査方針、音羽署の面々は口をあんぐり開いて見守るしかない。
一方釣り上げられた大輔は、このままでは危険だとさえ子を抱えて宙に浮く車から飛び降り、結局身代金の入った車だけ持ちされてしまった。
そこへくるみが駆けつけ、犯人は小熊ではないと断言。
気色ばむ一同に犯人はこの女だと、さえ子を指す。
大輔たちは何か証拠を見つけたのか?と問い詰めるが、くるみは言いよどんで続かない。
さえ子は証拠もなしに何をいうかと激昂。当然である。
持ち去られる車を何とかしろとさえ子は急き立てようとしたところ、自転車で初老の男性、鑑識課の七五三掛課長がやってきた。
そして大輔に一枚の写真を手渡した。
一瞥してさえ子のハワイの旅行写真じゃないかと受け流す大輔。彼は旅行カバンをくるみが荒らす場面には立ち会ってないので、この写真は初見である。
写真だけでどこの風景かすぐわかるらしい。すごいな大輔。
七五三掛課長はそれは合成写真だと告げる。隅にプリントされた日付は誘拐日当日だが、その日はハワイは異常気象の大雨でこんな写真は撮れないという。
あえなくこの写真はアリバイ能力がなくなった。合成というよりはカメラのカレンダー設定変えただけのようにも見えるが。
そしてあらためて出入国管理局から取り寄せたさえ子の渡航履歴を突きつける。
…写真云々以前に、この超有力な証拠を先に見せるべきだと思うのは、大人げないんだろうか。
それ以前に関係者のアリバイをあたるのは基本のような気もするが。
ついにさえ子は表情を一変させ、本性を現す。
妻のむき出しの敵意に驚く勇太郎。つーかいたんだ。
そうやって、暢気なやりとりをしているうちに、クレーンはどんどん引き上げられていく。
操作しているのは安原。変な組み合わせである。
なぜ「さえ子と安原」(もはや芸人扱い)などというコンビ結成に至ったか妙に勘繰りたくなるが、ここでは棚上げする。
とにかく安原はクレーンを操作して車をタグボートに乗せ、脱出を図る。
つまり、音羽署は、水路を使った逃走を全く考慮してなかったということになる。
挙げ句の果てにさえ子は、いつの間にかクレーン車に乗り込み、安原と合流。
つまり、目の前の容疑者を取り逃がしていることになる。
ほんっとうに、揃いも揃ってボンクラの集団である。
丸山課長はさえ子と安原を取り押さえろとクレーンに署員を向かわせるが、安原が一喝し、再度クレーンを動かす。
そして廃車の山から一台を引き上げ、中を見せる。
そこには縛られ意識を失っているさおりがいた。
下手に手を出すと、車ごと海に叩き落すと二人がかりで解説して脅す「さえ子と安原」。いいコンビである。
勇太郎はへたり込み、この醜聞で四条家は終わりだと嘆く。
だがその態度がさえ子の癇に障ったらしい。わたしのことなど気にもかけず、地位や名誉、世間体ばかり執着しているとなじる。
そりゃ年がら年中海外をふらついてるあんたも似たようなもんだろ…と思うのは大人気ないんだろうか。
そしてさえ子はさおりは実の娘ではない、ここを逃げ切ればもう用はないと意外なことを口にする。
丸山課長にさおりのことを質され、言葉に窮する勇太郎。
一方大輔は、クレーンの真後ろの廃屋だか何だかわからない鉄筋むき出しの建造物にくるみ登り、そこから柱に結わえられた鎖を撃てとジェスチャーで伝えていることに気づく。
その鎖は長いロープを柱に括り付けるものらしい。どうやらこの鎖を断ち、ロープでターザンのようにクレーンに突っ込むつもりのようだ。
しかしこのロープ、どこが支点なんだろうか?一見「さえ子と安原」が乗るクレーン先端に繋がってるようにも見えるが、こんなことしたらクレーンは動かせない。
しかも軌道がクレーンに向かうとはどこにも保証がない。こんなの芸人でもやらないだろう。危険を顧みず果敢に挑むくるみ。天晴れ刑事の鑑である。
ま、死角からクレーンを直接襲撃したほうが早いし、確実だと思うけど。「さえ子と安原」の芸人オーラに触発でもされたのだろうか?
ともかく、一応その意図を察した大輔はいきなり発砲。見事鎖に命中させ、くるみはロープにしがみ付き、宙を舞う。
人間大砲と化したくるみは、猛烈なスピードでクレーン内部に特攻、「さえ子と安原」をふっ飛ばす。
狭く無骨なクレーン内、何とぶつかってもただでは済まないはずだが、本人は「いたた…」で片付けている。おそらく並々ならぬ鍛え方をしているのだろう、天晴れ刑事の鑑である。
クレーン内にはもう一人の男が縛られて床に転がされていた。
なんと行方不明かつ誘拐犯の疑いをかけられていた小熊である。どうやら「さえ子と安原」は全ての罪を小熊になすり付けて最後は殺そうと計画していたらしい。
くるみが小熊の縄を解いていると、意識朦朧としていた安原が起き上がり、レバーを掴む。
そのレバーはクレーンを下ろすものだった。さおりを乗せた車は、あっという間に海面に着水し、沈んでいく。
大輔がいち早く海に向かうが、それよりも先に何者かが飛び込んだ。
やがて泡と共にさおりが浮かんできた。飛び込んだのは小熊だった。気を失った彼女をしっかり抱えている。
横たえられたさおりはやがて意識を取り戻し、目覚めるが小熊を父と呼び抱きつく。
場面は変わって音羽署。
勇太郎は参考人として事情聴取されていた。
小熊は妻を亡くし無職だったため、自分のところに相談に来た。そこでさおりを養女とし、小熊を運転手として雇い入れた。
養子縁組にさえ子はもともと反対だった上、勇太郎は仕事にかまけて家を空けがちな生活が続いたのが事件の動機のひとつだろうと彼は語った。
一方、くるみと大輔は音羽署の屋上にいた。
さおりは、どうしてこんな狂言誘拐を引き起こしたんだろうと考えるくるみ。
大輔にはわかっていた。おそらく本当の父親は誰かさおりは知っていたんだろう…と。
だからといって狂言とはいえ誘拐事件を起こしちゃいけませんが。

【今回の犯人】
四条さえ子と安原(さえ子と安原)
【露見前】


【露見後】


安原は、露見後の方がマヌケっぽいなぁ
【レビューという名のツッコミどころ】
うーん…今回は箇条書きです。書くことが多すぎて。
現実の話として、日本での誘拐は、極めてリスクが高く、ほぼ100%失敗すると聞いたことがあります。
ところが、「さえ子&安原」の芸人誘拐犯コンビは、大輔が引き起こした不測の事態(さおりの失踪)に乗じて誘拐を実行に移してます。
綿密に計画すべき誘拐犯罪としては、ありえない雑っぷり。実際グダグダとはいえ、アリバイの偽造工作をしてるくらいですから、無計画だったとは言わせません。行き当たりばったりにもほどがあります。
くるみと大輔は監察室の処分が下されたんでしょうか。女子高生の狂言誘拐に加担するなんてのは、冗談抜きでこれ結構な犯罪行為だと思うんですが。
テレビ知識ですが、本人が望むので、未成年を自宅にとどめ、帰宅させなかった場合でも未成年者略取が成立するらしいです。
くるみはまだ未遂(協力を表明しただけで何もしていない)程度ですが、大輔はかーなりヤバいですよね。
仮に本件が成立しなくても、知りえた事実を適切に報告せず、捜査員を混乱させたんだから、威力業務妨害の方が成立するんじゃないかなぁ。
ま、いずれにせよ誉められた行為でないことだけは確か。暢気に屋上で世間話してる場合じゃないと思います。
3話も消費して、しかも見るべきお色気もなく…うすっ!!
読切りだとそれなりに濃密な話が多く、数話にまたがると妙に薄味な傾向がありますよね。
初登場の七五三掛課長。今後もちょいちょい登場します。作中一番まともな人物かもしんない。
特に今回はもうみんながみんな加害者(被害者はもちろん読者)みたいな中、一服の清涼剤のような存在でした。
おっさんなんですけどね。
管理人的に登場人物で意外に好感度高いのは、四条勇太郎氏。
なんだかんだで娘のためにすぐ帰国したり、嫁が逮捕されたのは自分に責任があるような供述をしたり、小熊氏の就職を世話したりと面倒見が意外といい一面があちこちから伺えます。
安原が小熊が犯人と言った時、唸ったまま肯定も否定もしませんでしたが、彼はさおりの実父である小熊が誘拐するはずがない、と悟っていたのでしょう。
でもさ…だったら言おうよ。黙ってるもんだから、警察は小熊犯人説に傾いちゃったじゃん。
フォローするなら、もしかしたら、その時点で同じ秘密を知りながら一言も発しなかった妻も疑っていたのかもしれないですね。
それにしても、四条さやか嬢、早瀬歩先生にそっくり。早瀬先生が女子高生のコスプレしてるみたいでした。
それはそれとして、ゲストキャラでは一番のお気に入りです。大輔が自宅に彼女を泊めたことを告白した時「変なことはしなかった…したかったけど」は名言。
いいキャラだったなぁ。大輔、くるみとの三角関係として準レギュラーになってもおかしくない。もっと活躍させてほしかったです。
誘拐犯はだれ…!?
犯人はママ…?
デパートで買い物をしているお嬢様、四条さおりを運転手、小熊が待っていた。
やがて買い物袋を抱えて出てきたさおりだったが、突如サングラス姿の若い男が彼女を呼び止め、腕を掴んだ。
慌てた小熊が助けに向かうも、人ごみに阻まれ、ようやくさおりがいた位置に辿り着くころには、荷物だけが残され、男もさおりも消えていた。
音羽署は直ちにくるみ、大輔以下署員を派遣し、誘拐犯からの要求に備える。
四条家には、小熊とその小熊を目の前でさおりがさらわれたことを咎める家政婦の浜しかいない。
大輔の浜をなだめる口ぶりから、くるみは浜と大輔が知り合いであると察し、大輔に聞くと事実大学生時代にさおりの家庭教師を務めていたと語った。
そのため四条家の家庭事情も詳細に把握しており、父親の四条勇太郎と母さえ子は年中社交パーティで海外を飛び回っており、連絡すらつかないことも教えてくれた。
そこへ小熊と二人がすれ違ったのだが、小熊は顔見知りであるはずの大輔に妙によそよそしく立ち去ってしまい、くるみは違和感を覚える。
一方予想どおり誘拐犯から電話が入った。応対に出た浜に電話の相手は、身代金は10億と告げ電話を切った。
あまりに短いやり取りのため。逆探知もできなかったらしい。相変わらず役に立たない音羽署の面々である。
くるみはこの状況を打開しようと、国外にいる父親の四条勇太郎の所在を突き止め、電話で帰国するよう説得する。
しかし勇太郎は会議の日程上、帰国はどうしても3日後になるといい、電話を一方的に切ってしまった。
やむなくくるみは誘拐犯探しを急ごうと手近な怪しい人物…小熊への接触を試みる。
だが、小熊に接触しても胸キュンは反応しない。
当惑するくるみに小熊のほうから妙な事を切り出してきた。
聞けば、気のせいかもしれないが、誘拐した若い男が大輔にそっくりらしい。
まさかと思うくるみだったが、本当に大輔から胸キュンを感じてしまった。
必死になって大輔への疑いをかき消そうとするが、気になったくるみは仕事あがりの大輔を尾行。自宅アパートに入るのを目撃する。
部屋を覗くとなんとそこには、大輔と誘拐されたさおりがいた。
動揺しながらも刑事の職務をまっとうすると決意を固めたくるみ。
そこへ人の気配を感じた大輔が玄関を開いたため、くるみは大輔に手錠をかける。
玄関での騒ぎに気づいたさおりがどうかしたのか?と大輔に問う。大輔は慌ててちょっと出かけるといい。くるみを喫茶店に連れ込む。
そこで大輔はようやく真相を語りだした。
実は今回の騒ぎはさおりの狂言誘拐だった。かつての先生である大輔にさおりから家出して困らせてやるという相談を受けたのがきっかけらしい。
バカなことをしないようにと、大輔は彼女がよく利用するデパートで待ち伏せ、強引に連れ出して説得を試みるが失敗。そのままアパートに泊める羽目になってしまったという。
そして四条家への脅迫電話もさおりが大輔宅から入れたものだった。
捜査員をかく乱させた二人にあきれ返るくるみ。しかしその動機は娘をほったらかしにしている両親への抗議という側面もあるため、一概に責める気にもなれない。
大輔の胸キュンの理由がわかり、とりあえずホッとしたのか「協力する」とまで言い出す始末。
何を協力する気だ、何を。これに加担するってのは結構な重罪だと思うんだが。
ともかくアパートに戻った二人。だがそこにさおりはおらず、身代金20億円を要求する手紙が残されていた。ちゃっかり倍にされている。
本当に誘拐されたと焦る二人は、結局音羽署に戻って事の成り行きを報告し、それを聞いた丸山課長は激怒。
狂言だと知ってたらなぜ言わない、警察は丸一日振り回され、挙げ句の果てに本当に誘拐されるとは何事だ、と至極尤もな正論で叱り付ける。
落ち込む二人だったが、そこへ四条夫妻が音羽署に乗り込んできた。
数々の警察の不手際(というよりは、ある意味あの二人の犯罪行為が主因なんだが)を責め立て、そして身代金も釣り上げられたことに激昂する。
落ち度は音羽署にあるのにつけ込み、夫妻は現時点での全ての捜査情報を提供するよう要求してきた。
すでに安原という私立探偵を雇い、独自に調査を進めているらしい。
そして当の安原が登場。安原はさっそく大輔のアパートに、小熊のハンカチが落ちていたこと、本人が行方不明になっていること、小熊に多額の借金があることを指摘し、犯人は小熊だと結論付ける。
重要関係者が行方不明になってることすら把握していない音羽署。四条夫妻に信用されないのも尤もである。
さえ子はさっそく屋敷に戻り、対策を練ろうと夫を連れ出そうとする。
小熊が犯人と思えないくるみは、さえ子に追いすがり、慎重に確認すべきと訴える。
だがさえ子は、元はと言えばあなた方のせいだと強烈な平手打ちをくるみにかます。
呆然と取り残されるくるみ。しかしそれは叩かれたショックではなく、さえ子から胸キュンを感じ、彼女への疑念が生じたためだった。
四条邸では小熊と思わしき男から電話が入り、身代金はさえ子が運ぶこと、受渡場所は廃車工場と取引の条件を伝えてきた。
一気に緊張感に包まれた四条邸。やがて身代金を積んださえ子の運転する車と、多数のパトカーが後を追う。めちゃくちゃ目立ってるんだけど、誘拐捜査としていいのかこれ。
一方くるみは、わざと四条邸に残り、浜からさえ子について聞き込みを始める。
今日の昼にハワイから戻ったばかりと聞いたくるみは、勝手にさえ子の旅行カバンをひっくり返し、目ぼしいものがないか物色する。
そしてハワイのビーチの写真をいくつも見つけるが、ふとある違和感を覚え、鑑識に連絡をつける。
一方、小熊はおろか人気のまったくない廃車工場にさえ子をはじめ、警察関係者が集結している。
さえ子ひとりで運転しているように見えるよう、助手席に潜り込んでさえ子にあれこれ指示を出す大輔。
なんかヤラしいシチュエーションである。しかしそんなことは、現場についてから車に乗り込むという警察の雑な捜査方針に比べれば些細な事に違いない。
やがて廃車工場の奥から、不気味な音が轟いた。丸山課長が驚き、車のヘッドライトでその地点を照射させる。
音の正体は、電磁石を装備した廃車工場のクレーンだった。
クレーンはさえ子たちが乗った車をクレーンごと持ち去るという荒っぽい手段に出てきた。
だったら、そのクレーンの運転席を押さえれば即、本当に即解決なんだが、人命優先の捜査方針、音羽署の面々は口をあんぐり開いて見守るしかない。
一方釣り上げられた大輔は、このままでは危険だとさえ子を抱えて宙に浮く車から飛び降り、結局身代金の入った車だけ持ちされてしまった。
そこへくるみが駆けつけ、犯人は小熊ではないと断言。
気色ばむ一同に犯人はこの女だと、さえ子を指す。
大輔たちは何か証拠を見つけたのか?と問い詰めるが、くるみは言いよどんで続かない。
さえ子は証拠もなしに何をいうかと激昂。当然である。
持ち去られる車を何とかしろとさえ子は急き立てようとしたところ、自転車で初老の男性、鑑識課の七五三掛課長がやってきた。
そして大輔に一枚の写真を手渡した。
一瞥してさえ子のハワイの旅行写真じゃないかと受け流す大輔。彼は旅行カバンをくるみが荒らす場面には立ち会ってないので、この写真は初見である。
写真だけでどこの風景かすぐわかるらしい。すごいな大輔。
七五三掛課長はそれは合成写真だと告げる。隅にプリントされた日付は誘拐日当日だが、その日はハワイは異常気象の大雨でこんな写真は撮れないという。
あえなくこの写真はアリバイ能力がなくなった。合成というよりはカメラのカレンダー設定変えただけのようにも見えるが。
そしてあらためて出入国管理局から取り寄せたさえ子の渡航履歴を突きつける。
…写真云々以前に、この超有力な証拠を先に見せるべきだと思うのは、大人げないんだろうか。
それ以前に関係者のアリバイをあたるのは基本のような気もするが。
ついにさえ子は表情を一変させ、本性を現す。
妻のむき出しの敵意に驚く勇太郎。つーかいたんだ。
そうやって、暢気なやりとりをしているうちに、クレーンはどんどん引き上げられていく。
操作しているのは安原。変な組み合わせである。
なぜ「さえ子と安原」(もはや芸人扱い)などというコンビ結成に至ったか妙に勘繰りたくなるが、ここでは棚上げする。
とにかく安原はクレーンを操作して車をタグボートに乗せ、脱出を図る。
つまり、音羽署は、水路を使った逃走を全く考慮してなかったということになる。
挙げ句の果てにさえ子は、いつの間にかクレーン車に乗り込み、安原と合流。
つまり、目の前の容疑者を取り逃がしていることになる。
ほんっとうに、揃いも揃ってボンクラの集団である。
丸山課長はさえ子と安原を取り押さえろとクレーンに署員を向かわせるが、安原が一喝し、再度クレーンを動かす。
そして廃車の山から一台を引き上げ、中を見せる。
そこには縛られ意識を失っているさおりがいた。
下手に手を出すと、車ごと海に叩き落すと二人がかりで解説して脅す「さえ子と安原」。いいコンビである。
勇太郎はへたり込み、この醜聞で四条家は終わりだと嘆く。
だがその態度がさえ子の癇に障ったらしい。わたしのことなど気にもかけず、地位や名誉、世間体ばかり執着しているとなじる。
そりゃ年がら年中海外をふらついてるあんたも似たようなもんだろ…と思うのは大人気ないんだろうか。
そしてさえ子はさおりは実の娘ではない、ここを逃げ切ればもう用はないと意外なことを口にする。
丸山課長にさおりのことを質され、言葉に窮する勇太郎。
一方大輔は、クレーンの真後ろの廃屋だか何だかわからない鉄筋むき出しの建造物にくるみ登り、そこから柱に結わえられた鎖を撃てとジェスチャーで伝えていることに気づく。
その鎖は長いロープを柱に括り付けるものらしい。どうやらこの鎖を断ち、ロープでターザンのようにクレーンに突っ込むつもりのようだ。
しかしこのロープ、どこが支点なんだろうか?一見「さえ子と安原」が乗るクレーン先端に繋がってるようにも見えるが、こんなことしたらクレーンは動かせない。
しかも軌道がクレーンに向かうとはどこにも保証がない。こんなの芸人でもやらないだろう。危険を顧みず果敢に挑むくるみ。天晴れ刑事の鑑である。
ま、死角からクレーンを直接襲撃したほうが早いし、確実だと思うけど。「さえ子と安原」の芸人オーラに触発でもされたのだろうか?
ともかく、一応その意図を察した大輔はいきなり発砲。見事鎖に命中させ、くるみはロープにしがみ付き、宙を舞う。
人間大砲と化したくるみは、猛烈なスピードでクレーン内部に特攻、「さえ子と安原」をふっ飛ばす。
狭く無骨なクレーン内、何とぶつかってもただでは済まないはずだが、本人は「いたた…」で片付けている。おそらく並々ならぬ鍛え方をしているのだろう、天晴れ刑事の鑑である。
クレーン内にはもう一人の男が縛られて床に転がされていた。
なんと行方不明かつ誘拐犯の疑いをかけられていた小熊である。どうやら「さえ子と安原」は全ての罪を小熊になすり付けて最後は殺そうと計画していたらしい。
くるみが小熊の縄を解いていると、意識朦朧としていた安原が起き上がり、レバーを掴む。
そのレバーはクレーンを下ろすものだった。さおりを乗せた車は、あっという間に海面に着水し、沈んでいく。
大輔がいち早く海に向かうが、それよりも先に何者かが飛び込んだ。
やがて泡と共にさおりが浮かんできた。飛び込んだのは小熊だった。気を失った彼女をしっかり抱えている。
横たえられたさおりはやがて意識を取り戻し、目覚めるが小熊を父と呼び抱きつく。
場面は変わって音羽署。
勇太郎は参考人として事情聴取されていた。
小熊は妻を亡くし無職だったため、自分のところに相談に来た。そこでさおりを養女とし、小熊を運転手として雇い入れた。
養子縁組にさえ子はもともと反対だった上、勇太郎は仕事にかまけて家を空けがちな生活が続いたのが事件の動機のひとつだろうと彼は語った。
一方、くるみと大輔は音羽署の屋上にいた。
さおりは、どうしてこんな狂言誘拐を引き起こしたんだろうと考えるくるみ。
大輔にはわかっていた。おそらく本当の父親は誰かさおりは知っていたんだろう…と。
だからといって狂言とはいえ誘拐事件を起こしちゃいけませんが。

【今回の犯人】
四条さえ子と安原(さえ子と安原)
【露見前】


【露見後】


安原は、露見後の方がマヌケっぽいなぁ
【レビューという名のツッコミどころ】
うーん…今回は箇条書きです。書くことが多すぎて。
現実の話として、日本での誘拐は、極めてリスクが高く、ほぼ100%失敗すると聞いたことがあります。
ところが、「さえ子&安原」の
綿密に計画すべき誘拐犯罪としては、ありえない雑っぷり。実際グダグダとはいえ、アリバイの偽造工作をしてるくらいですから、無計画だったとは言わせません。行き当たりばったりにもほどがあります。
くるみと大輔は監察室の処分が下されたんでしょうか。女子高生の狂言誘拐に加担するなんてのは、冗談抜きでこれ結構な犯罪行為だと思うんですが。
テレビ知識ですが、本人が望むので、未成年を自宅にとどめ、帰宅させなかった場合でも未成年者略取が成立するらしいです。
くるみはまだ未遂(協力を表明しただけで何もしていない)程度ですが、大輔はかーなりヤバいですよね。
仮に本件が成立しなくても、知りえた事実を適切に報告せず、捜査員を混乱させたんだから、威力業務妨害の方が成立するんじゃないかなぁ。
ま、いずれにせよ誉められた行為でないことだけは確か。暢気に屋上で世間話してる場合じゃないと思います。
3話も消費して、しかも見るべきお色気もなく…うすっ!!
読切りだとそれなりに濃密な話が多く、数話にまたがると妙に薄味な傾向がありますよね。
初登場の七五三掛課長。今後もちょいちょい登場します。作中一番まともな人物かもしんない。
特に今回はもうみんながみんな加害者(被害者はもちろん読者)みたいな中、一服の清涼剤のような存在でした。
おっさんなんですけどね。
管理人的に登場人物で意外に好感度高いのは、四条勇太郎氏。
なんだかんだで娘のためにすぐ帰国したり、嫁が逮捕されたのは自分に責任があるような供述をしたり、小熊氏の就職を世話したりと面倒見が意外といい一面があちこちから伺えます。
安原が小熊が犯人と言った時、唸ったまま肯定も否定もしませんでしたが、彼はさおりの実父である小熊が誘拐するはずがない、と悟っていたのでしょう。
でもさ…だったら言おうよ。黙ってるもんだから、警察は小熊犯人説に傾いちゃったじゃん。
フォローするなら、もしかしたら、その時点で同じ秘密を知りながら一言も発しなかった妻も疑っていたのかもしれないですね。
それにしても、四条さやか嬢、早瀬歩先生にそっくり。早瀬先生が女子高生のコスプレしてるみたいでした。
それはそれとして、ゲストキャラでは一番のお気に入りです。大輔が自宅に彼女を泊めたことを告白した時「変なことはしなかった…したかったけど」は名言。
いいキャラだったなぁ。大輔、くるみとの三角関係として準レギュラーになってもおかしくない。もっと活躍させてほしかったです。
キャラクター紹介【江口大輔】

登場作品:胸キュン刑事
出身地:不明
年齢:24歳?
誕生日:不明
血液型:不明
スリーサイズ:-
音羽署捜査一課の刑事でくるみの1年先輩。
だが、大卒なのでくるみと出会った年で(浪人や留年してなければ)24歳。
音羽署の良心。一番の常識派。少々頑固だが地に足の着いた捜査をし、くるみよりは遠回りすることがあるが、ちゃんと自分の捜査ルートで真相に近づくことも多い。
くるみが(お色気的)危機陥ると、理屈ぬきでその場所を察知し、場面をぶち壊すオチ担当でもあるのである意味読者の最大の敵。
普段は明朗快活かつまじめに仕事をこなしているが、意外とスケベで特にくるみへの容赦ないセクハラを働くこともある。また北海道に出向いた時は、一人で夜の歓楽街に赴き、イイことをしてきた節がうかがえる。
一方で恋愛には純情な一面があり、作品途中からくるみを意識した態度が見え隠れする。
音羽署一番の銃の使い手で、作中で狙いを外したことは一度もない。
意外にもといってはなんだが、くるみとコンビを組んで事件を解決する場面は実はそう多くない。また組んでも結果的にくるみが単独行動に走ったり、事件に巻き込まれて行方不明になったりすることから置いてけぼりにされてしまうことがほとんどである。

こんなこと今のご時世なら告訴モノ

菊丸並みにスケベな一面も

大切な部分を見ると鼻血を噴く

欄外にあるとおり、菊丸そのもの…この直後にまたも鼻血

銃の腕前はすばらしいが、そんなところでカッコつけられても…
【管理人からひとこと】
ハートキャッチいずみちゃんのキャラ紹介をなぞって、主役の相方からスタートです。
作中自分でも言っていますが、くるみの先輩というよりは本当に保護者といった感じです。
苦労耐えないだろうな…この人。
序盤よりも、発砲する場面が増えてくる中盤以降の方が見せ場は多かったりします。
胸キュン刑事第14回(第21、22話)
ドラキュラ殺人事件
キバ跡の秘密
木下さやかという元歌手の女性がマンションの自室で死亡していた。
彼女は「きまぐれソネット」という歌でヒットしたものの、今は「過去の人」であり、現在は地方巡業がメインとなっていたらしい。しかし、金回りは妙に良かったらしく、現場は現状には不釣合いな立派なマンションだった。
その立派なマンション管理人、坂田三郎とさやかの実妹、木下由加が第一発見者。由加とさやかは別居していたようだが、この修羅場になぜ他の家族はいないんだろう?
由加が姉を訪ねると、中からは飼い猫チャチャの鳴き声しかせず、不審に思って部屋に入り、死体を発見したという。
くるみが同僚に死因を尋ねると、死体の首に小さな穴が二つ開いているのを指し示した。何かに首を傷つけられ、それが原因で死亡したらしい。
他に外傷はなく、部屋は密室な上、場所は7階。
つまり…吸血鬼に殺されたのではないか。と結論付ける大輔。嗚呼…大輔もどんどん馬鹿になっていく。
それを聞いた由加は、チャチャを抱いたまま大いに怯える。
慌てて「犯人はわたしたちが見つける」とフォローするくるみ。もう犯人がいると決め付けてる。そしてよく考えるとあまりフォローにはなってない発言である。
だが由加をなだめようと肩に手を置いた瞬間、胸キュンが反応。まさか由加が犯人!?と動揺しているところへ、中年男性が駆け込んできた。
男は池田良介。さやかの猫の世話をしているペットショップのオーナーだった。
著名人のペットを多く取り扱うやり手の経営者らしく、くるみもその名前は知っているほどである。
由加を慰める池田を横目に大輔はカセットデッキの電源が入ったままになっていることに気づいた。
テープは巻き戻っているので、聞いている途中で死亡したのかもしれないと考えたくるみたちは、再生してみると、さやかのヒット曲「きまぐれソネット」が流れ始めた。
由加は姉を思い出したのか、思わず涙ぐむ。
同時にチャチャも興奮し始め、唸り声をあげると由加から離れていきなりくるみに鋭い爪で襲い掛かる。
そこへ池田がテープを止め「亡くなった姉の曲を妹の前で流すなんて非常識だ」と喰ってかかる。
一番非常識なのは、死体を運び出してもない事件現場に乗り込んで来た第三者のあんたなんだが。
とは言え、池田の言い分も一理なくはないので、くるみは由加に詫びる。由加もまたチャチャの攻撃を詫び「普段は爪なんか立てないのに」と言いながらハンカチで傷を押さえくるみを気遣う。
すると今度は由加から胸キュンはなかった。首を傾げるくるみだったが、確かに優しく、また子どもである由加が犯人とは考えにくい。
思いに耽っている間に池田はチャチャを自分の店で預かると由加に申し出て、そのまま由加と一緒に帰ってしまった。関係者を勝手に帰す池田。大したタマである。
その後音羽署に科学捜査研究所から、さやかの死因はマムシの毒によるショック死と報告があった。首の傷はキバ跡ということで結論付けられた。
丸山課長は殺人事件ではないが、マムシ狩りが必要と大掛かりなマムシ捕獲作戦を展開。
この人、頭脳労働面では無能ではあるが、中々の陣頭指揮力である。
だが、くるみはマムシ説が腑に落ちないのか、マムシ狩りに参加せず、事件の可能性ばかり考えている。
それを見た大輔はホースの切れ端をくるみの背中に放り込み、マムシと思い込んで慌てたくるみは、路上でほぼ全裸になるほどパニックを起こす。
ま、あんまり必然性の無いサービスショットである。無いよりはマシだが。
くるみは大輔に「部屋は窓もドアも閉まっていたんだから何も入れない、チャチャがいるんだからマムシがいたら気づかないはずがない」とマムシ説を否定する根拠を示す。
…いや、入るよ。だってヘビだもん。ヘビと人間の身体を同じ視点で語ってるだろ、それ。それに猫がヘビに気づかないって決め付けてるのは暴論だと思うが。
死因がマムシの毒であるのは事実なので、まずはマムシのことを知ろうとくるみはハ虫類研究所を訪れる。
夏休みの宿題に取り組む中学生と勘違いしたスタッフが、子供用の図鑑を貸してくれた。
こんな中学生いるかぁ!!…と一応ツッコませていただく。ま、後に本当に中学生になりすますのだが。
その図鑑には「マムシは猫の爪のようにキバを出し入れできる」と一文を見つける。
さすがスタッフが薦めるだけある。色んな意味でわかりやすさは伊達じゃない。
くるみも当然「マムシ⇒猫の爪⇒チャチャ」と連想し、真相が見えてきた。
子供用の図鑑に負ける科捜研。気付け、猫の爪とマムシのキバ跡の違いくらい。
だが、どうやってチャチャを意のままに操るかという課題は残った。
ハ虫類研究所を出ると敷地の池で先ほどのスタッフが拍手をしている。
聞けば「魚を集めている」らしいが、餌を蒔いている様子はない。
だが、スタッフが言うとおり、やがて池中の魚が集まってきた。
驚くくるみに「ここの魚は餌を蒔く時に常に拍手をしているので、餌がなくても拍手だけで集まる習性がついてしまっている」と解説してくれた。
それを聞いてハッとするくるみ。情報の宝庫だな、このハ虫類研究所は…
くるみは池田のペットショップを訪れた。
池田は預かっているチャチャをケージから出してくるみに見せてくれた。
チャチャを抱きかかえると胸キュンの反応。
池田の目を盗んで前足を押さえて爪を出させると、その爪は2本だけ鋭く砥がれ、また他は摘まれていて、一応マムシの牙を連想させる風にはなってる。
残る証拠をとくるみが部屋を見渡すと、部屋の隅にカセットデッキを発見。
中から目的のテープを見つけ、これで全ての証拠が揃った。
そして池田にマムシ事件をでっちあげてさやかを殺害したのはお前だと宣言。
困惑する池田にくるみはチャチャをさやかが巡業のつど預かっていたことを指摘し、その間チャチャに曲に反応して攻撃するよう仕込んでいたと断言する。
そのままカセットデッキを作動させると「きまぐれソネット」流れ、くるみの推理どおりチャチャの態度が一変する。
チャチャは池田に襲い掛かるが、すんでの所でくるみが曲を止め、池田に自供を促す。
池田はあっさりチャチャを使ってさやかを殺害したことを認めた。
爪に毒を塗ってマムシに襲われた事故死に見せかけようとしたと…
動機についても問いただすと、池田は「本業に気づかれたから」と首輪を投げてよこした。
首輪の部品を分解すると、中から白い粉が出てきた。
嘗めてヘロインと察するくるみ。相変わらず麻薬の味をよくご存知である。
この稼業に気づいたさやかは池田を脅し、池田の返り討ちにあったいうわけだった。
すべてを告白した池田は、くるみも不幸なマムシの事故で葬ろうとチャチャの爪に毒を塗る。
とっさにくるみは別室に逃げ込むが、そこは池田がチャチャに殺人技術を調教する特製オーディオルームだった。
…ペットショップに似合わぬ超特大スピーカーがあつらえられた思いっ切り怪しい部屋であり、ものすごい設備投資でもある。経営者として大丈夫だろうかこの池田氏。
それはともかく、池田は外から鍵をかけ、チャチャを中に押し込むと、大音量で「きまぐれソネット」を流し始めた。
とたんにチャチャの態度が一変し、くるみに鋭い爪で襲い掛かる。
何度かかわしたものの、やがて追い詰められたくるみ。
しばらくして池田が部屋を覗くと、くるみが倒れ、その傍らにチャチャがいる。
うまく仕留めたと思った池田は部屋に入り、くるみの亡骸を始末し始めようとする。
ところがチャチャの耳にはくるみの持っていた(多分ウォークマン)のイヤホンが取り付けられ、別の曲を聴かされていた。
つまり殺人モードから解放されており、池田に接近させるためのくるみの罠だった。
くるみはイヤホンを取り外すと、再び流れっぱなしになっていた「きまぐれソネット」がチャチャの耳に入り、殺人モードに切り替わる。
そしてあろうことかくるみは、その状態のチャチャを池田にけしかけるといった暴挙に出る。
下手すりゃ殺人である。
幸か不幸か池田は全身引っかき傷だらけになっただけで、無事に逮捕。
こうしてまたもくるみの活躍によって事件は解決したのだが、池田の店の動物を全部音羽署に引き取ってしまったため、捜査一課は動物園のようになってしまったのだった。

【今回の犯人】
池田良介
【露見前】

【露見後】

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミ】
根本的なツッコミですが、殺人モードのチャチャは、池田に引っかき傷を負わせています。
つまり、木下さやか死亡時のマムシが噛んだような一撃は、奇跡的な偽装成立ってことになります。だめじゃん、そんなあやふやな勝算。
ついでに言えば、マムシが噛んだような跡と再三言ってますが、爪二本が上顎なのはいいとして、下顎はどう解釈すればいいんでしょう?
生物学的なことは知りませんが、噛み付く時って上下の歯形が残らないとおかしいんじゃないかなぁ。そうなると大輔がドラキュラと騒いだのもうなづけます。あれは上の犬歯(キバ)だけですからね。
初回もそうでしたが、ネコにまで反応するんじゃあ胸キュンってあんまり意味ない気もします。つーか第2話の時はちゃんとネコを割り出したんだから、つまり経験もあるんだから、現場で気づけよ、とも思いますが。
それにしても事件解決後、チャチャはどうなったんでしょう。
仕込まれたとはいえ、殺人ネコにされちゃった以上、殺処分されたんでしょうか。そこが明確ではないので、ちょっと薄暗い気分になるお話です。
キバ跡の秘密
木下さやかという元歌手の女性がマンションの自室で死亡していた。
彼女は「きまぐれソネット」という歌でヒットしたものの、今は「過去の人」であり、現在は地方巡業がメインとなっていたらしい。しかし、金回りは妙に良かったらしく、現場は現状には不釣合いな立派なマンションだった。
その立派なマンション管理人、坂田三郎とさやかの実妹、木下由加が第一発見者。由加とさやかは別居していたようだが、この修羅場になぜ他の家族はいないんだろう?
由加が姉を訪ねると、中からは飼い猫チャチャの鳴き声しかせず、不審に思って部屋に入り、死体を発見したという。
くるみが同僚に死因を尋ねると、死体の首に小さな穴が二つ開いているのを指し示した。何かに首を傷つけられ、それが原因で死亡したらしい。
他に外傷はなく、部屋は密室な上、場所は7階。
つまり…吸血鬼に殺されたのではないか。と結論付ける大輔。嗚呼…大輔もどんどん馬鹿になっていく。
それを聞いた由加は、チャチャを抱いたまま大いに怯える。
慌てて「犯人はわたしたちが見つける」とフォローするくるみ。もう犯人がいると決め付けてる。そしてよく考えるとあまりフォローにはなってない発言である。
だが由加をなだめようと肩に手を置いた瞬間、胸キュンが反応。まさか由加が犯人!?と動揺しているところへ、中年男性が駆け込んできた。
男は池田良介。さやかの猫の世話をしているペットショップのオーナーだった。
著名人のペットを多く取り扱うやり手の経営者らしく、くるみもその名前は知っているほどである。
由加を慰める池田を横目に大輔はカセットデッキの電源が入ったままになっていることに気づいた。
テープは巻き戻っているので、聞いている途中で死亡したのかもしれないと考えたくるみたちは、再生してみると、さやかのヒット曲「きまぐれソネット」が流れ始めた。
由加は姉を思い出したのか、思わず涙ぐむ。
同時にチャチャも興奮し始め、唸り声をあげると由加から離れていきなりくるみに鋭い爪で襲い掛かる。
そこへ池田がテープを止め「亡くなった姉の曲を妹の前で流すなんて非常識だ」と喰ってかかる。
一番非常識なのは、死体を運び出してもない事件現場に乗り込んで来た第三者のあんたなんだが。
とは言え、池田の言い分も一理なくはないので、くるみは由加に詫びる。由加もまたチャチャの攻撃を詫び「普段は爪なんか立てないのに」と言いながらハンカチで傷を押さえくるみを気遣う。
すると今度は由加から胸キュンはなかった。首を傾げるくるみだったが、確かに優しく、また子どもである由加が犯人とは考えにくい。
思いに耽っている間に池田はチャチャを自分の店で預かると由加に申し出て、そのまま由加と一緒に帰ってしまった。関係者を勝手に帰す池田。大したタマである。
その後音羽署に科学捜査研究所から、さやかの死因はマムシの毒によるショック死と報告があった。首の傷はキバ跡ということで結論付けられた。
丸山課長は殺人事件ではないが、マムシ狩りが必要と大掛かりなマムシ捕獲作戦を展開。
この人、頭脳労働面では無能ではあるが、中々の陣頭指揮力である。
だが、くるみはマムシ説が腑に落ちないのか、マムシ狩りに参加せず、事件の可能性ばかり考えている。
それを見た大輔はホースの切れ端をくるみの背中に放り込み、マムシと思い込んで慌てたくるみは、路上でほぼ全裸になるほどパニックを起こす。
ま、あんまり必然性の無いサービスショットである。無いよりはマシだが。
くるみは大輔に「部屋は窓もドアも閉まっていたんだから何も入れない、チャチャがいるんだからマムシがいたら気づかないはずがない」とマムシ説を否定する根拠を示す。
…いや、入るよ。だってヘビだもん。ヘビと人間の身体を同じ視点で語ってるだろ、それ。それに猫がヘビに気づかないって決め付けてるのは暴論だと思うが。
死因がマムシの毒であるのは事実なので、まずはマムシのことを知ろうとくるみはハ虫類研究所を訪れる。
夏休みの宿題に取り組む中学生と勘違いしたスタッフが、子供用の図鑑を貸してくれた。
こんな中学生いるかぁ!!…と一応ツッコませていただく。ま、後に本当に中学生になりすますのだが。
その図鑑には「マムシは猫の爪のようにキバを出し入れできる」と一文を見つける。
さすがスタッフが薦めるだけある。色んな意味でわかりやすさは伊達じゃない。
くるみも当然「マムシ⇒猫の爪⇒チャチャ」と連想し、真相が見えてきた。
子供用の図鑑に負ける科捜研。気付け、猫の爪とマムシのキバ跡の違いくらい。
だが、どうやってチャチャを意のままに操るかという課題は残った。
ハ虫類研究所を出ると敷地の池で先ほどのスタッフが拍手をしている。
聞けば「魚を集めている」らしいが、餌を蒔いている様子はない。
だが、スタッフが言うとおり、やがて池中の魚が集まってきた。
驚くくるみに「ここの魚は餌を蒔く時に常に拍手をしているので、餌がなくても拍手だけで集まる習性がついてしまっている」と解説してくれた。
それを聞いてハッとするくるみ。情報の宝庫だな、このハ虫類研究所は…
くるみは池田のペットショップを訪れた。
池田は預かっているチャチャをケージから出してくるみに見せてくれた。
チャチャを抱きかかえると胸キュンの反応。
池田の目を盗んで前足を押さえて爪を出させると、その爪は2本だけ鋭く砥がれ、また他は摘まれていて、一応マムシの牙を連想させる風にはなってる。
残る証拠をとくるみが部屋を見渡すと、部屋の隅にカセットデッキを発見。
中から目的のテープを見つけ、これで全ての証拠が揃った。
そして池田にマムシ事件をでっちあげてさやかを殺害したのはお前だと宣言。
困惑する池田にくるみはチャチャをさやかが巡業のつど預かっていたことを指摘し、その間チャチャに曲に反応して攻撃するよう仕込んでいたと断言する。
そのままカセットデッキを作動させると「きまぐれソネット」流れ、くるみの推理どおりチャチャの態度が一変する。
チャチャは池田に襲い掛かるが、すんでの所でくるみが曲を止め、池田に自供を促す。
池田はあっさりチャチャを使ってさやかを殺害したことを認めた。
爪に毒を塗ってマムシに襲われた事故死に見せかけようとしたと…
動機についても問いただすと、池田は「本業に気づかれたから」と首輪を投げてよこした。
首輪の部品を分解すると、中から白い粉が出てきた。
嘗めてヘロインと察するくるみ。相変わらず麻薬の味をよくご存知である。
この稼業に気づいたさやかは池田を脅し、池田の返り討ちにあったいうわけだった。
すべてを告白した池田は、くるみも不幸なマムシの事故で葬ろうとチャチャの爪に毒を塗る。
とっさにくるみは別室に逃げ込むが、そこは池田がチャチャに殺人技術を調教する特製オーディオルームだった。
…ペットショップに似合わぬ超特大スピーカーがあつらえられた思いっ切り怪しい部屋であり、ものすごい設備投資でもある。経営者として大丈夫だろうかこの池田氏。
それはともかく、池田は外から鍵をかけ、チャチャを中に押し込むと、大音量で「きまぐれソネット」を流し始めた。
とたんにチャチャの態度が一変し、くるみに鋭い爪で襲い掛かる。
何度かかわしたものの、やがて追い詰められたくるみ。
しばらくして池田が部屋を覗くと、くるみが倒れ、その傍らにチャチャがいる。
うまく仕留めたと思った池田は部屋に入り、くるみの亡骸を始末し始めようとする。
ところがチャチャの耳にはくるみの持っていた(多分ウォークマン)のイヤホンが取り付けられ、別の曲を聴かされていた。
つまり殺人モードから解放されており、池田に接近させるためのくるみの罠だった。
くるみはイヤホンを取り外すと、再び流れっぱなしになっていた「きまぐれソネット」がチャチャの耳に入り、殺人モードに切り替わる。
そしてあろうことかくるみは、その状態のチャチャを池田にけしかけるといった暴挙に出る。
下手すりゃ殺人である。
幸か不幸か池田は全身引っかき傷だらけになっただけで、無事に逮捕。
こうしてまたもくるみの活躍によって事件は解決したのだが、池田の店の動物を全部音羽署に引き取ってしまったため、捜査一課は動物園のようになってしまったのだった。

【今回の犯人】
池田良介
【露見前】

【露見後】

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミ】
根本的なツッコミですが、殺人モードのチャチャは、池田に引っかき傷を負わせています。
つまり、木下さやか死亡時のマムシが噛んだような一撃は、奇跡的な偽装成立ってことになります。だめじゃん、そんなあやふやな勝算。
ついでに言えば、マムシが噛んだような跡と再三言ってますが、爪二本が上顎なのはいいとして、下顎はどう解釈すればいいんでしょう?
生物学的なことは知りませんが、噛み付く時って上下の歯形が残らないとおかしいんじゃないかなぁ。そうなると大輔がドラキュラと騒いだのもうなづけます。あれは上の犬歯(キバ)だけですからね。
初回もそうでしたが、ネコにまで反応するんじゃあ胸キュンってあんまり意味ない気もします。つーか第2話の時はちゃんとネコを割り出したんだから、つまり経験もあるんだから、現場で気づけよ、とも思いますが。
それにしても事件解決後、チャチャはどうなったんでしょう。
仕込まれたとはいえ、殺人ネコにされちゃった以上、殺処分されたんでしょうか。そこが明確ではないので、ちょっと薄暗い気分になるお話です。
胸キュン刑事第13回(第20話)
恋する女は…
これといった事件もなく、捜査一課で暇を持て余していたくるみ。
だったら交通課の手伝いでもしてこいと丸山課長にどやされ、駐車違反取締りに勤しむハメになってしまった。
そんな最中、偶然くるみは恋人を一緒にいる高校時代の同級生、野口ちさとと再会する。
そのまま三人は喫茶店に向かう。くるみには公務中だとか、制服で喫茶店に入ることとかへの躊躇いはないらしい。
監査室にバレたらえらいことになると思うんだが…
それはさておき、二人は来月結婚を控えているらしく、仲睦まじい様子を見せ付けられるくるみだったが、その恋人高円寺正樹とはどこかで会ったような感覚が常にあった。
それが気がかりではあったが、さすがに仕事に戻らないととくるみは席を立つ。
その時三人が一斉に伝票をとろうとし、互いに手を触れ合ったとき、胸キュンが発動。
どちらか二人が犯罪者なのかと、くるみは大いに不安を覚え、特に既視感を覚えた高円寺に疑いを持つ。
音羽署に戻るとその既視感はすぐに解決した。
結婚詐欺で指名手配されている男…本名、加藤健の写真が高円寺正樹そのものだった。
友人ちさとが危ないと考えたくるみ。
それは結構なのだが、手配犯なら身柄確保する手続きをとるなり、せめて署に照会すりゃいいのに、なぜか証拠が必要だと考え、しかもそれを探るために高円寺に接近を図る。
ともかく、高円寺はちさとに呼び出されホテルのラウンジに現れた。
そこに変装したドレス姿のくるみが登場。わざと高円寺にぶつかり、はずみでこぼれたグラスで服を濡らし、被害者ぶる。
まさか高円寺は意図的に加害者に仕立てられたとは露にも思わず、迷惑をかけたとひたすら低姿勢。
しかし、くるみが色仕掛けを重ねたおかげで、一転くるみを口説き始める。
場所を移して会話を弾ませながらもくるみに酒を飲ませた高円寺は、すっかり酔いつぶれたくるみを抱え、客室に移動する。
くるみをベッドに横たえると、いきなりくるみの服を脱がせる高円寺。
同時にそれは高円寺が加藤であると、くるみが確信した瞬間であった。
…別に詐欺の現行犯ではないけど。
高円寺の手捌きは予想以上に早く、あっさりパンティに手をかける。
こうなるとくるみのたぬき寝入りも限界で、思わず体を起こしてしまった。
しかしこんなことは想定内だったのか、高円寺はくるみの腕を捻って無理やりベッドに押さえつける。
相変わらず弱い。本当に合気道三段なのか。
だが、なおも抵抗を続けるくるみに高円寺が勢いで髪を掴むと、ヅラが取れ、ついにくるみの正体が割れてしまう。
「お前はあの時の婦人警官!!」
…仮にも婚約者の友人である。もうちょっと気の利いた言い回しはないのか。あるいは、顔を覚えてて名前が出てこなかったのか。
ともかく目の前の女性の正体を知り、愕然とする高円寺の前にバスルームからちさとが現れた。
結局のところ、くるみ自身が囮となって、ちさとに高円寺の素顔を見せ、破局させようとしていたのだった。
別に詐欺を暴けたわけじゃないし、このやり方では絶対暴けない気がするが。
ともかく、ちさとの出現に追い討ちをかけられ、すっかり意気消沈する高円寺。
そしてちさとの二人に、高円寺の正体は結婚詐欺師の加藤健だとあらためて告発する。
ちさとはすっかり動揺するが、高円寺は自信ありげに「自分は加藤ではない、そうだというなら証拠を見せろ」と切り返した。
その予想外に高圧的な態度にくるみはややたじろぎながらも、手配写真を見せる。高円寺は一瞥するも「他人の空似だ」と意に介さない。
高円寺の反撃に手を焼くくるみだが「あなたがちさとに告げた職場、住所に高円寺正樹なる人物はどこにも存在しない」と高円寺は押し黙った。何か隠していることは確かである。
膠着状態に陥ったところにフロントからくるみ宛に電話が取り次がれた。
出てみるとそれは、加藤健が別の場所で逮捕されたという一報だった。
あてが外れて、わけがわからなくなったくるみ(それ以上に読者)。
高円寺が加藤でないことはわかったが、それでも偽名を用いて、職業はデタラメなど全てが謎に包まれている人物であることは変わりない。
問い詰めると高円寺もついに観念し、本名は「猫又木田吾作(ねこまたぎたごさく)」であり、その恥ずかしさから偽名を用いていたことを白状する。
ようやく真相が明らかになり、少なくとも高円寺こと猫又木は、犯罪者ではないことが確定したが、くるみは「それでもすべてを隠してるなんて問題ありだ」と自分の見当違いをごまかすかのような難癖をつける。
しかし、当事者の一人であるちさとは、猫又木が誰であろうと構わないと落ち着いている。
彼女は既に妊娠しているとくるみに打ち明けた。また、猫又木もそれを知って結婚は本気だとくるみに訴え、結局くるみも振り上げた拳を収めざるを得なくなった。
数日後、音羽署でこの件を思い出していたくるみに、ちさとから手紙が届いた。
招待状かと思って開いてみると、思いも寄らぬことが書かれていた。
ちさとは実は妊娠などしておらず、猫又木と何が何でも結婚するために嘘をついたらしい。
内容に驚きながらも、あの三者の手が触れ合った時の胸キュンは、ちさとのこの嘘だったのかとくるみはようやく得心した。
「恋する女は犯罪者か…」
自分の胸キュンが役に立たなかったことを棚にあげ、もっともらしい言葉で締めるくるみであった。

【今回の犯人(?)】
高円寺正樹こと猫又木田吾作
【露見(?)前】

【露見(?)後】

【レビューという名のツッコミ】
胸キュン刑事って、数話にまたがる話より、こういった読み切りの方が面白いと思います。大仰なトリック解説や、犯人暴きがないからでしょうか。ページに制約がある分、凝縮されている気がします。
しかしながら、結局ニセ高円寺こと猫又木は、結婚詐欺師ではなかったものの、結婚詐欺師と言われてもおかしくない経歴の隠蔽をしてますし、何よりくるみに対しては暴行未遂を働いてますからお咎めなしってのも変な話です。
というか、婚約者に呼び出されたその待ち合わせ場所で、即別の女を口説いてますから、こいつ結構なロクデナシです。
まあ、そもそも、くるみが余計なことをしたからこんな展開になったわけで…
「いい?ちさと、見ててね…わたしが高円寺を誘惑してみせるから…そしたらアイツ結婚詐欺師よ」とでも言ったんでしょうか。ヤな女だな。
またここでもくるみの自意識過剰が見透かせました。
それにしても、結婚式を挙げるなら、招待状は普通1ヶ月前には発送しません。
つまりこの二人、再会する前からくるみを式に招待する気はなかったと思われます。
騒動後も絶対呼んでないと思う。
これといった事件もなく、捜査一課で暇を持て余していたくるみ。
だったら交通課の手伝いでもしてこいと丸山課長にどやされ、駐車違反取締りに勤しむハメになってしまった。
そんな最中、偶然くるみは恋人を一緒にいる高校時代の同級生、野口ちさとと再会する。
そのまま三人は喫茶店に向かう。くるみには公務中だとか、制服で喫茶店に入ることとかへの躊躇いはないらしい。
監査室にバレたらえらいことになると思うんだが…
それはさておき、二人は来月結婚を控えているらしく、仲睦まじい様子を見せ付けられるくるみだったが、その恋人高円寺正樹とはどこかで会ったような感覚が常にあった。
それが気がかりではあったが、さすがに仕事に戻らないととくるみは席を立つ。
その時三人が一斉に伝票をとろうとし、互いに手を触れ合ったとき、胸キュンが発動。
どちらか二人が犯罪者なのかと、くるみは大いに不安を覚え、特に既視感を覚えた高円寺に疑いを持つ。
音羽署に戻るとその既視感はすぐに解決した。
結婚詐欺で指名手配されている男…本名、加藤健の写真が高円寺正樹そのものだった。
友人ちさとが危ないと考えたくるみ。
それは結構なのだが、手配犯なら身柄確保する手続きをとるなり、せめて署に照会すりゃいいのに、なぜか証拠が必要だと考え、しかもそれを探るために高円寺に接近を図る。
ともかく、高円寺はちさとに呼び出されホテルのラウンジに現れた。
そこに変装したドレス姿のくるみが登場。わざと高円寺にぶつかり、はずみでこぼれたグラスで服を濡らし、被害者ぶる。
まさか高円寺は意図的に加害者に仕立てられたとは露にも思わず、迷惑をかけたとひたすら低姿勢。
しかし、くるみが色仕掛けを重ねたおかげで、一転くるみを口説き始める。
場所を移して会話を弾ませながらもくるみに酒を飲ませた高円寺は、すっかり酔いつぶれたくるみを抱え、客室に移動する。
くるみをベッドに横たえると、いきなりくるみの服を脱がせる高円寺。
同時にそれは高円寺が加藤であると、くるみが確信した瞬間であった。
…別に詐欺の現行犯ではないけど。
高円寺の手捌きは予想以上に早く、あっさりパンティに手をかける。
こうなるとくるみのたぬき寝入りも限界で、思わず体を起こしてしまった。
しかしこんなことは想定内だったのか、高円寺はくるみの腕を捻って無理やりベッドに押さえつける。
相変わらず弱い。本当に合気道三段なのか。
だが、なおも抵抗を続けるくるみに高円寺が勢いで髪を掴むと、ヅラが取れ、ついにくるみの正体が割れてしまう。
「お前はあの時の婦人警官!!」
…仮にも婚約者の友人である。もうちょっと気の利いた言い回しはないのか。あるいは、顔を覚えてて名前が出てこなかったのか。
ともかく目の前の女性の正体を知り、愕然とする高円寺の前にバスルームからちさとが現れた。
結局のところ、くるみ自身が囮となって、ちさとに高円寺の素顔を見せ、破局させようとしていたのだった。
別に詐欺を暴けたわけじゃないし、このやり方では絶対暴けない気がするが。
ともかく、ちさとの出現に追い討ちをかけられ、すっかり意気消沈する高円寺。
そしてちさとの二人に、高円寺の正体は結婚詐欺師の加藤健だとあらためて告発する。
ちさとはすっかり動揺するが、高円寺は自信ありげに「自分は加藤ではない、そうだというなら証拠を見せろ」と切り返した。
その予想外に高圧的な態度にくるみはややたじろぎながらも、手配写真を見せる。高円寺は一瞥するも「他人の空似だ」と意に介さない。
高円寺の反撃に手を焼くくるみだが「あなたがちさとに告げた職場、住所に高円寺正樹なる人物はどこにも存在しない」と高円寺は押し黙った。何か隠していることは確かである。
膠着状態に陥ったところにフロントからくるみ宛に電話が取り次がれた。
出てみるとそれは、加藤健が別の場所で逮捕されたという一報だった。
あてが外れて、わけがわからなくなったくるみ(それ以上に読者)。
高円寺が加藤でないことはわかったが、それでも偽名を用いて、職業はデタラメなど全てが謎に包まれている人物であることは変わりない。
問い詰めると高円寺もついに観念し、本名は「猫又木田吾作(ねこまたぎたごさく)」であり、その恥ずかしさから偽名を用いていたことを白状する。
ようやく真相が明らかになり、少なくとも高円寺こと猫又木は、犯罪者ではないことが確定したが、くるみは「それでもすべてを隠してるなんて問題ありだ」と自分の見当違いをごまかすかのような難癖をつける。
しかし、当事者の一人であるちさとは、猫又木が誰であろうと構わないと落ち着いている。
彼女は既に妊娠しているとくるみに打ち明けた。また、猫又木もそれを知って結婚は本気だとくるみに訴え、結局くるみも振り上げた拳を収めざるを得なくなった。
数日後、音羽署でこの件を思い出していたくるみに、ちさとから手紙が届いた。
招待状かと思って開いてみると、思いも寄らぬことが書かれていた。
ちさとは実は妊娠などしておらず、猫又木と何が何でも結婚するために嘘をついたらしい。
内容に驚きながらも、あの三者の手が触れ合った時の胸キュンは、ちさとのこの嘘だったのかとくるみはようやく得心した。
「恋する女は犯罪者か…」
自分の胸キュンが役に立たなかったことを棚にあげ、もっともらしい言葉で締めるくるみであった。

【今回の犯人(?)】
高円寺正樹こと猫又木田吾作
【露見(?)前】

【露見(?)後】

【レビューという名のツッコミ】
胸キュン刑事って、数話にまたがる話より、こういった読み切りの方が面白いと思います。大仰なトリック解説や、犯人暴きがないからでしょうか。ページに制約がある分、凝縮されている気がします。
しかしながら、結局ニセ高円寺こと猫又木は、結婚詐欺師ではなかったものの、結婚詐欺師と言われてもおかしくない経歴の隠蔽をしてますし、何よりくるみに対しては暴行未遂を働いてますからお咎めなしってのも変な話です。
というか、婚約者に呼び出されたその待ち合わせ場所で、即別の女を口説いてますから、こいつ結構なロクデナシです。
まあ、そもそも、くるみが余計なことをしたからこんな展開になったわけで…
「いい?ちさと、見ててね…わたしが高円寺を誘惑してみせるから…そしたらアイツ結婚詐欺師よ」とでも言ったんでしょうか。ヤな女だな。
またここでもくるみの自意識過剰が見透かせました。
それにしても、結婚式を挙げるなら、招待状は普通1ヶ月前には発送しません。
つまりこの二人、再会する前からくるみを式に招待する気はなかったと思われます。
騒動後も絶対呼んでないと思う。