胸キュン刑事第12回(第18、19話)
貴公子アイス・ジョージ
死へのドライブ
四人組による金塊輸送車の強盗事件が発生した。
警備員を襲撃してあっという間に車ごと奪って逃走した犯行グループは、並々ならぬ運転技術、そして何より全員外国人であるという特徴があり、特定を急ぐ捜査一課。
結構ちゃんとした特徴なのに「そんなの大雑把過ぎる」と普段の捜査手法を棚に上げて不平を垂れるくるみ。
挙句の果てに雑誌に載っていた外国人F1ドライバーに目をつけ、意見を聞きに行くという輪をかけて大雑把な姿勢でそのF1ドライバーに面会に出向くくるみと大輔。
サーキットで待っていると、目当てのジョージ・トムキンズがやってきた。
端正な顔立ちの彼は、冷静沈着なドライビングテクニックとアイスクリームが好きなことから「アイス・ジョージ」と呼ばれている。
その彼に微笑まれ、思わず赤面してしまったくるみだが、そこに追い討ちをかけるようにジョージはくるみにいきなりキッスをかます。
パニックに陥るくるみとそれを見てたじろぐ大輔。
ようやく事情聴取を始めるも、ジョージは犯行時刻は移動中だったと申告した。
これ以上聞きだせることはなさそうだとくるみたちは引き揚げようとしたところへ、エンジニアのマイク、アーサー、デビッドが戻ってきた。
ジョージに「刑事」と紹介され、露骨に警戒を浮かべる。三人と握手を交わすと全員に胸キュン反応。
大輔の報告で課長もついに三人を容疑者として調査するよう指示。どうやら胸キュンはあまり課長には信用されていないらしい。もっともではあるが。
そして取り調べの結果、三人はついに容疑を認める。珍しく音羽署の面々が仕事をしているほうがびっくりである。
だが、実行犯は四人。最後の一人はジョージだと皆口を揃える。
奪った金塊はジョージが上手く国外に持ち出すという証言も一致。
ジョージに疑いが向くのは自然の成り行きであるが、ここで頑強に関与を否定したのがくるみだった。
状況証拠は真っ黒であるジョージを犯人と思わない理由は、胸キュンしなかったから。
すごい根拠である。そして珍しく音羽署の面々がまともに働くと、その分くるみにバカのしわ寄せがいくようである。世の中上手くできている。
結局捜査を命じられ、くるみと大輔は改めてジョージに事情を聞くため、彼が泊まるホテルへ向かう。
スタッフが逮捕されたことでレースができなくなったジョージは帰国の支度中だった。
事件への関与は否定するジョージ。荷物を調べるが、トランクひとつで大したものはない。
他にはないかと尋ねると、日本車を買ったという。
車も調べたいと大輔が申し入れるとジョージは「調べても良いが何も出てこなかったら、くるみと一日デートさせろ」と要求。
こうなると後には引けず、その条件で大輔は車を調べ始めた。
隅々まで調べるが、金塊は出てこない。
ここで大輔の独白からようやく盗まれた金塊の被害量が300キロと明らかになる。
だが結局トランクにも座席にもそのような痕跡は見当たらなかった。
こうしてジョージはその場でくるみをエスコート。くるみは大輔を先に署に戻らせ、デートが始まった。
件の日本車に乗った二人。世界的レーサーの運転する車に乗り緊張するくるみに、ジョージはレーサーになった理由を話し始めた。
「自分は英国王室の遠縁で、22歳までに結婚相手を探さなければならない。だから世界中の女性と知り合えるレーサーになった…そして今日その旅も終わる…」
ベタな結婚詐欺師みたいである。クヒオ大佐か。
だが、くるみはこの妄想のような話を真に受けてしまったらしい。
それを見透かしたのかジョージはいきなり車内でくるみを押し倒す。
服を脱がされかけ、くるみは慌ててそれを拒む。
なんとも下品な王族ではあるが、さすがに力尽くでこれ以上進めることは得策ではないと判断したのか、ジョージは冷たい物でも買ってくると車を後にした。
くるみもまた、ジョージの態度が急変したことにショックを受け、気を紛らわすためか車外に降りようとした。
その時、バッグの金具で車体を引っかけてしまい、車体に瑕を付けてしまった。
慌てて瑕の箇所を確認するくるみだったが、裂けた塗装の奥が妙に光っていることに気付く。
躊躇いながらも、今度は小石で塗装を削るとその下から金が姿を現した。
なんとボディ全体が金で出来ている車だった。盗まれた金塊をここに加工して隠したらしい。
事件発生は昨日の昼である。基本的に共犯者もいないだろうし、この細工はジョージ一人がやったことになる。
どうやってやった?一流のレーサーは板金技術も一流らしい。
一方くるみはこれだけ圧倒的な物証を見つけながら、まだ犯行はエンジニアの三人でジョージは利用されたなどと訳の分からない理屈をつけている。
くるみにとって犯罪の決定的根拠は、物証<胸キュンらしい。
そこへアイスとコーラを抱えたジョージが戻ってきた。口調こそ穏やかだが、目に凶悪な光が宿っている。そしてようやくくるみもここで胸キュンの反応を感じ、ジョージの犯行を確信する。
ここでまだ犯人グループの一人とやや低めの評価をしているのが物悲しい。主犯格だっつーに。
幸いにもジョージが自分が主犯であると自分から告白したため、くるみの言い訳がましい当て推量はこれで引っ込んだ。
ついでに、くるみに近づいたのは、警察の情報を掴むためらしい。
しなきゃよかったのに、そんなこと。(少なくとも作中の)警察はボンクラぞろいですよジョージさん。
ジョージはくるみに当て身を食らわせ、失神させる。
くるみが意識を取り戻すと、彼女は後ろ手に縛られ、後部座席に転がされていた。
気絶していた間にジョージは車をF1機材搬出用の港に移動させていた。
そしてこう切り出した。
「今から君を解き放って10秒後に車で追いかける…敷地外に出たらくるみの勝ち、だがひき殺されたらTHE ENDだ」
訳の分からないゲーム提案である。ジョージにとって有利な条件は全くない。いいのかそんなんでと思う間もなく、ゲーム開始。
いきなりスカートを車に引っ掛けられ下はパンティ一丁になるくるみ。
ジョージはネズミをいたぶるネコのごとく、執拗にワザと接触ギリギリを掠めるような運転でくるみを追い詰める。
くるみもまた極めて不利な状況ながら、壁の前に立ち車をぶつけさせようなどと目論むが、さすがにレーサーのジョージは見事なハンドル捌きでこれを回避する。
しかしこれはくるみの二重の罠だった。車中におかれていたアイスボックスから突如煙が充満。ジョージは一切の視覚を失い、ついに車は激突して大破した。
何とか車中から脱出したものの燃え盛る車を見て唖然とするジョージ。
実はくるみは、縛られながらも近くにあったアイスボックスに目をつけ、何とか手先を使ってボックスのドライアイスとコーラを混ぜ合わせてボックス内の気圧を上げることで、即席の煙幕爆弾を作ったのだった。
こうして主犯格のジョージも金塊強奪容疑なる謎の罪状で逮捕され、事件は解決。
後日、なぜ胸キュンしなかったのか、きっとキスでドキドキしたからだとと思い返すくるみ。
そこへ大輔がやって来てくるみに難癖をつけ始めた。
その態度に何かを察したくるみは「妬いてるんでしょ?」と大輔をイジり、逆にやり込めるのだった。

【今回の犯人】
アイス・ジョージことジョージ・トムキンズ
【露見前】

【露見後】

【罪状】
金塊強奪容疑
【レビューという名のツッコミ】
いや、だからさ、前々から指摘してきましたが、機能しない胸キュンなら、大して役に立たないって公言してるようなもんだと思うんですけど…
犯人を確信してから胸キュンしても意味ないっつーに。
以前いずみちゃんのレビューで「お話のスピード感は重要だが、本当にスピードのある場面はお色気まんがにはあまり似合わない」といった主旨を書きましたが、これもそうですね。
半裸で縛りって結構いいネタなのに、駆けずり回っててちょっと妙な印象をうけました。
しかし大輔は金塊を塗りこめた車を調べて何も気づきませんでした。
でもドアの開け閉め何度もやってるのに、重さで気づかなかったんでしょうか?
そんな芸当できるかどうかは別にして、作中のように車全体に300キロの金塊を満遍なく分散したら、ドアひとつに20から30キロ…つまり子どもひとりがぶら下がっているよーな手ごたえがあったと思うんですが。
あと、ジョージも運転大変だった思いますよ。めちゃくちゃ制御しにくいと思う。
金塊、車の炎上で溶けちゃったかな。強奪された300キロ分回収するのに、警察は警察で大変だったでしょう。
ところで300キロの金塊って、具体的にどんなものかと調べてみました。
当然相場などはその時々によって異なりますが、目安で1グラムあたり4,000円らしいです。
つまり 4,000円×300,000グラム(300キロ)= 1,200,000,000円
12億円…ふむ。しかしこの事件は四人の犯行ですから、仮に均等に分配したとして、ひとり3億。
う~ん…他の三人はともかく、プロレーサーのジョージなら、3億くらいすぐ稼げたでしょうから、ちょっとリスクが大きすぎたかな~
ちなみに容積は約15600平方㎝。つまり、約16リットル。
実はバケツ一杯分くらいなんですよね。意外にすくなっ。
金って重いなあ。それが一番びっくりでした。
死へのドライブ
四人組による金塊輸送車の強盗事件が発生した。
警備員を襲撃してあっという間に車ごと奪って逃走した犯行グループは、並々ならぬ運転技術、そして何より全員外国人であるという特徴があり、特定を急ぐ捜査一課。
結構ちゃんとした特徴なのに「そんなの大雑把過ぎる」と普段の捜査手法を棚に上げて不平を垂れるくるみ。
挙句の果てに雑誌に載っていた外国人F1ドライバーに目をつけ、意見を聞きに行くという輪をかけて大雑把な姿勢でそのF1ドライバーに面会に出向くくるみと大輔。
サーキットで待っていると、目当てのジョージ・トムキンズがやってきた。
端正な顔立ちの彼は、冷静沈着なドライビングテクニックとアイスクリームが好きなことから「アイス・ジョージ」と呼ばれている。
その彼に微笑まれ、思わず赤面してしまったくるみだが、そこに追い討ちをかけるようにジョージはくるみにいきなりキッスをかます。
パニックに陥るくるみとそれを見てたじろぐ大輔。
ようやく事情聴取を始めるも、ジョージは犯行時刻は移動中だったと申告した。
これ以上聞きだせることはなさそうだとくるみたちは引き揚げようとしたところへ、エンジニアのマイク、アーサー、デビッドが戻ってきた。
ジョージに「刑事」と紹介され、露骨に警戒を浮かべる。三人と握手を交わすと全員に胸キュン反応。
大輔の報告で課長もついに三人を容疑者として調査するよう指示。どうやら胸キュンはあまり課長には信用されていないらしい。もっともではあるが。
そして取り調べの結果、三人はついに容疑を認める。珍しく音羽署の面々が仕事をしているほうがびっくりである。
だが、実行犯は四人。最後の一人はジョージだと皆口を揃える。
奪った金塊はジョージが上手く国外に持ち出すという証言も一致。
ジョージに疑いが向くのは自然の成り行きであるが、ここで頑強に関与を否定したのがくるみだった。
状況証拠は真っ黒であるジョージを犯人と思わない理由は、胸キュンしなかったから。
すごい根拠である。そして珍しく音羽署の面々がまともに働くと、その分くるみにバカのしわ寄せがいくようである。世の中上手くできている。
結局捜査を命じられ、くるみと大輔は改めてジョージに事情を聞くため、彼が泊まるホテルへ向かう。
スタッフが逮捕されたことでレースができなくなったジョージは帰国の支度中だった。
事件への関与は否定するジョージ。荷物を調べるが、トランクひとつで大したものはない。
他にはないかと尋ねると、日本車を買ったという。
車も調べたいと大輔が申し入れるとジョージは「調べても良いが何も出てこなかったら、くるみと一日デートさせろ」と要求。
こうなると後には引けず、その条件で大輔は車を調べ始めた。
隅々まで調べるが、金塊は出てこない。
ここで大輔の独白からようやく盗まれた金塊の被害量が300キロと明らかになる。
だが結局トランクにも座席にもそのような痕跡は見当たらなかった。
こうしてジョージはその場でくるみをエスコート。くるみは大輔を先に署に戻らせ、デートが始まった。
件の日本車に乗った二人。世界的レーサーの運転する車に乗り緊張するくるみに、ジョージはレーサーになった理由を話し始めた。
「自分は英国王室の遠縁で、22歳までに結婚相手を探さなければならない。だから世界中の女性と知り合えるレーサーになった…そして今日その旅も終わる…」
ベタな結婚詐欺師みたいである。クヒオ大佐か。
だが、くるみはこの妄想のような話を真に受けてしまったらしい。
それを見透かしたのかジョージはいきなり車内でくるみを押し倒す。
服を脱がされかけ、くるみは慌ててそれを拒む。
なんとも下品な王族ではあるが、さすがに力尽くでこれ以上進めることは得策ではないと判断したのか、ジョージは冷たい物でも買ってくると車を後にした。
くるみもまた、ジョージの態度が急変したことにショックを受け、気を紛らわすためか車外に降りようとした。
その時、バッグの金具で車体を引っかけてしまい、車体に瑕を付けてしまった。
慌てて瑕の箇所を確認するくるみだったが、裂けた塗装の奥が妙に光っていることに気付く。
躊躇いながらも、今度は小石で塗装を削るとその下から金が姿を現した。
なんとボディ全体が金で出来ている車だった。盗まれた金塊をここに加工して隠したらしい。
事件発生は昨日の昼である。基本的に共犯者もいないだろうし、この細工はジョージ一人がやったことになる。
どうやってやった?一流のレーサーは板金技術も一流らしい。
一方くるみはこれだけ圧倒的な物証を見つけながら、まだ犯行はエンジニアの三人でジョージは利用されたなどと訳の分からない理屈をつけている。
くるみにとって犯罪の決定的根拠は、物証<胸キュンらしい。
そこへアイスとコーラを抱えたジョージが戻ってきた。口調こそ穏やかだが、目に凶悪な光が宿っている。そしてようやくくるみもここで胸キュンの反応を感じ、ジョージの犯行を確信する。
ここでまだ犯人グループの一人とやや低めの評価をしているのが物悲しい。主犯格だっつーに。
幸いにもジョージが自分が主犯であると自分から告白したため、くるみの言い訳がましい当て推量はこれで引っ込んだ。
ついでに、くるみに近づいたのは、警察の情報を掴むためらしい。
しなきゃよかったのに、そんなこと。(少なくとも作中の)警察はボンクラぞろいですよジョージさん。
ジョージはくるみに当て身を食らわせ、失神させる。
くるみが意識を取り戻すと、彼女は後ろ手に縛られ、後部座席に転がされていた。
気絶していた間にジョージは車をF1機材搬出用の港に移動させていた。
そしてこう切り出した。
「今から君を解き放って10秒後に車で追いかける…敷地外に出たらくるみの勝ち、だがひき殺されたらTHE ENDだ」
訳の分からないゲーム提案である。ジョージにとって有利な条件は全くない。いいのかそんなんでと思う間もなく、ゲーム開始。
いきなりスカートを車に引っ掛けられ下はパンティ一丁になるくるみ。
ジョージはネズミをいたぶるネコのごとく、執拗にワザと接触ギリギリを掠めるような運転でくるみを追い詰める。
くるみもまた極めて不利な状況ながら、壁の前に立ち車をぶつけさせようなどと目論むが、さすがにレーサーのジョージは見事なハンドル捌きでこれを回避する。
しかしこれはくるみの二重の罠だった。車中におかれていたアイスボックスから突如煙が充満。ジョージは一切の視覚を失い、ついに車は激突して大破した。
何とか車中から脱出したものの燃え盛る車を見て唖然とするジョージ。
実はくるみは、縛られながらも近くにあったアイスボックスに目をつけ、何とか手先を使ってボックスのドライアイスとコーラを混ぜ合わせてボックス内の気圧を上げることで、即席の煙幕爆弾を作ったのだった。
こうして主犯格のジョージも金塊強奪容疑なる謎の罪状で逮捕され、事件は解決。
後日、なぜ胸キュンしなかったのか、きっとキスでドキドキしたからだとと思い返すくるみ。
そこへ大輔がやって来てくるみに難癖をつけ始めた。
その態度に何かを察したくるみは「妬いてるんでしょ?」と大輔をイジり、逆にやり込めるのだった。

【今回の犯人】
アイス・ジョージことジョージ・トムキンズ
【露見前】

【露見後】

【罪状】
金塊強奪容疑
【レビューという名のツッコミ】
いや、だからさ、前々から指摘してきましたが、機能しない胸キュンなら、大して役に立たないって公言してるようなもんだと思うんですけど…
犯人を確信してから胸キュンしても意味ないっつーに。
以前いずみちゃんのレビューで「お話のスピード感は重要だが、本当にスピードのある場面はお色気まんがにはあまり似合わない」といった主旨を書きましたが、これもそうですね。
半裸で縛りって結構いいネタなのに、駆けずり回っててちょっと妙な印象をうけました。
しかし大輔は金塊を塗りこめた車を調べて何も気づきませんでした。
でもドアの開け閉め何度もやってるのに、重さで気づかなかったんでしょうか?
そんな芸当できるかどうかは別にして、作中のように車全体に300キロの金塊を満遍なく分散したら、ドアひとつに20から30キロ…つまり子どもひとりがぶら下がっているよーな手ごたえがあったと思うんですが。
あと、ジョージも運転大変だった思いますよ。めちゃくちゃ制御しにくいと思う。
金塊、車の炎上で溶けちゃったかな。強奪された300キロ分回収するのに、警察は警察で大変だったでしょう。
ところで300キロの金塊って、具体的にどんなものかと調べてみました。
当然相場などはその時々によって異なりますが、目安で1グラムあたり4,000円らしいです。
つまり 4,000円×300,000グラム(300キロ)= 1,200,000,000円
12億円…ふむ。しかしこの事件は四人の犯行ですから、仮に均等に分配したとして、ひとり3億。
う~ん…他の三人はともかく、プロレーサーのジョージなら、3億くらいすぐ稼げたでしょうから、ちょっとリスクが大きすぎたかな~
ちなみに容積は約15600平方㎝。つまり、約16リットル。
実はバケツ一杯分くらいなんですよね。意外にすくなっ。
金って重いなあ。それが一番びっくりでした。
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胸キュン刑事第11回(第16、17話)
無人島殺人事件
謎のうしろ姿
弟が勝手に化粧品のイメージ・ガールに応募し、当選してしまったくるみ。
南国の無人島を借り切って行われる撮影。そんな魅力的な話題を前にしたくるみには、公務員のアルバイトは禁止などという遵法意識など全く働かないらしい。
あっさり身分を隠して参加し、南の海を満喫している。
撮影は明日からということで、初日はバンガローで自己紹介となり、互いに挨拶を交わす面々。
参加メンバーは次のとおり
山本…CMディレクター
太田吾郎…カメラマン
古賀…カメラマン助手
赤沢…〃
北川…〃
三杉徹…クルーザー運転手
仁科真希子…モデル※本職
井上ユリ…モデル※女子高生
皇くるみ…モデル※女子大生(ウソ)
前述の公務員の身分のこともあって、こともあろうにくるみは女子大生を名乗る始末。
ウソも方便などと弁解しているが、方便どころかただの自己保身である。
翌日、三杉は一行を残して一旦島から離れた。
そこへ山本がくるみに「他のモデルより輝くものがあるから一人だけカメラテストをしたい」と岩場に来るよう指示してきた。
有頂天になったくるみは、水着姿で指定された岩場に現われる。
ところが、それは山本と太田の罠だった。
スターになりたければ我々を楽しませろと襲いかかる。
窮地に追い込まれたくるみは、身分を明かして身の程を思い知らせようとする。
都合のいいときだけ国家権力を振りかざす女である。結構タチが悪い。
だがその直前、バンガローから悲鳴と共にユリが逃げてきた。
驚いた一行が戻ってみると、室内は血の海と化し、古賀、赤沢、北川の三人が惨殺されていた。
恐らくこの犯人がやったのだろう。電話線も切断され、外部との連絡は不可能とされていた。
さらに、壁には切り抜きで
-お前たちから受けた屈辱は忘れない、皆殺しにしてやる 野木夕子-
とあった。
夕子という名に動揺する太田と山本。
それを見たくるみは、どこからともなく警察手帳を取り出し、遂に身分を明かす。
プライベートにまで警察手帳を携行するくるみ。あっぱれ刑事の鑑である。
その身分を隠しての撮影参加なのだが。
一度別室に集まり、その場を仕切りだすくるみ。
そもそもここは無人島なので、そうであるなら、殺したのは他のメンバーということになるので、互いに疑心暗鬼に陥りだす。
ユリと真希子、そしてくるみは夕子などという女性に心当たりはない。
現場には、夕子の死亡記事も落ちていた。その日付は昨年8月で、内容はタレントデビューを控えて謎の傷心自殺とされていた。
死人があんな凄惨な事件を引き起こしたのかとユリは激しく怯え、真希子を連れて自室に引き揚げてしまう。
残った太田と山本はついに自分たちが夕子を陵辱し、その様子を撮影して口外しないよう脅していたと告白。
それなら夕子の身内はいないのかとくるみが詰問すると、妹がいたと山本が口にした。
夕子の妹の犯行かと考えるくるみだったが、そこへ島を離れたはずの三杉が現われた。
三杉が言うにはクルーザーが故障し、やむなく戻って来たらしい。
脱出できるあてが外れ、次は自分が殺されるのかと(いつの間にか戻った)真希子は激しく動揺。
それをなだめるくるみだったが、その時真希子から胸キュンを感じてしまう。
まさか真希子が犯人かと驚くくるみだったが、その間に山本が三杉にクルーザーを一刻も早く修理するよう指示を出すと、真希子も我に返り、自分も手伝うと三杉と共にクルーザーに向かった。
すると今度は太田が自室から悲鳴をあげた。
くるみたちは、部屋に駆けつけるが、その際窓から走り去る女の姿を見たくるみは思わず立ち止まるが、同時に山本たちが撲殺された太田の死体を発見する。
窓の女がどことなく真希子に似ていると感じたくるみは、クルーザーに駆けつけ、真希子の所在を確認する。
だがそこには三杉が一人で修理に没頭していた。真希子は修理を手伝うどころかすぐにいなくなってしまったらしい。
真希子に感じた胸キュンとあわせ、真希子こそ夕子の妹と確信したくるみは、山本たちと真希子を探し始める。
だが真希子は見つからず、一旦ロッジに戻った一行。
そこで見たものは、バスルームで真希子が下着姿で絞殺されていた。真希子殺害し、真犯人が服を奪ってその後に太田を殺害したらしい。
最大の容疑者が殺されたことで事件は振り出しに戻ってしまう。
心理的に追い詰められた山本は、刑事であるくるみを除き、唯一の女性となったユリに「お前が夕子の妹だろう」と詰め寄る。
怯えたユリはくるみにしがみつくが、そこで胸キュンは反応しない。
だが、真希子に胸キュンを感じながら殺されてしまったこともあり、くるみはユリが犯人ではない自信をイマイチ持てないでいた。
すると三杉が「真希子と誰か女性が言い争っていた」と証言。
ユリは否定しながらもその場から逃げ、部屋に閉じこもる。
一応ながらもユリの動きを封じ込めたことで安堵した山本は、三杉にその部屋の見張りを言いつけその場をくるみとともに立ち去る。
しばらくして三杉が悲鳴をあげた。二人が駆けつけると、美杉が小さな石像で殴られ、部屋の前に倒れている。
うたた寝をしていたら、何者かに殴られたらしい。
部屋を覗くとユリは不在。いよいよユリへの疑いを濃くした山本は、先ほどまでのユリへの警戒感はどこへやら、言うなら「ユリ狩り」に行ってしまった。ユリに返り討ちにされるかもしれないのにいい根性である。
そしてあっさりユリを確保。本人は気分転換に窓から抜け出して浜を歩いていたというが誰も信用しない。
自信が持てないながらもなんとなくユリは真犯人でないと思うくるみは、ユリに付き添うからと山本と三杉をなだめ、不満げながらも、二人はその場を立ち去った。
ユリにあらためて石像で三杉を殴ったりしてないか確認すると、そんなものは知らないと言う。
石像を見ていたくるみは、石像を落としてしまったが、そこで何かぬめりが付着していると気付く。
ユリと同室で横になったくるみは、彼女の証言と状況を整理し始めた。
ユリは無実だが、彼女に注目が集まるよう誰かが仕向けている。
そう思案していると山本が助けを求める叫びが聞こえた。
彼の部屋の窓を夕子の妹がこじ開けようとしていたらしい。その窓は割られていたので、こじ開けたとは言わないと思うが。
だが、ユリはくるみと一緒にいたので、こんどこそユリは関係していないので、夕子の妹ではないとくるみは確信した。
窓を調べると、石像に付着していたものと同じぬめりを感じるくるみ。
その時三杉が山本を案じて駆け寄ってきた。
だが山本は油まみれの汚い手で触るなと三杉の手を払う。
クルーザーの修理後、手を洗ってなかったらしい。口ぶりからかなり前に修理は一旦中断したようだが…どんだけ洗ってないんだ、三杉。山本がご立腹なのももっともである。
だがそのやりとりでくるみは何か閃いた。
翌朝、生き残った一同を集めたくるみは、一連の事件の真犯人が分かったと宣言し、三杉を指差した。
三杉は当然否定する。そもそも自分は被害者であると主張するが、くるみはそれは自分でやったものだと指摘。
石像と山本の部屋の窓枠にあったぬめりは、クルーザー修理の時に使ったオイルだと主張した。
だが、三杉もただでは引かない。犯人は夕子の妹…つまり女性だと逆に指摘する。
別に夕子の妹というのは、くるみ以下撮影班が手紙の内容から勝手にそう決め込んでいるだけなので、犯人が男であってもべつに構わないのだが。
だが、それを指摘されたくるみは動じることなく、三杉の胸倉を掴み、凄まじい力で服を引き裂く。
そこにはさらしに巻かれた胸が現われ、三杉が女性であることを如実に物語っていた。
いや、だから、確かに性別を隠していた点では充分怪しいが、別に女性であるのが犯人って決め方もどうかと思うが。
姉の仇討ちのために山本たちに接近したという三杉こと夕子の妹、野木明美。
よくよく考えれば、凄まじい執念である。
男に成りすますのは当然として、クルーザーを操船するために、船舶免許も取得したのだろう。
最初の三人は一度に瞬殺している。きっと格闘か殺人術も学んだに違いない。
加えて仇とは無関係の真希子まで正体を勘付かれたからと殺している。姉の仇討ちのためなら犠牲などお構いなしだ。
ようやく島を脱したくるみたちを大輔が迎えに来てくれた。
そこで仁科真希子が、前科三犯の詐欺師だったことが判明。別にくるみの胸キュンが誤作動したわけではないと大輔が付け加えてくれた。
どうやら前科者は、くるみの前ではいつまでも過去の清算はできない定めのようだ。
そもそも刑事がアルバイトするのが間違いの元だと大輔が一喝。
署で課長の説教が待ってると告げられ、事件解決はしたものの、落ち込むくるみだった。

【今回の犯人】
三杉徹こと野木明美
【露見前】

【露見後】

悪い顔というよりは男から女に戻った感じ
【罪状】
殺人(作中屈指の大量殺人犯)
【レビューという名のツッコミ】
ストーリーから急にお色気が目減りしました。
そこを切り捨ててどーすると思いきや、これは想像ですが、有害コミック騒動の時期と重なるのかなと邪推してしまいました。時期的にはちょうど一致します。
それならそれで推理、論理あるいは警察組織における人間模様、いっそ開き直ってコント化…なんでもいいから、一定の方向に深化してくれりゃ、それならそれで良かったんですが、そうはならず、しばらくの間、本作は唯一無二といっていいお色気の柱を失い、ぐらんぐらんに迷走することになります。
で、その結果がこれ。う~ん…
元々本格的に推理展開を取り入れるなら胸キュンなんて邪魔なだけですから、今回は本格的にその能力が足を引っ張っています。
いつものように相手に触りまくればいいだけなんですけどね。もっともおそらく今回のメンバーで犯罪に全く関係ないのは井上ユリくらいでしょうから、あまり意味はなかったかもしれませんが…少なくともユリに不名誉な疑いがかかりっ放しになることはなかったでしょう。
色気がないと書きましたが、ゼロではありません。
しかし、ハートキャッチいずみちゃんでは擬似●●なんてプレイ要素がありましたが、真希子の遺体発見は擬似屍姦になるのか?大ゴマであんなん見せられても…
当時見た思春期の若人たちに変な影響なかったか心配です。
真希子といえば、あらすじ本編ではツッコミませんでしたが、彼女の経歴も夕子の妹明美に負けず劣らず変です。
年齢(というか享年)は不明ですが、どう見ても20代前半。
それで前科三犯ということは、三度逮捕、起訴された身分ということです。
詐欺内容がどの程度のものかは分かりませんが、三度もその若さで露見するということはよほど低いレベルの詐欺師ということになります。
詐欺師の道をあきらめて、本当にモデルとして立ち直ろうとしていたのかもしれないのになぁ…それでも反応するなら胸キュンの犯罪認識レベルって厳しいな~
謎のうしろ姿
弟が勝手に化粧品のイメージ・ガールに応募し、当選してしまったくるみ。
南国の無人島を借り切って行われる撮影。そんな魅力的な話題を前にしたくるみには、公務員のアルバイトは禁止などという遵法意識など全く働かないらしい。
あっさり身分を隠して参加し、南の海を満喫している。
撮影は明日からということで、初日はバンガローで自己紹介となり、互いに挨拶を交わす面々。
参加メンバーは次のとおり
山本…CMディレクター
太田吾郎…カメラマン
古賀…カメラマン助手
赤沢…〃
北川…〃
三杉徹…クルーザー運転手
仁科真希子…モデル※本職
井上ユリ…モデル※女子高生
皇くるみ…モデル※女子大生(ウソ)
前述の公務員の身分のこともあって、こともあろうにくるみは女子大生を名乗る始末。
ウソも方便などと弁解しているが、方便どころかただの自己保身である。
翌日、三杉は一行を残して一旦島から離れた。
そこへ山本がくるみに「他のモデルより輝くものがあるから一人だけカメラテストをしたい」と岩場に来るよう指示してきた。
有頂天になったくるみは、水着姿で指定された岩場に現われる。
ところが、それは山本と太田の罠だった。
スターになりたければ我々を楽しませろと襲いかかる。
窮地に追い込まれたくるみは、身分を明かして身の程を思い知らせようとする。
都合のいいときだけ国家権力を振りかざす女である。結構タチが悪い。
だがその直前、バンガローから悲鳴と共にユリが逃げてきた。
驚いた一行が戻ってみると、室内は血の海と化し、古賀、赤沢、北川の三人が惨殺されていた。
恐らくこの犯人がやったのだろう。電話線も切断され、外部との連絡は不可能とされていた。
さらに、壁には切り抜きで
-お前たちから受けた屈辱は忘れない、皆殺しにしてやる 野木夕子-
とあった。
夕子という名に動揺する太田と山本。
それを見たくるみは、どこからともなく警察手帳を取り出し、遂に身分を明かす。
プライベートにまで警察手帳を携行するくるみ。あっぱれ刑事の鑑である。
その身分を隠しての撮影参加なのだが。
一度別室に集まり、その場を仕切りだすくるみ。
そもそもここは無人島なので、そうであるなら、殺したのは他のメンバーということになるので、互いに疑心暗鬼に陥りだす。
ユリと真希子、そしてくるみは夕子などという女性に心当たりはない。
現場には、夕子の死亡記事も落ちていた。その日付は昨年8月で、内容はタレントデビューを控えて謎の傷心自殺とされていた。
死人があんな凄惨な事件を引き起こしたのかとユリは激しく怯え、真希子を連れて自室に引き揚げてしまう。
残った太田と山本はついに自分たちが夕子を陵辱し、その様子を撮影して口外しないよう脅していたと告白。
それなら夕子の身内はいないのかとくるみが詰問すると、妹がいたと山本が口にした。
夕子の妹の犯行かと考えるくるみだったが、そこへ島を離れたはずの三杉が現われた。
三杉が言うにはクルーザーが故障し、やむなく戻って来たらしい。
脱出できるあてが外れ、次は自分が殺されるのかと(いつの間にか戻った)真希子は激しく動揺。
それをなだめるくるみだったが、その時真希子から胸キュンを感じてしまう。
まさか真希子が犯人かと驚くくるみだったが、その間に山本が三杉にクルーザーを一刻も早く修理するよう指示を出すと、真希子も我に返り、自分も手伝うと三杉と共にクルーザーに向かった。
すると今度は太田が自室から悲鳴をあげた。
くるみたちは、部屋に駆けつけるが、その際窓から走り去る女の姿を見たくるみは思わず立ち止まるが、同時に山本たちが撲殺された太田の死体を発見する。
窓の女がどことなく真希子に似ていると感じたくるみは、クルーザーに駆けつけ、真希子の所在を確認する。
だがそこには三杉が一人で修理に没頭していた。真希子は修理を手伝うどころかすぐにいなくなってしまったらしい。
真希子に感じた胸キュンとあわせ、真希子こそ夕子の妹と確信したくるみは、山本たちと真希子を探し始める。
だが真希子は見つからず、一旦ロッジに戻った一行。
そこで見たものは、バスルームで真希子が下着姿で絞殺されていた。真希子殺害し、真犯人が服を奪ってその後に太田を殺害したらしい。
最大の容疑者が殺されたことで事件は振り出しに戻ってしまう。
心理的に追い詰められた山本は、刑事であるくるみを除き、唯一の女性となったユリに「お前が夕子の妹だろう」と詰め寄る。
怯えたユリはくるみにしがみつくが、そこで胸キュンは反応しない。
だが、真希子に胸キュンを感じながら殺されてしまったこともあり、くるみはユリが犯人ではない自信をイマイチ持てないでいた。
すると三杉が「真希子と誰か女性が言い争っていた」と証言。
ユリは否定しながらもその場から逃げ、部屋に閉じこもる。
一応ながらもユリの動きを封じ込めたことで安堵した山本は、三杉にその部屋の見張りを言いつけその場をくるみとともに立ち去る。
しばらくして三杉が悲鳴をあげた。二人が駆けつけると、美杉が小さな石像で殴られ、部屋の前に倒れている。
うたた寝をしていたら、何者かに殴られたらしい。
部屋を覗くとユリは不在。いよいよユリへの疑いを濃くした山本は、先ほどまでのユリへの警戒感はどこへやら、言うなら「ユリ狩り」に行ってしまった。ユリに返り討ちにされるかもしれないのにいい根性である。
そしてあっさりユリを確保。本人は気分転換に窓から抜け出して浜を歩いていたというが誰も信用しない。
自信が持てないながらもなんとなくユリは真犯人でないと思うくるみは、ユリに付き添うからと山本と三杉をなだめ、不満げながらも、二人はその場を立ち去った。
ユリにあらためて石像で三杉を殴ったりしてないか確認すると、そんなものは知らないと言う。
石像を見ていたくるみは、石像を落としてしまったが、そこで何かぬめりが付着していると気付く。
ユリと同室で横になったくるみは、彼女の証言と状況を整理し始めた。
ユリは無実だが、彼女に注目が集まるよう誰かが仕向けている。
そう思案していると山本が助けを求める叫びが聞こえた。
彼の部屋の窓を夕子の妹がこじ開けようとしていたらしい。その窓は割られていたので、こじ開けたとは言わないと思うが。
だが、ユリはくるみと一緒にいたので、こんどこそユリは関係していないので、夕子の妹ではないとくるみは確信した。
窓を調べると、石像に付着していたものと同じぬめりを感じるくるみ。
その時三杉が山本を案じて駆け寄ってきた。
だが山本は油まみれの汚い手で触るなと三杉の手を払う。
クルーザーの修理後、手を洗ってなかったらしい。口ぶりからかなり前に修理は一旦中断したようだが…どんだけ洗ってないんだ、三杉。山本がご立腹なのももっともである。
だがそのやりとりでくるみは何か閃いた。
翌朝、生き残った一同を集めたくるみは、一連の事件の真犯人が分かったと宣言し、三杉を指差した。
三杉は当然否定する。そもそも自分は被害者であると主張するが、くるみはそれは自分でやったものだと指摘。
石像と山本の部屋の窓枠にあったぬめりは、クルーザー修理の時に使ったオイルだと主張した。
だが、三杉もただでは引かない。犯人は夕子の妹…つまり女性だと逆に指摘する。
別に夕子の妹というのは、くるみ以下撮影班が手紙の内容から勝手にそう決め込んでいるだけなので、犯人が男であってもべつに構わないのだが。
だが、それを指摘されたくるみは動じることなく、三杉の胸倉を掴み、凄まじい力で服を引き裂く。
そこにはさらしに巻かれた胸が現われ、三杉が女性であることを如実に物語っていた。
いや、だから、確かに性別を隠していた点では充分怪しいが、別に女性であるのが犯人って決め方もどうかと思うが。
姉の仇討ちのために山本たちに接近したという三杉こと夕子の妹、野木明美。
よくよく考えれば、凄まじい執念である。
男に成りすますのは当然として、クルーザーを操船するために、船舶免許も取得したのだろう。
最初の三人は一度に瞬殺している。きっと格闘か殺人術も学んだに違いない。
加えて仇とは無関係の真希子まで正体を勘付かれたからと殺している。姉の仇討ちのためなら犠牲などお構いなしだ。
ようやく島を脱したくるみたちを大輔が迎えに来てくれた。
そこで仁科真希子が、前科三犯の詐欺師だったことが判明。別にくるみの胸キュンが誤作動したわけではないと大輔が付け加えてくれた。
どうやら前科者は、くるみの前ではいつまでも過去の清算はできない定めのようだ。
そもそも刑事がアルバイトするのが間違いの元だと大輔が一喝。
署で課長の説教が待ってると告げられ、事件解決はしたものの、落ち込むくるみだった。

【今回の犯人】
三杉徹こと野木明美
【露見前】

【露見後】

悪い顔というよりは男から女に戻った感じ
【罪状】
殺人(作中屈指の大量殺人犯)
【レビューという名のツッコミ】
ストーリーから急にお色気が目減りしました。
そこを切り捨ててどーすると思いきや、これは想像ですが、有害コミック騒動の時期と重なるのかなと邪推してしまいました。時期的にはちょうど一致します。
それならそれで推理、論理あるいは警察組織における人間模様、いっそ開き直ってコント化…なんでもいいから、一定の方向に深化してくれりゃ、それならそれで良かったんですが、そうはならず、しばらくの間、本作は唯一無二といっていいお色気の柱を失い、ぐらんぐらんに迷走することになります。
で、その結果がこれ。う~ん…
元々本格的に推理展開を取り入れるなら胸キュンなんて邪魔なだけですから、今回は本格的にその能力が足を引っ張っています。
いつものように相手に触りまくればいいだけなんですけどね。もっともおそらく今回のメンバーで犯罪に全く関係ないのは井上ユリくらいでしょうから、あまり意味はなかったかもしれませんが…少なくともユリに不名誉な疑いがかかりっ放しになることはなかったでしょう。
色気がないと書きましたが、ゼロではありません。
しかし、ハートキャッチいずみちゃんでは擬似●●なんてプレイ要素がありましたが、真希子の遺体発見は擬似屍姦になるのか?大ゴマであんなん見せられても…
当時見た思春期の若人たちに変な影響なかったか心配です。
真希子といえば、あらすじ本編ではツッコミませんでしたが、彼女の経歴も夕子の妹明美に負けず劣らず変です。
年齢(というか享年)は不明ですが、どう見ても20代前半。
それで前科三犯ということは、三度逮捕、起訴された身分ということです。
詐欺内容がどの程度のものかは分かりませんが、三度もその若さで露見するということはよほど低いレベルの詐欺師ということになります。
詐欺師の道をあきらめて、本当にモデルとして立ち直ろうとしていたのかもしれないのになぁ…それでも反応するなら胸キュンの犯罪認識レベルって厳しいな~
胸キュン刑事第10回(第14、15話)
時の中に眠る少女
月光は死のテーマ
【あらすじ】
音大生、藤崎明子が自宅マンションで何者かに殺害された。
部屋は目茶苦茶に荒らされているが、持ち去られたのはガラスケースに入った何かだけらしい。このケース、ものすごく目立つところにあるのだが、これが目的ならなんで部屋を荒らしたのか?わざと部屋を荒らして混乱を図ったとも考えられるかもしれないが、無能な音羽署の面々ですら即座に目的がこの中の品だったことに気付いており、全然擬装の呈をなしていない。よくわからない犯人ではある。
両親を3年前に亡くし、多額の資産を受け継いでいた被害者は、骨董品も所持しており、その中でも時価3,000万円は下らないと言われた伝説のオルゴール、「時の中に眠る少女」が、殺人犯に盗まれていた。
伝説のオルゴールと言われるだけあって、誰もその姿形を知る者はいないらしい。
だったら何で3,000万円などという価値がつけられるのだろう…姿形が分からないのに。
だったら何で鑑定書があるんだろう…誰も見たことないのに。
ともかく件のオルゴール探しを中心に捜査するくるみをはじめとする音羽署の面々。
聞き込みをするも大した情報は得られない。そんなあやふやなことを聞いて回っても、当たり前の反応ともいえるが。
それでもどうにか流れる楽曲がベートーベンの月光だということだけは把握したくるみたち。
捜査本部に戻ったくるみは、不用意にドアを開けた丸山課長に突き飛ばされ、転倒。
丸山課長といっしょにいた中年男性が目のやり場に困ることを告げるので、くるみがその視線を追うと一同の前でパンティを晒すという醜態をおかしていたことが発覚。
くるみは慌てて取り繕いながらも、彼が被害者が通う音大の教授、柳沢牧彦教授と知る。
丸山課長と見比べ、柳沢の紳士然とした振る舞いに少し感心し、握手を交わすくるみ。その時胸キュンが反応したので、柳沢が立ち去った後、課長に怪しい点があったのかと問いただすが、課長の調べではオルゴールのことなど知らないと供述したため、早々に捜査対象から外したらしい。
そんな適当捜査に納得しないくるみは、教授の演奏会のファンだと珍しく堂々と素顔で柳沢の自宅に乗り込む。
驚くほど広大な屋敷に案内され、また客間に陳列された数々の骨董品コレクションに圧倒されるくるみ。
このコレクションの中に目当ての「時の中に眠る少女が」あるかもしれないと考えたくるみ。少々思考が短絡的な気もするが、まずは客間から柳沢を追い出そうと一計を案じ、わざと出された紅茶の入ったカップを落とす。
このカップもアンティークのひとつだったため、狼狽する柳沢。そんな彼を尻目にくるみはその場で濡れたままは気持ち悪いからと服を脱ぎ始め、それを見せられた柳沢は紳士としての態度を崩せず、着替えを取ってくると客間を立ち去る。
痴女のような振る舞いで強引に柳沢を追い払ったくるみは、さっそく物色捜索を開始。オルゴールはいくつもあったが、流れる曲はどれも月光ではない。
もはや「月光の流れるオルゴール=時の中に眠る少女」と論点がずれ始める中、文字盤の蓋がある妙な箱をみつけたくるみ。だが曲が流れないので判断を保留し、続いて眠った少女の小さな人形を見つける。よく調べると人形は機械仕掛けで、ゼンマイを巻いてみると機械は正常に稼動しているが、何も変化は起こらない。
そこで
時の中に眠る少女
↓
文字盤≒時計っぽい≒時
↓
さっきの文字盤≒時計の文字盤
↓
ハッピィ
と、とっても見事な推理を展開し、文字盤に中央に人形をセットすると、人形の目が開眼し(けっこう怖い)、回転しながら月光を奏でだした。
なんか…大したカラクリにも見えないのだが…3,000万円もするからには、きっと計り知れない価値があるんだろう、多分。
というか、このオルゴールは月光を奏でるオルゴールではあるが、「時の中で眠る少女」という確証は実はない。
だって、時(文字盤)の中(中心)で少女が起きてんだもん、これ。
そもそも誰もその姿形を知らないんだから、立証のしようがない。
それでも、やっと月光を見つけたと喜ぶくるみ。だが、それもつかの間。背後には柳沢がいつの間にか戻ってきていた。手には骨董品であるが真剣を持っている。結果オーライだが、一応「時の中で眠る少女」だったようだ。
藤崎明子のように死にたいかと案に殺害を仄めかす柳沢に、くるみがまるであらすじのような説明口調の啖呵を切る。
柳沢は「時の中に眠る少女」は自分が所有するのがふさわしく、その貴重なオルゴールを譲らないことが許せなかったと殺害の動機を語る。
くるみは異常だと柳沢を断罪し、音羽署に連絡しようとするが、結局剣の脅しに怯み、身動きが取れなくなる。相変わらず弱い。合気道三段のくせに。
だが、隙を突いて水差しで柳沢を殴打。逃げ出そうとしたが、あっさり捕らえられ「命だけは助けようと思ったが…」とくるみを壁に叩きつけ、失神させる。
くるみが目覚めると、椅子に縛り付けられていた。そして、目線の先では柳沢が冷蔵庫ほどもある大きな金庫を開けて、中から拳銃を取り出している。
柳沢はにこやかに拳銃を突きつける。身動きが取れないくるみは流石に観念したが、実は拳銃型のライターに過ぎず、柳沢がくるみの反応を見るためにからかっただけだった。
安堵したのもつかの間、今度は部屋に漂う異臭に気付き、それがガスだと察する。
拳銃型ライターを固定し、そのトリガーは紐で結う。反対には「時の中に眠る少女」に巻きつけられていた。
オルゴールが動くと徐々に紐が巻き取られ、トリガーが引かれて充満したガスに引火させるカラクリになっている。
くるみを事故死に見せかけるため、また柳沢が逃亡する時間稼ぎのためにこのような手段にしたらしい。
他人の家で椅子に括りつけて爆死した女性死体(しかも同僚)を事故とは、いくら無能な音羽署の連中も判断しないとは思うが。
殺人まで犯して手に入れた「時の中に眠る少女」、果ては屋敷を易々と手放すあたり、柳沢の覚悟の程が伺える。
高笑いと共に柳沢が去り、くるみはガスが満ちた部屋に取り残された。
まずは括られたロープをなんとかしなければとくるみは考え、柳沢を殴った時に割れた水差しの破片で切断を試みる。
椅子ごとむりやり移動し、何とかロープを切り離したくるみだったが、予想外に時間がかかり、屋敷から逃げ出す余裕などない。
ガスで朦朧とする意識の中、くるみは最後の力を振り絞る。
直後にガスが引火し、屋敷は大爆発。
予想した時間どおりに爆発し、周囲が大騒ぎになったのを見届け、柳沢は悠々と現場を立ち去る。
全っ然逃走時間稼いでないが、事故死を狙ったものなので、彼には些細なことなのだろう。
出国のため、空港に現われた柳沢。
航空券を手に1年程海外で暮らし、帰国したらコンサートでも開こうと余裕綽々だったが、背後からくるみに取り押さえられる。
軽傷を負ってはいるものの、くるみの無事な姿に驚愕する柳沢。
藤沢明子殺害容疑による逮捕を告げられると、往生際の悪い柳沢はとぼけるが「時の中に眠る少女」を突きつけられ、遂に観念する。
なぜ、柳沢の思惑どおりにならなかったのか?
それは、ガス爆発直前に柳沢が開きっぱなしにしていた金庫にくるみが「時の中に眠る少女」と一緒に飛び込み、自身と証拠を守ったからだった。
だが「時の中に眠る少女」は、柳沢が仕掛けた爆発装置の一部に使われていた。
「時の中に眠る少女」が無事なら、爆発はなかったはずである。
屋敷の爆発した状況から、柳沢がセットした状態のままでは、「時の中に眠る少女」もこっぱみじんになっていると考えるのが自然である。
つまり、現状は
くるみ=無事、「少女」=確保、屋敷=爆発である。
一方可能性としては次の可能性が挙げられる。
1.「時の中に眠る少女」のカラクリを無事に解除
くるみ=無事、「少女」=確保、屋敷=無傷
2.くるみの生命確保が第一「時の中に眠る少女」が消失
くるみ=無事、「少女」=消失、屋敷=爆発
3.なんとかカラクリを解除しようと試みるも失敗
くるみ=死亡、「少女」=消失、屋敷=爆発
どれを選んでもかつてないほど話が破綻している。
しかし、読者の想像力パワーでカバーできる余地はある。
きっと
4.「時の中に眠る少女」を確保した後、何かのきっかけで引火すると懸念し、金庫に逃げ込んだ
5.まずはくるみのみで金庫に逃げ込み、消失した「時の中に眠る少女」のレプリカを急ぎ作成し、柳沢にハッタリをかました
のどちらかであろう。
ただ、いずれにしても誰も知らない「時の中に眠る少女」を突きつけられても、柳沢はとぼければよかったはず。
よほどくるみの生還に動揺したのだろう。
落胆する柳沢を引き立てる場面で事件は終幕したのだった。

【今回の犯人】
柳沢牧彦
露見前

露見後

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミ】
「時の中に眠る少女」。矛盾要素を大量に設定されたこのアイテムが事件的にも、構成的にもこれが全ての元凶です。
実際レビュー記事を書いている途中で、数多くの矛盾に気付いてしまい、どうすればいいんでしょうということで、無理やり仮設を並べ立てました。
まあそれはそれで面白かったんですが。
柳沢の顔芸は作中随一の変形率です。
それにしても彼はくるみの命だけは助けようと考えていたようですが、どんな手段を講じようとしていたんでしょうか。そっちの方が気になるお話でした。
ちなみに、ちょっと調べてみましたが、月光は世に出たのは1800年ごろ。当たり前ですが、オルゴールのために月光をベートーベンが作ったわけではないし、作中のオルゴール(技術的に作れるかどうかは別問題として)が、1900年ごろに登場したディスクタイプとすると、せいぜい100年程度の代物です。それなりに価値はあるでしょうが、どう考えても伝説、幻などと呼ばれるほどの歴史的価値はなさそうです。
月光は死のテーマ
【あらすじ】
音大生、藤崎明子が自宅マンションで何者かに殺害された。
部屋は目茶苦茶に荒らされているが、持ち去られたのはガラスケースに入った何かだけらしい。このケース、ものすごく目立つところにあるのだが、これが目的ならなんで部屋を荒らしたのか?わざと部屋を荒らして混乱を図ったとも考えられるかもしれないが、
両親を3年前に亡くし、多額の資産を受け継いでいた被害者は、骨董品も所持しており、その中でも時価3,000万円は下らないと言われた伝説のオルゴール、「時の中に眠る少女」が、殺人犯に盗まれていた。
伝説のオルゴールと言われるだけあって、誰もその姿形を知る者はいないらしい。
だったら何で3,000万円などという価値がつけられるのだろう…姿形が分からないのに。
だったら何で鑑定書があるんだろう…誰も見たことないのに。
ともかく件のオルゴール探しを中心に捜査するくるみをはじめとする音羽署の面々。
聞き込みをするも大した情報は得られない。そんなあやふやなことを聞いて回っても、当たり前の反応ともいえるが。
それでもどうにか流れる楽曲がベートーベンの月光だということだけは把握したくるみたち。
捜査本部に戻ったくるみは、不用意にドアを開けた丸山課長に突き飛ばされ、転倒。
丸山課長といっしょにいた中年男性が目のやり場に困ることを告げるので、くるみがその視線を追うと一同の前でパンティを晒すという醜態をおかしていたことが発覚。
くるみは慌てて取り繕いながらも、彼が被害者が通う音大の教授、柳沢牧彦教授と知る。
丸山課長と見比べ、柳沢の紳士然とした振る舞いに少し感心し、握手を交わすくるみ。その時胸キュンが反応したので、柳沢が立ち去った後、課長に怪しい点があったのかと問いただすが、課長の調べではオルゴールのことなど知らないと供述したため、早々に捜査対象から外したらしい。
そんな適当捜査に納得しないくるみは、教授の演奏会のファンだと珍しく堂々と素顔で柳沢の自宅に乗り込む。
驚くほど広大な屋敷に案内され、また客間に陳列された数々の骨董品コレクションに圧倒されるくるみ。
このコレクションの中に目当ての「時の中に眠る少女が」あるかもしれないと考えたくるみ。少々思考が短絡的な気もするが、まずは客間から柳沢を追い出そうと一計を案じ、わざと出された紅茶の入ったカップを落とす。
このカップもアンティークのひとつだったため、狼狽する柳沢。そんな彼を尻目にくるみはその場で濡れたままは気持ち悪いからと服を脱ぎ始め、それを見せられた柳沢は紳士としての態度を崩せず、着替えを取ってくると客間を立ち去る。
痴女のような振る舞いで強引に柳沢を追い払ったくるみは、さっそく
もはや「月光の流れるオルゴール=時の中に眠る少女」と論点がずれ始める中、文字盤の蓋がある妙な箱をみつけたくるみ。だが曲が流れないので判断を保留し、続いて眠った少女の小さな人形を見つける。よく調べると人形は機械仕掛けで、ゼンマイを巻いてみると機械は正常に稼動しているが、何も変化は起こらない。
そこで
時の中に眠る少女
↓
文字盤≒時計っぽい≒時
↓
さっきの文字盤≒時計の文字盤
↓
ハッピィ
と、とっても見事な推理を展開し、文字盤に中央に人形をセットすると、人形の目が開眼し(けっこう怖い)、回転しながら月光を奏でだした。
なんか…大したカラクリにも見えないのだが…3,000万円もするからには、きっと計り知れない価値があるんだろう、多分。
というか、このオルゴールは月光を奏でるオルゴールではあるが、「時の中で眠る少女」という確証は実はない。
だって、時(文字盤)の中(中心)で少女が起きてんだもん、これ。
そもそも誰もその姿形を知らないんだから、立証のしようがない。
それでも、やっと月光を見つけたと喜ぶくるみ。だが、それもつかの間。背後には柳沢がいつの間にか戻ってきていた。手には骨董品であるが真剣を持っている。結果オーライだが、一応「時の中で眠る少女」だったようだ。
藤崎明子のように死にたいかと案に殺害を仄めかす柳沢に、くるみがまるであらすじのような説明口調の啖呵を切る。
柳沢は「時の中に眠る少女」は自分が所有するのがふさわしく、その貴重なオルゴールを譲らないことが許せなかったと殺害の動機を語る。
くるみは異常だと柳沢を断罪し、音羽署に連絡しようとするが、結局剣の脅しに怯み、身動きが取れなくなる。相変わらず弱い。合気道三段のくせに。
だが、隙を突いて水差しで柳沢を殴打。逃げ出そうとしたが、あっさり捕らえられ「命だけは助けようと思ったが…」とくるみを壁に叩きつけ、失神させる。
くるみが目覚めると、椅子に縛り付けられていた。そして、目線の先では柳沢が冷蔵庫ほどもある大きな金庫を開けて、中から拳銃を取り出している。
柳沢はにこやかに拳銃を突きつける。身動きが取れないくるみは流石に観念したが、実は拳銃型のライターに過ぎず、柳沢がくるみの反応を見るためにからかっただけだった。
安堵したのもつかの間、今度は部屋に漂う異臭に気付き、それがガスだと察する。
拳銃型ライターを固定し、そのトリガーは紐で結う。反対には「時の中に眠る少女」に巻きつけられていた。
オルゴールが動くと徐々に紐が巻き取られ、トリガーが引かれて充満したガスに引火させるカラクリになっている。
くるみを事故死に見せかけるため、また柳沢が逃亡する時間稼ぎのためにこのような手段にしたらしい。
他人の家で椅子に括りつけて爆死した女性死体(しかも同僚)を事故とは、いくら無能な音羽署の連中も判断しないとは思うが。
殺人まで犯して手に入れた「時の中に眠る少女」、果ては屋敷を易々と手放すあたり、柳沢の覚悟の程が伺える。
高笑いと共に柳沢が去り、くるみはガスが満ちた部屋に取り残された。
まずは括られたロープをなんとかしなければとくるみは考え、柳沢を殴った時に割れた水差しの破片で切断を試みる。
椅子ごとむりやり移動し、何とかロープを切り離したくるみだったが、予想外に時間がかかり、屋敷から逃げ出す余裕などない。
ガスで朦朧とする意識の中、くるみは最後の力を振り絞る。
直後にガスが引火し、屋敷は大爆発。
予想した時間どおりに爆発し、周囲が大騒ぎになったのを見届け、柳沢は悠々と現場を立ち去る。
全っ然逃走時間稼いでないが、事故死を狙ったものなので、彼には些細なことなのだろう。
出国のため、空港に現われた柳沢。
航空券を手に1年程海外で暮らし、帰国したらコンサートでも開こうと余裕綽々だったが、背後からくるみに取り押さえられる。
軽傷を負ってはいるものの、くるみの無事な姿に驚愕する柳沢。
藤沢明子殺害容疑による逮捕を告げられると、往生際の悪い柳沢はとぼけるが「時の中に眠る少女」を突きつけられ、遂に観念する。
なぜ、柳沢の思惑どおりにならなかったのか?
それは、ガス爆発直前に柳沢が開きっぱなしにしていた金庫にくるみが「時の中に眠る少女」と一緒に飛び込み、自身と証拠を守ったからだった。
だが「時の中に眠る少女」は、柳沢が仕掛けた爆発装置の一部に使われていた。
「時の中に眠る少女」が無事なら、爆発はなかったはずである。
屋敷の爆発した状況から、柳沢がセットした状態のままでは、「時の中に眠る少女」もこっぱみじんになっていると考えるのが自然である。
つまり、現状は
くるみ=無事、「少女」=確保、屋敷=爆発である。
一方可能性としては次の可能性が挙げられる。
1.「時の中に眠る少女」のカラクリを無事に解除
くるみ=無事、「少女」=確保、屋敷=無傷
2.くるみの生命確保が第一「時の中に眠る少女」が消失
くるみ=無事、「少女」=消失、屋敷=爆発
3.なんとかカラクリを解除しようと試みるも失敗
くるみ=死亡、「少女」=消失、屋敷=爆発
どれを選んでもかつてないほど話が破綻している。
しかし、読者の想像力パワーでカバーできる余地はある。
きっと
4.「時の中に眠る少女」を確保した後、何かのきっかけで引火すると懸念し、金庫に逃げ込んだ
5.まずはくるみのみで金庫に逃げ込み、消失した「時の中に眠る少女」のレプリカを急ぎ作成し、柳沢にハッタリをかました
のどちらかであろう。
ただ、いずれにしても誰も知らない「時の中に眠る少女」を突きつけられても、柳沢はとぼければよかったはず。
よほどくるみの生還に動揺したのだろう。
落胆する柳沢を引き立てる場面で事件は終幕したのだった。

【今回の犯人】
柳沢牧彦
露見前

露見後

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミ】
「時の中に眠る少女」。矛盾要素を大量に設定されたこのアイテムが事件的にも、構成的にもこれが全ての元凶です。
実際レビュー記事を書いている途中で、数多くの矛盾に気付いてしまい、どうすればいいんでしょうということで、無理やり仮設を並べ立てました。
まあそれはそれで面白かったんですが。
柳沢の顔芸は作中随一の変形率です。
それにしても彼はくるみの命だけは助けようと考えていたようですが、どんな手段を講じようとしていたんでしょうか。そっちの方が気になるお話でした。
ちなみに、ちょっと調べてみましたが、月光は世に出たのは1800年ごろ。当たり前ですが、オルゴールのために月光をベートーベンが作ったわけではないし、作中のオルゴール(技術的に作れるかどうかは別問題として)が、1900年ごろに登場したディスクタイプとすると、せいぜい100年程度の代物です。それなりに価値はあるでしょうが、どう考えても伝説、幻などと呼ばれるほどの歴史的価値はなさそうです。
胸キュン刑事第9回(第12、13話)
病院は危険な香り!?
肌に刺さる針の恐怖!!
【あらすじ】
管内で発生した連続婦女暴行事件を調査している音羽署の面々。
(相変わらず)犯人の手がかりを全くつかめない警察の無能っぷりに住民たちの不満は高まるばかり。もっともである。
複数の被害者たちには共通した特徴があった。
それは事件前後の記憶がなくなっていること。
直近の被害者に事情聴取するため病院に出向くくるみと大輔。
病院は小さいが、そこの医師は弱者へ献身的に治療することで有名であり、昭和の赤ひげと呼ばれていると大輔はくるみに教える。
院長の赤繁に案内され、被害者の女性から事情聴取を始める二人。
だがその証言内容は、夜道を歩いているところをいきなり襲われ、気付いたら裸同然で倒れていたと過去の事件同様に犯行前後の記憶が失われていた。その回想で被害者はパンティだけは履かされていた。親切な犯人ではある。
泣き崩れる被害者をなだめ、赤繁はくるみたちを病室から連れ出す。
赤繁は医者の見解として、被害者は薬や暴力を受けて暴行されたわけではないと補足する。
すっかり捜査に行き詰まったくるみだったが、赤繁は所用があるというのでこれ以上引き止めることもいかず、協力に感謝して立ち去ることになった。
捜査をがんばってほしいと肩を叩く赤繁だが、その手が触れた途端、くるみは胸キュンし、例によっていきなり赤繁に強い疑いを抱く。
ふと廊下に看護婦を募集の貼り紙を見つけたくるみは早速変装し、高村洋子と名乗って赤繁病院に(多分、資格も無いのに)看護婦として潜入する。
赤繁が回診に出かけるのに乗じ、くるみは書棚と机の整理をすると申し出る。
それは看護婦の主たる仕事ではない気もするが、(おそらく)無資格だから、診察を手伝ったりはしないのだろう。見事な乗り切り方ともいえる。
赤繁の不在をいいことにくるみは診察室を物色捜索すると、暴行事件の被害者のあられもない格好の写真を数多く写真を見つけてしまった。展開がとっても速くて親切設計であるが、犯人が赤繁なのは限りなく濃厚であるにもかかわらず、なぜか写真だけでは証拠が不十分だとくるみはさらに物色捜索を続ける。
すると糸を通す穴がない針を拾い上げた。くるみが怪訝な面持ちでその針を眺めていると、背後から何者かに不思議な力で襲われ、力が抜けたくるみはその場に倒れこむ。
気がつくとくるみは診察台に横たえられている。しかもいつの間にか変装のヅラも取り払われ、ナースのコスプレ姿状態。
そこにそのヅラを持った赤繁が現われる。高村洋子などという看護婦などいないという赤繁。くるみを当初から疑っていたらしい。胸キュンなどというチート能力に頼らず、その推量を立証したことになる赤繁。疑いを抱いたきっかけを逆に教えて欲しいものである。
逃げようとするくるみだったが、体が痺れ、診察台から転げ落ちてしまう。
赤繁は口ぶりは心配げながら、ベタベタと体に触れ、すみずみまで診察してあげるようなど狂気を覗かせ始める。
それでも必死で抵抗するくるみだったが、そこでようやく肩に先ほどの穴の無い針を打たれたことに気付く。赤繁曰く独学で針を学ぶうち、他人の体を自由に繰れるツボをたくさん見つけたと自慢する。
もう一度書く。針を学んだらしい。東洋医療の「はり」は漢字表記するなら一般的には鍼である。赤繁はきっと趣味が高じてお針子を志し、そこからどういうわけかツボの技術を見出し、本職の医業に応用したのだろう。
そうでなければ曲りなりにも医者の口から針は出ない、針は(でもめんどうなので、ここでは以降も針で統一する)。
それはともかく、赤繁はその針ワザでうら若き女性たちを毒牙にかけ、フィルムに収める…医学界を飛躍的に発展させる光明をそんなセコいことに使っていたこと告白する。
なおも抵抗しながら赤繁を異常だと罵るくるみに手を焼いた赤繁は、声帯を麻痺させるツボを突く。ほとんど声が出なくなりいよいよくるみに危機が迫った時、くるみを探しに来た大輔が診察室をノックした。
やむなく手を止め、くるみをそのままにドアへ向かう赤繁。読者的には最悪のタイミングである。
赤繁が大輔の相手をしている合間に、動けないながらもくるみは何か手段はないかと周囲を見渡すと、戸棚の上に大きな花瓶を見つけた。
力を振り絞って戸棚に体当たりすると、その目論見どおり花瓶は戸棚から落下し、大きな音を立てて割れる。
その音に驚いた大輔は診察室に何かいるのかと赤繁に詰め寄るが、患者から預かった犬が暴れたのだとその場を乗り切り、結局大輔を追い返してしまった。
診察室に戻った赤繁はこれまで一応ながらも紳士的だった態度を豹変させ、くるみを足蹴にし、またしてもツボに針を打つ。
すると全身から汗が噴き出す。このツボは全身の感度を上げるものらしい。ここまでくると、針というより、もはや北斗神拳である。
あらためて全身を撫で回され、意識が飛びそうになってしまうくるみ。
朦朧としながらも、くるみは先ほどの花瓶から中身の水が大きな水溜りを作っていることに気付いた。
…花瓶があったのは、戸棚の上。花は生けられておらず、花瓶として機能していなかったはず。
なのに、なぜ水を並々と湛えていたのか?虫が湧くぞ、赤繁。治療以外のズボラな性格がここでも影響したのか?
結局くるみの罠にはまり、水と電気スタンドの組み合わせで感電させられた赤繁は、赤繁の悲鳴で戻ってきた大輔によりあっさり御用。
大輔がなぜ戻ってきたのかというと、彼もまた赤繁が犬を診察室に入れていたことに不審を抱いていたらしい。
やがて声や動きの封印からも解き放たれ、くるみは無事音羽署に大輔と戻る。
そこへ丸山課長がシャツのほつれを直してくれとくるみに裁縫針を見せると、針なんか見たくないと逃亡。
ちょっとトラウマを抱えてしまったのであった。

【今回の犯人】
赤繁医師
露見前

露見後

【罪状】
作中では不明。くるみの捜査目的は婦女暴行。
【レビューという名のツッコミどころ】
刑事(くるみ)と犯人(赤繁)が腹の探り合い、互いに物証を手にする(写真とヅラ)という初めての展開です。
以前の作品では第4話の石原社長がこれに近いですが、彼は、新人歌手に扮したくるみを怪しいと思いながらも物証なしでいきなりくるみに襲い掛かっているから、ちょっと違うしな…
赤繁は、知的な犯人ということである意味全キャラで一番アブない犯人と思います。ただ、犯罪のレベルが低すぎるのが難ですが。
大輔が犬が診察室にいるのはおかしいからと疑念を抱くのも珍しく納得性のある気付きのポイントでした。
主役がチート能力のせいでその部分が発揮できない分、ちょっと光ってましたよ、大輔。
それにしても昭和の赤ひげって…前も後ろも死語と化した単語の組み合わせだなぁ。
蛇足ですが、今回の被害者女性、彼女そっくり。
肌に刺さる針の恐怖!!
【あらすじ】
管内で発生した連続婦女暴行事件を調査している音羽署の面々。
(相変わらず)犯人の手がかりを全くつかめない警察の無能っぷりに住民たちの不満は高まるばかり。もっともである。
複数の被害者たちには共通した特徴があった。
それは事件前後の記憶がなくなっていること。
直近の被害者に事情聴取するため病院に出向くくるみと大輔。
病院は小さいが、そこの医師は弱者へ献身的に治療することで有名であり、昭和の赤ひげと呼ばれていると大輔はくるみに教える。
院長の赤繁に案内され、被害者の女性から事情聴取を始める二人。
だがその証言内容は、夜道を歩いているところをいきなり襲われ、気付いたら裸同然で倒れていたと過去の事件同様に犯行前後の記憶が失われていた。その回想で被害者はパンティだけは履かされていた。親切な犯人ではある。
泣き崩れる被害者をなだめ、赤繁はくるみたちを病室から連れ出す。
赤繁は医者の見解として、被害者は薬や暴力を受けて暴行されたわけではないと補足する。
すっかり捜査に行き詰まったくるみだったが、赤繁は所用があるというのでこれ以上引き止めることもいかず、協力に感謝して立ち去ることになった。
捜査をがんばってほしいと肩を叩く赤繁だが、その手が触れた途端、くるみは胸キュンし、例によっていきなり赤繁に強い疑いを抱く。
ふと廊下に看護婦を募集の貼り紙を見つけたくるみは早速変装し、高村洋子と名乗って赤繁病院に(多分、資格も無いのに)看護婦として潜入する。
赤繁が回診に出かけるのに乗じ、くるみは書棚と机の整理をすると申し出る。
それは看護婦の主たる仕事ではない気もするが、(おそらく)無資格だから、診察を手伝ったりはしないのだろう。見事な乗り切り方ともいえる。
赤繁の不在をいいことにくるみは診察室を
すると糸を通す穴がない針を拾い上げた。くるみが怪訝な面持ちでその針を眺めていると、背後から何者かに不思議な力で襲われ、力が抜けたくるみはその場に倒れこむ。
気がつくとくるみは診察台に横たえられている。しかもいつの間にか変装のヅラも取り払われ、ナースのコスプレ姿状態。
そこにそのヅラを持った赤繁が現われる。高村洋子などという看護婦などいないという赤繁。くるみを当初から疑っていたらしい。胸キュンなどというチート能力に頼らず、その推量を立証したことになる赤繁。疑いを抱いたきっかけを逆に教えて欲しいものである。
逃げようとするくるみだったが、体が痺れ、診察台から転げ落ちてしまう。
赤繁は口ぶりは心配げながら、ベタベタと体に触れ、すみずみまで診察してあげるようなど狂気を覗かせ始める。
それでも必死で抵抗するくるみだったが、そこでようやく肩に先ほどの穴の無い針を打たれたことに気付く。赤繁曰く独学で針を学ぶうち、他人の体を自由に繰れるツボをたくさん見つけたと自慢する。
もう一度書く。針を学んだらしい。東洋医療の「はり」は漢字表記するなら一般的には鍼である。赤繁はきっと趣味が高じてお針子を志し、そこからどういうわけかツボの技術を見出し、本職の医業に応用したのだろう。
そうでなければ曲りなりにも医者の口から針は出ない、針は(でもめんどうなので、ここでは以降も針で統一する)。
それはともかく、赤繁はその針ワザでうら若き女性たちを毒牙にかけ、フィルムに収める…医学界を飛躍的に発展させる光明をそんなセコいことに使っていたこと告白する。
なおも抵抗しながら赤繁を異常だと罵るくるみに手を焼いた赤繁は、声帯を麻痺させるツボを突く。ほとんど声が出なくなりいよいよくるみに危機が迫った時、くるみを探しに来た大輔が診察室をノックした。
やむなく手を止め、くるみをそのままにドアへ向かう赤繁。読者的には最悪のタイミングである。
赤繁が大輔の相手をしている合間に、動けないながらもくるみは何か手段はないかと周囲を見渡すと、戸棚の上に大きな花瓶を見つけた。
力を振り絞って戸棚に体当たりすると、その目論見どおり花瓶は戸棚から落下し、大きな音を立てて割れる。
その音に驚いた大輔は診察室に何かいるのかと赤繁に詰め寄るが、患者から預かった犬が暴れたのだとその場を乗り切り、結局大輔を追い返してしまった。
診察室に戻った赤繁はこれまで一応ながらも紳士的だった態度を豹変させ、くるみを足蹴にし、またしてもツボに針を打つ。
すると全身から汗が噴き出す。このツボは全身の感度を上げるものらしい。ここまでくると、針というより、もはや北斗神拳である。
あらためて全身を撫で回され、意識が飛びそうになってしまうくるみ。
朦朧としながらも、くるみは先ほどの花瓶から中身の水が大きな水溜りを作っていることに気付いた。
…花瓶があったのは、戸棚の上。花は生けられておらず、花瓶として機能していなかったはず。
なのに、なぜ水を並々と湛えていたのか?虫が湧くぞ、赤繁。治療以外のズボラな性格がここでも影響したのか?
結局くるみの罠にはまり、水と電気スタンドの組み合わせで感電させられた赤繁は、赤繁の悲鳴で戻ってきた大輔によりあっさり御用。
大輔がなぜ戻ってきたのかというと、彼もまた赤繁が犬を診察室に入れていたことに不審を抱いていたらしい。
やがて声や動きの封印からも解き放たれ、くるみは無事音羽署に大輔と戻る。
そこへ丸山課長がシャツのほつれを直してくれとくるみに裁縫針を見せると、針なんか見たくないと逃亡。
ちょっとトラウマを抱えてしまったのであった。

【今回の犯人】
赤繁医師
露見前

露見後

【罪状】
作中では不明。くるみの捜査目的は婦女暴行。
【レビューという名のツッコミどころ】
刑事(くるみ)と犯人(赤繁)が腹の探り合い、互いに物証を手にする(写真とヅラ)という初めての展開です。
以前の作品では第4話の石原社長がこれに近いですが、彼は、新人歌手に扮したくるみを怪しいと思いながらも物証なしでいきなりくるみに襲い掛かっているから、ちょっと違うしな…
赤繁は、知的な犯人ということである意味全キャラで一番アブない犯人と思います。ただ、犯罪のレベルが低すぎるのが難ですが。
大輔が犬が診察室にいるのはおかしいからと疑念を抱くのも珍しく納得性のある気付きのポイントでした。
主役がチート能力のせいでその部分が発揮できない分、ちょっと光ってましたよ、大輔。
それにしても昭和の赤ひげって…前も後ろも死語と化した単語の組み合わせだなぁ。
蛇足ですが、今回の被害者女性、彼女そっくり。
胸キュン刑事第8回(第10、11話)
下着殺人事件!
犯人はダーツの名人!?
【あらすじ】
非番の日にくるみは大輔を付き合わせて世界的ファッションデザイナーのミツル・タジマの新作ランジェリーショーに来ていた。
ショーもフィナーレを向かえ、タジマが舞台挨拶を兼ねた新作ランジェリー披露をすることになっていた。
ところが幕が開いてもタジマ氏は姿を見せない。
なんとタジマは、舞台裏で何者かに殺害されていた。その時新作ランジェリーも盗まれたらしい。
人ひとり死んどいてなんだが、下着欲しさに殺人…なんともマヌケなシチュエーションである。
凶器は毒を塗られたダーツだったが、それ以上の手掛かりはなく、捜査は難航。
関係者を事情聴取することになったが、一番弟子の宮原は師匠を殺された上、新作ランジェリーまで奪われたことに落胆もひとしお。涙ながらに訴える姿を見て同乗してしまったくるみは、ハンカチを宮原に差し出す。
その時手と手が触れ合い、くるみの胸キュンが作動。するとついさっきまでの態度などどこ吹く風で、いきなり宮原に疑いの目を持つくるみ。刑事の鑑である。
そこでくるみは、関係者に盗まれたランジェリーの特徴を聞き込むと、新作は誰も知らないが、必ずミツル・タジマのイニシャル「M・T」がどこかにあるはずだと教えられる。
さらに宮原が自分の作品として新作ランジェリーを新聞で発表していた。くるみは宮原がランジェリーを自分の作品として発表するためにタジマ氏を殺害したのではないかとますます疑いを深める。
でかでかとブラジャーの写真付きで掲載された記事を凝視し、くるみはなんとしてもこのブラジャーを入手し、タジマ氏の作品である証拠「M・T」を見つけ出そうと意気込む。
音羽署より情報収集力に長けているのか、記事には後継者として明日渡米するともあり、くるみは宮原が宿泊するホテルに向かう。
どこでどう入手したのかくるみは、ホテルのウェイトレスに変装。ルームサービスを持ってきたと宮原の部屋に乗り込む。
部屋を見渡すと目的のランジェリーは無造作に置かれていた。しかし、いくらなんでも勝手に手にするわけにはいかない。
一方、ルームサービスなど頼んでいない宮原は、当然ながら最初は困惑したものの、食指が動いたのか、くるみと気付かず口説き始めた。
くるみはこれを好機と捉え、抵抗するフリをして、わざと持ってきたルームサービスのワゴンごと転倒する。
全身ずぶ濡れになると、宮原のせいだと激しく非難。服はともかく、下着は替えがないから、代わりをよこせとまるで当たり屋のようにゴネだす。
そしてそのターゲットは当然、件の新作ランジェリーに向けられる。宮原は拒絶するがくるみは「わたしに似合うから」と強引に押し切る。ヤな女だな。
宮原を部屋から追い出し、ランジェリーを身に着けるが、「M・T」はどこにも見当たらない。
あきらめたくるみは、ブラジャーを外すが、そこで自分の胸に「M・T」が浮かび上がっていることに気付いた。
どうやらブラジャーに「M・T」にかたどられたワイヤーが仕込まれていて、それが体に押し当てられて跡になって残るらしい。
ヤなブラジャーだな。血行悪くしそうだ。
ともかく念願の証拠を入手したくるみは、俄然勢いづくが、次の瞬間ダーツが頬をかすめて壁に突き刺さる。
驚いたくるみが飛んできた方向を見ると、そこには一部始終を見ていた宮原が立っていた。
くるみは怯まず、ランジェリーとダーツの関係が繋がり、宮原が犯人だと啖呵をきり(パンティ一丁だが)、それに激昂した宮原はくるみを殴りつける。
変装のヅラが飛び、ここでようやく宮原はくるみの正体に気付いた。
証拠を突きつけられた宮原だったが、観念するどころか高笑いし、証拠なんぞくれてやると余裕を見せる。
どこで気付いたのかくるみが単独捜査ということを察したらしい。
直感のみで動く刑事と犯人。どっちもどっちである。
犯行の動機は独立話を潰されてしまったことによる怨恨。
一通り独白を終えた宮原はダーツがぎっしり詰まったケースを取り出す。
いつもこんなの持ち歩いてんのかこいつ。
危険を察したくるみは部屋から逃げ出そうとするが、またも眼前を掠めてダーツが壁に刺さる。
ギリギリのところで外してはいるが、宮原はダーツを次々と投げつけ、くるみは動きを封じ込められる。
さらに逃げられないようにと放たれたダーツは、パンティの右端を射抜き、くるみは物理的に逃げられなくなってしまった。
続いて宮原は左端も射抜いたため、パンティは支えを失い前に垂れ下がる。
大切な部分が見えそうになったくるみは前を押さえて耐えるのがやっとだったが、それでもなお食い下がり「小娘をなぶり殺しするのか」と一喝。
宮原もまた、それなら殺してやろうと応じ、タジマ氏と同じ毒を塗ったダーツを取り出す。
くるみは壁際に追い込まれるが、ふと何かが背中に当たっていることに気付き、一か八かの賭けに出ることにした。
「せめて楽に死にたいから心臓を射抜いてくれ」と懇願すると、宮原はそのとおりに心臓を狙って毒付きダーツを投げ放つ。
くるみはギリギリまでダーツを引き寄せると、身をかわす。
だが、それはただ避けただけではなかった。くるみを仕留め損ねたダーツは、くるみの狙いどおり心臓の後ろにあった火災報知器を射抜いていた。
ホテル中に警報音が轟き、何事かと人々が部屋に駆けつける。
慌てた宮原は逃げ出そうとしたが、人ごみに阻まれそれも叶わず、結局くるみに逮捕された。
後日、事件解決のお礼にとランジェリーをもらったくるみ。
大輔をはじめ同僚たちに試着して見せようとするのだったが、サイズが全然合っておらず、その格好はとても人前に出られるものではなかった。

【今回の犯人】
宮原順
露見前

露見後

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミどころ】
出てくる小道具が妙に特殊なものばかりなので、物証には事欠かないものの「下着=殺人」って訳でもない気がするんですけど…
宮原は、別の習作だって言えばその場は乗り切れたでしょうに。
実際の服飾デザインの世界は知りませんが、現物盗んで保管するか?盗むべきはどちらかといえばデザインだと思うんですけど。
確かに犯人、宮原が殺人まで犯して盗んだ下着を別の弟子に発表されてしまっては困るので、現場から持ち去ったというのは理解できなくもないですが、直後に処分するのが普通だと思います。
デザインさえあれば(多分)模倣は可能でしょうから。
それにしても、必ずイニシャル隠すなんて下着、ツブシが効かんだろうに…
一方で、くるみの無神経さがあちこちで垣間見えるので、彼女の人間性を知る上では結構いいエピソードです。
まず、休日に異性の同僚(恋人ではない)を連れてランジェリーショーなんか行くなよ。絶対引くって。
捜査においても、宮原を挑発する時に客が持っている下着を(…まぁ男性客が女性モノの下着持ち歩いている時点でかなり変なんですが)自分に似合うなどと言ってますが、これって自分のプロポーションがいいって自覚してるとも受け取れます。
同性に嫌われるタイプってくるみみたいなのかなぁ。
あと、警官は事件解決したからといって、関係者からお礼を受け取ってはいけないんじゃなかったっけ?
犯人はダーツの名人!?
【あらすじ】
非番の日にくるみは大輔を付き合わせて世界的ファッションデザイナーのミツル・タジマの新作ランジェリーショーに来ていた。
ショーもフィナーレを向かえ、タジマが舞台挨拶を兼ねた新作ランジェリー披露をすることになっていた。
ところが幕が開いてもタジマ氏は姿を見せない。
なんとタジマは、舞台裏で何者かに殺害されていた。その時新作ランジェリーも盗まれたらしい。
人ひとり死んどいてなんだが、下着欲しさに殺人…なんともマヌケなシチュエーションである。
凶器は毒を塗られたダーツだったが、それ以上の手掛かりはなく、捜査は難航。
関係者を事情聴取することになったが、一番弟子の宮原は師匠を殺された上、新作ランジェリーまで奪われたことに落胆もひとしお。涙ながらに訴える姿を見て同乗してしまったくるみは、ハンカチを宮原に差し出す。
その時手と手が触れ合い、くるみの胸キュンが作動。するとついさっきまでの態度などどこ吹く風で、いきなり宮原に疑いの目を持つくるみ。刑事の鑑である。
そこでくるみは、関係者に盗まれたランジェリーの特徴を聞き込むと、新作は誰も知らないが、必ずミツル・タジマのイニシャル「M・T」がどこかにあるはずだと教えられる。
さらに宮原が自分の作品として新作ランジェリーを新聞で発表していた。くるみは宮原がランジェリーを自分の作品として発表するためにタジマ氏を殺害したのではないかとますます疑いを深める。
でかでかとブラジャーの写真付きで掲載された記事を凝視し、くるみはなんとしてもこのブラジャーを入手し、タジマ氏の作品である証拠「M・T」を見つけ出そうと意気込む。
音羽署より情報収集力に長けているのか、記事には後継者として明日渡米するともあり、くるみは宮原が宿泊するホテルに向かう。
どこでどう入手したのかくるみは、ホテルのウェイトレスに変装。ルームサービスを持ってきたと宮原の部屋に乗り込む。
部屋を見渡すと目的のランジェリーは無造作に置かれていた。しかし、いくらなんでも勝手に手にするわけにはいかない。
一方、ルームサービスなど頼んでいない宮原は、当然ながら最初は困惑したものの、食指が動いたのか、くるみと気付かず口説き始めた。
くるみはこれを好機と捉え、抵抗するフリをして、わざと持ってきたルームサービスのワゴンごと転倒する。
全身ずぶ濡れになると、宮原のせいだと激しく非難。服はともかく、下着は替えがないから、代わりをよこせとまるで当たり屋のようにゴネだす。
そしてそのターゲットは当然、件の新作ランジェリーに向けられる。宮原は拒絶するがくるみは「わたしに似合うから」と強引に押し切る。ヤな女だな。
宮原を部屋から追い出し、ランジェリーを身に着けるが、「M・T」はどこにも見当たらない。
あきらめたくるみは、ブラジャーを外すが、そこで自分の胸に「M・T」が浮かび上がっていることに気付いた。
どうやらブラジャーに「M・T」にかたどられたワイヤーが仕込まれていて、それが体に押し当てられて跡になって残るらしい。
ヤなブラジャーだな。血行悪くしそうだ。
ともかく念願の証拠を入手したくるみは、俄然勢いづくが、次の瞬間ダーツが頬をかすめて壁に突き刺さる。
驚いたくるみが飛んできた方向を見ると、そこには一部始終を見ていた宮原が立っていた。
くるみは怯まず、ランジェリーとダーツの関係が繋がり、宮原が犯人だと啖呵をきり(パンティ一丁だが)、それに激昂した宮原はくるみを殴りつける。
変装のヅラが飛び、ここでようやく宮原はくるみの正体に気付いた。
証拠を突きつけられた宮原だったが、観念するどころか高笑いし、証拠なんぞくれてやると余裕を見せる。
どこで気付いたのかくるみが単独捜査ということを察したらしい。
直感のみで動く刑事と犯人。どっちもどっちである。
犯行の動機は独立話を潰されてしまったことによる怨恨。
一通り独白を終えた宮原はダーツがぎっしり詰まったケースを取り出す。
いつもこんなの持ち歩いてんのかこいつ。
危険を察したくるみは部屋から逃げ出そうとするが、またも眼前を掠めてダーツが壁に刺さる。
ギリギリのところで外してはいるが、宮原はダーツを次々と投げつけ、くるみは動きを封じ込められる。
さらに逃げられないようにと放たれたダーツは、パンティの右端を射抜き、くるみは物理的に逃げられなくなってしまった。
続いて宮原は左端も射抜いたため、パンティは支えを失い前に垂れ下がる。
大切な部分が見えそうになったくるみは前を押さえて耐えるのがやっとだったが、それでもなお食い下がり「小娘をなぶり殺しするのか」と一喝。
宮原もまた、それなら殺してやろうと応じ、タジマ氏と同じ毒を塗ったダーツを取り出す。
くるみは壁際に追い込まれるが、ふと何かが背中に当たっていることに気付き、一か八かの賭けに出ることにした。
「せめて楽に死にたいから心臓を射抜いてくれ」と懇願すると、宮原はそのとおりに心臓を狙って毒付きダーツを投げ放つ。
くるみはギリギリまでダーツを引き寄せると、身をかわす。
だが、それはただ避けただけではなかった。くるみを仕留め損ねたダーツは、くるみの狙いどおり心臓の後ろにあった火災報知器を射抜いていた。
ホテル中に警報音が轟き、何事かと人々が部屋に駆けつける。
慌てた宮原は逃げ出そうとしたが、人ごみに阻まれそれも叶わず、結局くるみに逮捕された。
後日、事件解決のお礼にとランジェリーをもらったくるみ。
大輔をはじめ同僚たちに試着して見せようとするのだったが、サイズが全然合っておらず、その格好はとても人前に出られるものではなかった。

【今回の犯人】
宮原順
露見前

露見後

【罪状】
殺人
【レビューという名のツッコミどころ】
出てくる小道具が妙に特殊なものばかりなので、物証には事欠かないものの「下着=殺人」って訳でもない気がするんですけど…
宮原は、別の習作だって言えばその場は乗り切れたでしょうに。
実際の服飾デザインの世界は知りませんが、現物盗んで保管するか?盗むべきはどちらかといえばデザインだと思うんですけど。
確かに犯人、宮原が殺人まで犯して盗んだ下着を別の弟子に発表されてしまっては困るので、現場から持ち去ったというのは理解できなくもないですが、直後に処分するのが普通だと思います。
デザインさえあれば(多分)模倣は可能でしょうから。
それにしても、必ずイニシャル隠すなんて下着、ツブシが効かんだろうに…
一方で、くるみの無神経さがあちこちで垣間見えるので、彼女の人間性を知る上では結構いいエピソードです。
まず、休日に異性の同僚(恋人ではない)を連れてランジェリーショーなんか行くなよ。絶対引くって。
捜査においても、宮原を挑発する時に客が持っている下着を(…まぁ男性客が女性モノの下着持ち歩いている時点でかなり変なんですが)自分に似合うなどと言ってますが、これって自分のプロポーションがいいって自覚してるとも受け取れます。
同性に嫌われるタイプってくるみみたいなのかなぁ。
あと、警官は事件解決したからといって、関係者からお礼を受け取ってはいけないんじゃなかったっけ?